藤堂志津子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
上巻は懐かしく再読したが、この下巻は最後まで読み通してもまったく記憶が蘇らなかった。忘れたというレベルではないのでどうやら読んでいないらしい。下巻だけとはいえ、藤堂さんの作品に目を通してないとは珍しいな、私。30年後だったとはいえ、続きを読めて嬉しい限り。もっともすごいドラマは描かれず、よくある日常を事細かに描写した彼女の作品は次が気になって気になって、というものではない。藤堂さんの思惑に反していたら申し訳ないが、どこからいつからどこまで読んでもかまわない良さがある。静かな癒しがどのページにも存在しているような気がする。書物からでしか摂取できない栄養を、彼女の著作は例外なく与えてくれている。
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Posted by ブクログ
誰でも共感できるものではないけれど、もしも同じ経験をしたとしたらどれも間違いなく1番鮮やかな走馬灯になりそうな、濃厚な10の恋愛エピソード集。
恋愛なんて個人的なもの。誰かに誇れたり憧れられたりするものなんかじゃなくていいんだ。自分の中にだけ残ればいいんだ。とふと思った。
題名にもなっている「プワゾン」がわたしには1番グッときた。自分のことを好きになれない人は誰かを好きになることもできないけど、自分のことは好きでいられるけど誰かを好きになれない人は、そこはかとない切なさを抱きながらも何とか生きていくことはできるんだろうな。
ー 「プワゾン」と「ル・デ」のどちらが、より私に似つかわしいのか、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ黒地に赤いバラの表紙と題名に、本屋さんでは手をとるのに躊躇してしまいそうですが、桜ハウスの続編と言うことで読みました。
桜ハウスの元住人それぞれの恋愛沙汰を中心に物語が書かれていますが、なかなか凄いです。しかしお互い、その出来事全てではなく一端をちらりと報告したり、なにかあっても踏み込み過ぎず、適度な距離感があっていいなと思います。
相変わらず、食べ物の描写がよく描かれており、気に入っています。
さらに続編があるとのこと、これ以上の恋愛描写はもういいかな、とも思いますが、きっとストーリーの絶妙さにまた読んでみたくなるのでしょう。