藤堂志津子のレビュー一覧

  • 海の時計(上)

    Posted by ブクログ

    祖母、母、姉、そして自分。それぞれが業の深い人生を生きている。

    主人公であり、物語の視点である水穂。四人の女性の中(他の女性も含めてでも)で最も決断力も自信も無いように見える彼女。
    大概物語の視点となる女性は好意的な雰囲気で守られているような気がするけれど、水穂の場合その優柔不断さや根底に潜む、誰もが持つような意地の悪さや弱さがはっきりと描かれていて、不思議な気持ちになった。
    「ミルキー」などとは違う意味で、女の嫌な部分が描かれていると思う。そして、これもまた真実だ。

    0
    2009年10月04日
  • やさしい関係

    Posted by ブクログ

    男女の友情をテーマにした小説。
    友人関係と恋愛関係の、どちらでもなく、あいまいだけどスリリングなときめきが漂う関係。
    二組の対照的な関係がとても興味深くておもしろかった。
    たとえばどんなに素敵な恋も、永遠ではない。
    友達から恋人という関係にすすんだ途端、男女の不平等な関係を引き受け、互いに縛り合うようになったりする。
    男女間の結びつきは、恋愛だけではない。
    恋愛なのか、友情なのか、きっぱりと区別できない曖昧さが、実は心地のよい関係だったりする。熱くもなく、かといって冷たくもなく。安定したこころの交流。だからこそ、長続きするのだ。

    またまた野沢尚の「恋人よ」に少し似てる。。。と思った。
    水上洋

    0
    2009年10月04日
  • 私から愛したい。

    Posted by ブクログ

    著者の日々のエッセイ。
    タイトルからして恋愛のことばかり?と思われそうだけど、
    そういう部分ばかりではなく、ごくごく著者の人柄というか考え方というか。。
    読めば読むほど、この著者と似ている部分が多くて(笑)

    例えば、『恋の姿勢』では、追いかけられるより追いかけたい。
    『周りがなんと言おうとも、私は彼が好き、と自分でしっかりと認めた瞬間から、
     この恋はだれのせいでもない、という潔さが生まれてくる。
     被害者意識が入る隙間もなくなる…』
     受動的より能動的に行動すると、生きている手応えを感じられる♪という感覚。
    (それは、スクリーンのなかの人でもいいのです♪手の届かないところの人でもいいの。)

    0
    2009年10月04日
  • あの日、あなたは

    Posted by ブクログ

    主人公・郁子が、十年間一人の男・勇介を愛し続け、そして自称ジゴロと名乗る年下の圭祐への愛。
    心の快適さを支えるのは「自由」であって、自分独りでいる自由もあるが、他者からの愛情や友情が付随している場合もある。
    そしてその他者もまた「自由」であってほしいと著者は思う。

    著者はあとがきの中で『ひとりの男(女)を、十年間愛し続けることは、このスピーディな現代では、ほとんどありえない、と思われる方もいるだろう。
    しかし私は、あえて「いる」と断言したい。自分にとって大切な人ということを、じっくり考えた場合、歳月など関係なく人はその人を愛し続けてゆく。
    たとえ、十年・二十年逢えなくとも。人間の心は、はかな

    0
    2009年10月04日
  • せつない時間

    Posted by ブクログ

    十篇からなる恋愛短編集。
    それぞれの主人公は、どこにでもいそうなごく平凡な女性たち。
    だからこそ、読んでいて共感できる部分が多かったのだと思う。
    この中でも私は、「グレーの選択」が好きだ。これは、著者自身もお気に入りとのこと。
    文体が私からあなたへの手紙文になっており、またまた「恋人よ」みたい。。。と思ったのです。
    白・黒はっきりできない関係、あいまいな関係であっても、それはそれでいいんだ。むしろそのほうがお互いに居心地がいいのかも。
    「私たちの関係は一時的に中断しているだけ。この考えは私を慰めます。夢物語だとあなたは笑うでしょうか。」
    こういう感じってよくわかるな。。。
    勝手に好きになって、

    0
    2009年10月04日
  • 花婚式

    Posted by ブクログ

    結婚7年目の「花婚式」を間近に控え、再婚同士の2人が改めて夫婦のあり方を確認しあっていくというお話。相手を察する気持ちこそ、夫婦に限らず人間関係を円滑にしていくうえで大切であるという事を本を通じて感じました。

