甲田学人のレビュー一覧
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蒼衣たちは、四野田笑美(しのだ・えみ)という女性がリーダーを務める騎士団の管轄する地域で起こった事件の手伝いをすることになります。
笑美の騎士団には、田上颯姫(たのうえ・さつき)の妹で、おなじく記憶を消す能力をもつ田上瑞姫(たのうえ・みずき)と、雪乃にライヴァル心をいだく馳尾勇路(はせお・ゆうじ)がいました。勇路は笑美の方針に反対し、事件の関係者を雪乃たちからかくそうとします。こうして蒼衣たちは、勇路の妨害によって情報がじゅうぶんに得られないまま、今回の泡禍の解決にあたることとなります。
最初はただのかませ犬の役割かと思われた勇路でしたが、意外に事件を引っかきまわしてストーリーをおもしろく -
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蒼衣たちは、泡禍にまつわる事件が起こっているという連絡を受けて、かつて神狩屋が暮らしていた海辺の町にやってきます。そこで神狩屋は、恋人であった志弦(しづる)の妹・海部野千恵(あまの・ちえ)と再会します。やがて町は凄惨な事件に巻き込まれることになり、神狩屋の過去にまつわる謎がすこしずつ明らかになっていきます。
今回はこれまで以上にグロテスクな描写がありますが、読者のほうでもすこしずつ耐性ができてきたことを見計らいつつ、著者が工夫を凝らしているような印象もあって、とにかくめったやたらなスプラッター展開といった感じでもありません。個人的には、このくらいのグロ度であればおおむねホラーとしてたのしめる -
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泡禍に立ち向かう騎士として生きていく覚悟をもつ雪乃ですが、蒼衣は彼女にもできるだけふつうの少女と変わらない生活を送ってほしいと願います。しかし雪乃は蒼衣の忠告には耳を貸さず、クラスメイトたちの迫害を受けていました。しかし、委員長の媛沢遥火(ひめざわ・はるか)だけは雪乃のことを気にかけて、彼女に接近します。
そんな遥火の過去にまつわる悲劇が明らかになり、泡禍が近づいていることを知った蒼衣と雪乃は、遥火の身に降りかかる災厄を防ごうとします。
主人公たちも今回の事件の関係者たちも、過酷な運命の波に翻弄され、幸福な結末にたどり着くことはないのですが、彼らの芯の強さが印象的で、ライトノベルにありがち -
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主人公の白野蒼衣(しらの・あおい)は、クラスメイトの杜塚眞衣子(もりづか・まいこ)の家を訪ねます。そこで彼は、目をえぐられた女性を目撃し、彼の日常生活は終わりを告げます。
その場に登場した時槻雪乃(ときつき・ゆきの)に救われた蒼衣は、骨董商「神狩屋」の鹿狩雅孝(かがり・まさたか)のもとに連れてこられて、これまで知らなかったこの世界の真実を教えられます。この世界は、「泡禍」と呼ばれる災厄に見舞われる人びとがおり、雪乃たちは泡禍を抑えるために活動している「騎士団」のメンバーでした。騎士団のメンバーたちもまた、泡禍を経て特殊な能力をそなえるようになり、蒼衣自身は記憶を封印していましたが、やはりそう -
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ネタバレ電撃文庫のときに読んではいたものの、結構忘れていることも多いのだが、「そうじさま」の展開に関しては覚えていた方だと思う。
部活メンバーは救い出せても、他はすっきり終わらない結末も含めて。
最後のあるキャラの行動は当時も非常に度肝を抜かれた気がする。
本人はそれで救われた部分もあるのだろうが、見せられた側はただただ困惑するというか、ドン引きするだろう。
そう言えば、「そうじさま」はどうなったんだろう。
今回は完全撃破にはなっていない。
武巳くんに関しては、フラグが立ったと感じだし。
いつも以上に不穏さを残す終わり方だったと思う。
それが不快でない、寧ろ(不謹慎ながら)ワクワクしてしまうのが、こ -
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わたしが中学生のときに夢中で読んでいた伝奇シリーズの改訂版。
小野不由美さんの「残穢」のような、
伝染する怪異のお話です。
民俗文学や伝承文学、都市伝説を基盤としたホラーで、
とにかく怖かった記憶がある。
伝承文学、昔話や説話が大好きなので、
それを使ったライトノベルということで、まあそれは夢中になりました。本屋で改訂版を見つけた時は思わず二度見。この歳になってこのシリーズをまた楽しめるとは、嬉しい限りです。
シリーズ1作目の怪異は「神隠し」。
神隠しが「伝染」していくのを説明していくのが面白いのだけれど、1作目はキャラクタの説明が多くて、良くも悪くもライトノベルという感じ。 -
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ネタバレ前後編となる奈良梨話。
今回、俊也は大怪我することなく活躍する場面が。
やっとだな……!
