小野一光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
酒飲んでてこの事件が話題に出て、ほとんど知らなかったので本読んでみた。いやあとんでもねえな。北九州の事件に似てるのかな、と思ったんだけどあちらの密室性とはまた違くて、ファミリーを組織して堂々と生活してたのがびっくりした。しかし北九州の松永もそうだけど、人の心につけこんでマインドコントロールするのがとてつもなく上手いようで、文章で読むだけだとなんでこれ逆らえないの?って何度も思ってしまった。本の構成としてはすげえ読みにくくて、事件の時系列の通りに書いて欲しいとこを取材の流れに応じたような書き方がされてた。この記者の取材力と根気はとんでもないと思うし、口が堅そうな人たちから証言引き出してるのもすご
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ネタバレ 購入済み
人の狂気と強さを感じる
死刑が確定した殺人犯へのインタビューと、著者が現場で集めた情報を元に、事件のあらましを書いている。
加害者側の言葉が乗っており、ニュースで内容を聞くよりも、ずっと現実味が強く、また、痛ましいと感じる。フィクションではなく、本当に起こったことであり、それが自分の住んでいる国で起きていると信じられない。
加害者の生い立ちを知ると、攻撃性が強い人格であったり、共感性に欠けていて自分以外を道具としか見れなかったり、社会性に欠けている。
また、幼少期に母親と愛着が上手く作れなかったケースも多い。
この2つの要因に、金銭への渇望が絡まると、犯罪が起きてしまうのだと感じた。
自分の近くで、もし、苦しんで -
Posted by ブクログ
連続殺人犯への面会や周囲の人への取材などにより、事件を追いかけるルポ。
後書きに「殺人犯の共通項を探していたがなかった」とあるが、いくつかのパターンはあると思う。
先天的に障害がありそうな者、生い立ちにより心を病んだ者、自己愛が強すぎて周囲を取り込んでいく者など。
そして加害者に子どもがいる場合も多い。被害者だけでなく、自分の子どもたちの未来も奪っている。
軽度の知的・発達障害などがある場合、認知の歪みなどにより当たり前が通じないことがあるそうだ。
殺人の動機が自分でもよくわかっていない、自分が何をしたかあまり理解していない者はこういった要因もあるのではないだろうか。
大阪姉妹殺人の犯人は -
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小野一光『連続殺人犯』文春文庫。
21世紀の10大連続殺人事件の闇に迫るノンフィクション。『殺人犯との対話』を改題し、新章に『筧千佐子 近畿連続青酸死事件』を増補。
同じ人間とは思えない残虐非道の凶行を繰り返した連続殺人犯たち。余りにも身勝手な犯人たちの声には反省や後悔は全く感じられない。
『CASE 1 北村孝紘 大牟田連続4人殺人事件』。金銭目的で4人もの人びとを簡単に死に至らしめた狂った家族。 家族ぐるみで凶悪犯罪に手を染めるなど有り得ない。
『CASE 2 松永太 北九州監禁連続殺人事件』。自らは手を下さずにマインドコントロールにより7人の一族を監禁し、殺し合わせた悪魔の所業。 -
Posted by ブクログ
風俗というのが、日常の裏にある未知の世界で面白かった。本書はルポルタージュ形式で、この時をこういう人が生きていたことを記録する、ってスタンス。
風俗に関する社会学の本とか読んでからまた読み直したら抱く感想や本書から読み取れる世界が広がる気がする。本書でも書かれてる通り、風俗嬢が担うことはセックスワークだけでなく、「癒し」という精神的ケアの提供。実際利用してる男性も多い。だけど、その割に世間では風俗嬢という仕事はおおっぴらには言えないものだし、風俗を利用して恩恵を被ってるはずの男も風俗嬢のことを風俗に「堕ちた」って馬鹿にする風潮がある。本書ではそこらへんの社会的な矛盾には触れてないし、そういう -
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未曾有の怪事件「尼崎連続変死事件」の真相を追うノンフィクション。
事件現場に密着した執念の取材により、新たに発覚した真実を文庫化にあたり追加編集。
・・・つーか、こんなに入り組んでたのね~。。。
頭、こんがらがるわ!マジで!!
んで、主犯の角田美代子が留置所で自殺って・・・マジ、ありえね~!警察なにやっとるんじゃ!?って感じだし。
この本の中で、一番心に残ったのが、谷本さん。
谷本さん一家は、壮絶な運命をたどる。
谷本さんは奥さんと離婚させられたうえ、奥さんと長女を殺され、実の兄も殺され、高校生だった次女は角田に取りこまれ、加害者として服役中なのだ。
それでも谷本さんは、事件を知る者と -
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わたしは今慄然としている。少なくとも10人以上の連続変死事件が起きたこの尼崎事件の内容を読めば読むほど、わたしが事件を知るキッカケになった北九州監禁連続殺人事件との関連性があぶり出されるのである。北九州は7人の死者を出している。ただ、わたしが気に入らないのは、主犯角田美代子の自殺を隠れ蓑にして、角田ファミリーの7人が、果たして強制されて殺人したのか、或いは進んで自らの親族を殺したのかわからないことだ。その全容の解明がまだ明らかにされていないまま、どうやら次々と結審しているらしいことだ。
この本は、尼崎事件について書かれた詳しいルポの中の一冊である。それでも著者の認めている通り、事件の全容は不