あらすじ
徳子が70歳を迎えたときから、その死は覚悟していた。予想外だったのは、喪失感と名づけられるものが、日がたつにつれ、さまざまに形を変え、皮膚をくぐり抜けて肉へ、肉から骨へと浸透してくることだった。家族の死の淋しさに耐えきれず、別れた男と一夜をともにしてしまう水穂。その傷ついた心を救うのは……。著者の最長編、愛の傑作。
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Posted by ブクログ
上巻は懐かしく再読したが、この下巻は最後まで読み通してもまったく記憶が蘇らなかった。忘れたというレベルではないのでどうやら読んでいないらしい。下巻だけとはいえ、藤堂さんの作品に目を通してないとは珍しいな、私。30年後だったとはいえ、続きを読めて嬉しい限り。もっともすごいドラマは描かれず、よくある日常を事細かに描写した彼女の作品は次が気になって気になって、というものではない。藤堂さんの思惑に反していたら申し訳ないが、どこからいつからどこまで読んでもかまわない良さがある。静かな癒しがどのページにも存在しているような気がする。書物からでしか摂取できない栄養を、彼女の著作は例外なく与えてくれている。
Posted by ブクログ
主人公の心の葛藤、よくわかるなぁ。常に他人への気遣いが優先してしまって、自分の気持ちと戦ってしまうところ。言いたいのに、相手のことを考えると、どうしても躊躇してしまうところ。
でも、だんだんと周りのことに振り回されずに、周りのことを気にせずに自分は自分であればいいと、思えるようになってきて、母親への変なこだわりが解けていったのは、よかったと思う。
いろんな人のいろんな見方があって、周りの人たちに支えられて生きているんだということを改めて考えさせられた一冊でした。