小野一光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ著者の余計な憶測や感情が一切なくてとても読みやすく、わかりやすい内容。本当のドキュメント。
この事件を聞いた誰しもが『なぜ一家は逃げられなかったのか?』という疑問に行き着くと思う。それを知りたくて読んだわけだが、やっぱりわからなかった。その従わざるを得ない理由を理解はできるが共感や納得はしない。松永の巧妙さが完全受け身の一家に作用してしまったのが不幸だったのか。
一家を騙して従わせた松永は相当 頭がいいのだろうとほめる人まで出てきそうだが、他人の人生に次々と寄生し喰らいつくすような生き方しかできないこの死刑囚には遺族の言う『害虫』という表現がとてもよく合う。
こんな事件は人々の記憶からさっさと消えてしまうのが、残された親族や死を免れた被害者にとって幸せなのではないだろうかとまで思う。 -
Posted by ブクログ
これぞドキュメント!というように、事件の内容、当事者それぞれの行動や思考が記載されていました。
読んでいる途中でフィクションではないか、いやそうであってほしい、と思わせるような事件で、情報量も膨大で、それをここまで読みやすく分かりやすく書かれていることに感動しました。
関係する人があまりにも多いのですが、登場する人物たちの関係図があったので、だいぶ分かりやすかったです。
また本の中の展開(必ずしも時系列順ではないこと)で、だいぶ引き込まれました。読み終えたときには、ほっとした気持ちになりました。
基本的には小説ばかり読んでいますので、ノンフィクションでかつドキュメント形式のものは初めてに近かったですが、とても読みやすかったです。
裁判の記録も細かく記載されていたり、事件以外の部分も興味深かったです。
ただ、しばらくお肉料理はしたくなくなりました…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2020年10月12日記述
新版 家族喰い
尼崎連続変死事件の真相
小野一光氏による著作。
2017年8月10日第1刷。
単行本として2013年11月に太田出版にて発行された。
本文庫は単行本に加筆修正の上、新たに文庫版補章を付したものです。
文庫版補章初出
週刊文春2016年8月25日号、9月1日号、9月8日号、9月15日号、9月22日号、9月29日号
著者の小野一光氏は日本のルポルタージュ・ノンフィクション作家
1966年、福岡県北九州市生まれ。
西南学院高等学校卒業。白夜書房で編集に携わり、
雑誌記者を経てフリーライターに。
「戦場から風俗まで」をテーマに、国際紛争、殺人事件、
風俗嬢インタビューなどを中心とした取材を行う。
著書に『灼熱のイラク戦場日記』『風俗ライター、戦場へ行く』『殺人犯との対話』『震災風俗嬢』
『新版 家族喰いーー尼崎連続変死事件の真相』など。
角田美代子らファミリーによる連続殺人事件は大きく報道され知っている方もいるだろう。
ただ詳細は本書を読まなければわからない。
その事を痛感した。
あれだけの大量の死者が出ているだけにヤバい事件だろうと思っていた。
それ以上にヤバいと思う。
主犯の角田美代子は自殺した時も大きく報道された。
その点が松永太による北九州連続殺人事件との相違だ。
マスコミでの報道がされている点が大きく違う。
松永太による事件は豊田正義氏の著作、
消された一家―北九州・連続監禁殺人事件―(新潮文庫)に詳しい。
角田美代子もかなりおかしい思考回路だと思う。
それ以上に松永は異常だとも思えた。
民事不介入の原則を悪用した親族間をマインドコントロール、洗脳していく手法は極めて悪質だ。
民事不介入だと言って、日本各地の警察がまともに取り合わなかった事が犠牲者を増やした事は間違いない。
この事はもっと警察批判、警察の責任者が糾弾されるべきだと思う。
マスコミは警察から情報を得るという利害関係がある為にそういった警察の不祥事、ミスを大きく報道しにくい構造がある。
寺澤有氏の一連の著作にも警察がいかに自浄能力の無い組織であるか描写されている。
その自浄能力の無さを本書を読むと垣間見る事が出来る。
犠牲者、被害者、あるいは暴力を強制された加害者のいずれも角田美代子の支配下に置かれていた。