助けたかった先輩はご覧の有様。
今回の件の実行犯も「あの方」なので、結局あの一家はそういう結末を迎える運命だったんだろうなと、そう思うと切ない。
全ての元凶はおじいさまですけれども。
登場シーンは基本的に首を吊っているお姿なので、なかなか絵面はシュールだけど。
稜子を助けるのは武巳の役目だろと言いたいところだが、まだこの頃の彼は立ち位置をまだ自分で決めきれていないので、今回の件はあまり役に立たずに終わるという。
この点が、何というか妙にリアル。
中途半端に関わっても止められるものではない。
まだ彼には -
購入済み
00年代のオカルトホラー
ネット黎明期の都市伝説が廃れ始めたのは何時だったろうか。
ある意味で今よりも情報が断片的だった時代において、摩訶不思議なオカルトというのは流行になった。
今作はそんな時代に生まれた作品の新装版。時事ネタなど書き直しをしているそうだが、正直古びていることは否めない。
だが今作の目玉は強烈なキャラクター性にある。魔王というあだ名を持つ彼によって動く登場人物たち。オカルトに挑む超常の少年少女というのは現代のエンタメでも通用するだろう。
「メン・イン・ブラック」に挑む「バトル・ロワイヤル」の子どもたちと言うべきか。これを楽しめるなら今シリーズは気に入るのではないだろうか。 -
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神隠しの噂が伝わる町で、いわくありげな少女を連れてきたのは、高校でも随一の変わり者でありいろんな意味で一目置かれている空目という少年。通称「魔王」とも呼ばれる彼はしかし、少女とともにこの世から姿を消したのだった…
まず通称が魔王とは!?と思わなくもありませんでしたが、複雑な過去を持つ空目を中心に、一癖ある仲間たちが彼を取り戻そうと四苦八苦する展開は無駄なくスッキリ読ませてくれますし、なおかつゾッとさせる冷たい雰囲気も湛えていて、まっすぐに十代を描いた小説として楽しめました。
クライマックスの桜舞う場面は美しくおそろしく、そして最終盤のさらりとした救いの描きかたには温かみとほっと息のつけるやさ -
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諸事情で前学校を退学になった主人公。
どうにか入学できた先のクラスには、霊感少年がいた。
最初はともかく、爽やか(?)に始まった学園生活。
主人公の台詞で、速攻学園ぽいものは消えましたが。
友人に、と言われた次の瞬間、回ってきたものに
怒らない主人公もすごいです。
これ、普通やられたら怒りが…というより
捨て置きそうなものがありますが。
しかし退学になったのは置いておいても
ここにこれたのは、主人公にとっては
よい事だったかと。
何せ、ものがものなので、理解されづらいでしょうし。
聞いてくれるだけでも、かなり違います。
毎度お馴染み(?)ねっとりとした、あの怖さは
今回は潜まっていました -
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最後の最後になんて爆弾持ってきやがったんだ…。しかも超弩級の爆弾を……。
筆者も書いているように『なでしこ』という話は相当マイナーなようで、ネットでちょっと調べてみても全くヒットしなかった。だから『なでしこ』を知るのは本書が最初だったりする。『なでしこ』の内容は、最後にお妃が死んでしまいそれに釣られるように王様まで死んだというのに、王子はそれに動揺する事無く自ら創りだした美しい女の子と楽しく暮らしたという描写が酷く空恐ろしさを感じさせる。いったい今度の話がどのような結末を迎えることになるのか、今から恐さを感じつつ楽しみに待ちたい。
しかし、今回の話はまだ上巻と言うこともあるのかそれほ