    0
    2009年10月04日
  • プワゾン

    Posted by ブクログ

    死んでやる、死にたい、
    こういう言葉を安直に口にする人間は、
    その状況がどうであれ、私には許しがたい卑劣さに感じる。
    ひとはだれでも心のすみに、
    ひっそりと自分の屍体を積み上げている。



    死んでやる、そう言える物は、
    きっと心の中に一個の自分の屍体も持たない、
    幸福にも鈍感な人間に違いない。
    『プワゾン』藤堂 志津子著

    そうそうだから安易に死にたいって言う人は
    私の中ではルール違反だと思ってる。
    安易に死にたいって言う人は嫌い。

    0
    2009年10月04日
  • 彼のこと

    Posted by ブクログ

    展開がインタビュー形式で面白く、すぐに話の中に引き込まれたが、私の想像力が足りないのかもしれないが、結局どういうことだったのかすっきりしない感じが残ってしまった。何度か繰り返し読めば違った感想も出るのかもしれないが、繰り返し読もうとは今のところ思えない。

    0
    2009年10月07日
  • 昔の恋人

    Posted by ブクログ

    短編集は本当に面白いものと、いまいちなものが入ってるなーと思った。

    男の人のダメダメな感じは面白く、女のちょっとイラッとする部分が垣間見れる場面はよかったです。

    0
    2009年10月07日
  • 秋の猫

    Posted by ブクログ

    短編。30代以上の女性の恋愛と動物(犬猫)なんか身につまされる(笑)10年後、20年後の自分に。
    1/27

    0
    2009年10月04日
  • 秋の猫

    Posted by ブクログ

    『秋の猫』⇒恋人である岩本の浮気が発覚し、主人公:早智子は別れを切り出す。そして、その別れを気に2匹の猫:ミミとロロを飼い始めるが、ミミはなかなかなついてくれず・・『幸運の犬』⇒主人公には、夫である杏次郎と、愛人である高瀬がいる。杏次郎との離婚話が進むにつれ、幸運の犬である「キチ坊」の親権について問題になった。話し合いの結果、杏次郎が親権をもつことになったが・・『ドルフィン・ハウス』⇒度重なる転職で「かしわ荘」に越した、主人公。その近所には、壁にイルカやクジラの描かれた、不思議なアパートがあって・・『病む犬』⇒生後2ヶ月のロングコートチワワ:マシューを飼うことになったが、病弱で医療費がかかりす

    0
    2009年10月04日
  • 夫の彼女

    Posted by ブクログ

    女ってやっぱ強い。

    男の強さとは違うんだけどね。

    それを履き違えて、

    競い合うようにしても無駄だと思う。

    女同士でさえ

    分かり合えることが少ないのに

    異性間で「理解している」なんて思い上がり?

    わからないから

    わかろうと努力したり相手を思いやったりできるんだから

    0
    2009年10月04日
  • 秋の猫

    Posted by ブクログ

    表題作は猫の可愛さがすごく伝わる話だった。でも解説にある心温まる短編集かといわれると
    なんだか女性のしたたかさがめだったような後味が複雑な話に思えた。

    0
    2009年10月04日
  • やさしい関係

    Posted by ブクログ

    「恋愛」と「友愛」が入り交じったあいまいな関係の4人の男女の物語。20代前半で読んで好きだった本。もうすぐ30代突入の今、読みなおしてみると、ストーリーの流れは、やっぱり少し古い感じを受ける。
    でも、こういう曖昧に見える関係、今も、嫌いじゃないな。
    貴重で大切な関係。

    0
    2009年10月04日
  • めざめ

    Posted by ブクログ

    働く女性の「結婚」を意識した恋の話。

    藤堂さんは古典が好きなんだなって思った。
    登場人物の何人かが、
    アドバイスとして主人公の恋愛を古典の何かに例えてるの。
    今も昔も男女の営みは変わらずってことかしら?

    5つの話を読んで共通するのは「恋は盲目」ということ。
    冷静に読んだらアホやなぁ〜!気付けよぉ〜!ってことも
    まぁ、私も恋に落ちたら?こんな風に、うん、思うことって〜あるよね。
    この女嫌いだなぁ〜って読み進んだものの
    最後はちょっとすっきりで終われてよーございましたよ。

    時代を感じたのは、
    携帯電話がなくって連絡がつながらずにイライラっての。
    懐かしい淡い感じがよか

    0
    2009年10月04日