彼らの自己責任だなどと言うつもりは毛頭ない。
しかし自分の身は自分で守るしかない。
北朝鮮の拉致被害者達も同様だ。
警察の不作為による犠牲者はこの尼崎での犠牲者だけでは無いのだ。
また角田美代子のような人間と相対する時はアンガーマネジメントなんぞクソくらえでぶちギレ相手と徹底的に喧嘩し暴力を使い闘争する必要があるのだという事も分かった。
喧嘩は厳選してやるものだ。
こういったヤカラとしか表現出来ない悪質な半グレとは断固戦う必要がある。
その事を読む中で何度思っただろう。
*もちろん角田美代子達は確実に勝てる相手にだけ暴力や搾取をしていたようだ。
その事にも腹が立つ。
周りの人間もこういった異常を見たら、警察抜きに暴れまわっても良いと思う。
印象に残った部分
角田美代子もX(ある集団)の関係者もこれと同じようなことを続けとったんや。
年寄りやら弱者を食いもんにして、少しでも反抗する素振りを見せたら、こうやって暴力を使って脅すわけや。
(2002年に福岡県で発生した北九州監禁殺人事件の主犯松永太に対しての印象)
もし悪魔という存在を具現化するとしたら、それは一目見てわかる邪悪な顔ではなくこのような屈託のない顔をしているだろう。
背景に底知れぬ闇を抱える彼を前にして、そう感じずにはいられなかった。
続いて決めたのは、濃い場所で独自の濃い人脈を作るということ。
これについては、みずからの経験則に頼るしかないが、事件について知っている義侠心を持った人物を見つけ出し、その人物の信頼を得るようにする、ということである。
方法としてはいたってシンプルだが、もっとも難易度の高いものだ。
しかしそれを理想形と設定し、目指すようにした。
尼崎連続変死事件の捜査線上に浮上すらしていない安田(仮名)さん
かつて印刷会社で働いており、退職後は年金暮らしをしていたのだという
安田さんは悪い人ではないねんけど、お酒が入るとええ格好をする癖があってな、
けっこうお金があるいう話をしてしまう人やねん。それで美代子に目えつけられたんやろな
→警察には行ったが、相手にされんかったと・・この人物もやはり何らかの民事不介入にされてしまったのだろうか。詳細がわからない。
月岡靖憲(つきおか・やすのり)
1953年生。角田美代子の5歳下の弟(月岡は美代子の父方の名字)
角田三枝子、猪俣光江の四男・四郎(名前のみ仮名】とは中学時代の同級生。
2007年に逮捕され、2件の恐喝と1件の詐欺罪で懲役14年の実刑判決を受け服役中。
恐喝や脅しによってお金を巻き上げていく手法に類似点がある。
やはり血は争えないのか・・遺伝子の凶悪性、凶暴性というものはあるのだろうか。
特に詐欺罪として裁判になった2000年に女子大生だった方への2005年までの恐喝・暴力・肉体関係を強要した件も相当に悪質だ。
なぜ懲役14年で済んでいるのか理解しがたい。
この角田美代子の弟の話だけで1冊の本が出来上がるだろう本来は・・・。
「私が思うに、オカン(角田美代子)が自殺したんは、事件がバレたことやなくて自分が家族やと信じとった者に裏切られたという思いが強かったんやないでしょうか。
それがショックで死を選んだんやと思います」
そう語る谷岡さんの意見に、私もまったく同感だった。
こんな話がある。
2004年頃、美代子はパチンコ店で知り合った若いカップルを一週間ほど自宅に軟禁し、その女性の実家に落とし前を要求したことがあった。
しかし、その女性の知り合いに現役の暴力団員がいて、逆に脅されたのだ。
その際に美代子は「☓☓様のご身内の方とは知りませんでしたので、本当に粗相な対応、どうかお許しください。知らなかったでは済まないことも充分承知しております。なんとか今回だけはお許しください」と平身低頭して謝罪を続けたという。
自分より強い者には徹底的に弱く、弱い者には徹底的に強い。
それが美代子だった。
自分を強く見せるためには手段を選ばず、虎の威を
借りることが必要であれば、迷わず借りた。
そうして、美代子は虚勢が通用する相手しか、毒牙にかけてこなかったのである。
それは相手に勝とうとするのではなく、勝てる相手を選ぶということで徹底していた。
そして、自分が勝てると見た相手に対しては、決して歯向かうことのないよう、
絶対的な恐怖を与えて支配した。
弱い者を恐怖で支配するためには生贄が必要であり
忠誠を確認する手段として用いたのが、タブーである家族殺しの強要だった。
まさにそれは家族喰いともいえる所業である。
だがその結果が、まとめて自分に跳ね返ってきたのだ。
これまでの犯行が発覚したあと、美代子が絶対的に支配していると信じた家族たちは警察の追求にたやすく落ちた。
皮肉にも彼女自身がそこで家族殺しに遭遇する
ことになり、卑怯にも自殺を選んだ。
私はそう見ている。
美代子は決してモンスターではない。
弱いからこそ相手を殺した。
そうしなければ、自分がいつ寝首を掻かれるか、不安でしょうがなかったのだ。
無辜の人生を蹂躙し尽くした64年の生涯は、かくして身勝手に幕を閉じた。 -
Posted by ブクログ
【もし悪魔という存在を具現化するとしたら,それは一目見てわかる邪悪な顔ではなく,このような屈託のない顔をしているだろう】(文中より引用)
家族間での殺害といった特異な手法により,日本中を震撼させることになった尼崎連続変死事件。留置所内で自殺した角田美代子の生い立ちをたどりながら,いかにしてこの凄惨な事件が引き起こされたかに迫るノンフィクション。著者は,事件及び戦場ルポで高い評価を得る小野一光。
ここまで読者を絶句させる作品も珍しいのではないでしょうか。見知らぬ家族の中に文字通り巣喰い,金と命と尊厳を巻き上げられるだけ巻き上げていくその行為に,恐怖以上の何かを感じました。数ある事件ノンフィクションの中でも出色の一冊です。
読んだ後にドッと疲労感に襲われます☆5つ -
Posted by ブクログ
我々の記憶に新しい、被疑者自殺で全貌解明が絶望的となった“尼崎連続変死事件”。その真相に迫った執念のルポ。
マスコミが挙って報道した事件当時、被害者の数も逮捕者の数も多く、またその殆どが“1人の女を介した親戚関係”にあるという、とんでもない事件だったのは記憶していたものの、新聞などで人物相関図を見たらとてつもなくややこしかったので読むのを放棄していた一冊。
いや、もっと早くに読めば良かったです。
この事件より10年ほど前に、北九州監禁殺人事件があり、これも1人の人物による親類への洗脳、監禁、暴行、殺人であったことを思い出した。
角田美代子のような怪物がどのようにして生まれたのか、なんとなくわかった気になった。
読めば読むほど、警察への不甲斐なさ(民事不介入を理由に相談に行っても対応してくれず、最後には角田美代子の自殺も止められず)を感じてしまった。 -
Posted by ブクログ
小説「後妻業」、映画「後妻業の女」の両方を鑑賞して本書を読んでみた。事実が完全にフィクションを超えていた。
事件の発端は2014年、夫の殺人容疑で筧千佐子が逮捕されたことだった。警察が彼女の過去を調べてみると、彼女と関係を持った高齢の男性が次々と死亡していたことが明らかになる。その数、なんと11名。
千佐子が狙うのは体が弱くて、高齢で、財産を持つ一人暮らしの男性。多くの結婚相談所に登録して、そんな男性と交際し、財産相続の遺言を書かせ、毒入りカプセルを飲ませ、事故死や病死に見せかける。葬式では遺族を無視して、強引に遺産を相続する。その後、何もなかったかのように次の男性を狙う。同時期に複数の男性と交際することもあった。
それらは千佐子にとって一連の流れ作業であり、業務だった。そんな生活を20年以上続けていたのだから、まともじゃない。裁判や著者との面会においても、自分の犯罪を自慢すると思えば、急に痴呆症のふりをしたりと破滅的な言動を繰り返す。死刑判決の言い渡しにも動揺することはなかった。
小説や映画を超えた、とんでもなく強烈なサイコパスなキャラクター。現時点では刑が確定していないため、本書で彼女の過去をあまり掘り下げることができていないのが残念だ。 -
Posted by ブクログ
凄惨な事件、目を逸らしたくなる様な残酷な内容に思わず本書を途中で置きたくなった。被害者が分かっているだけで11人、加害者、関係者も合わせるとゆうに20〜30人は登場し、しかもそれが養子縁組や結婚離婚などで途中名字や戸籍が変わったりするから最初は相関関係を理解することさえ難しかった。だが著者の丁寧な取材のおかげで段々と整理されて来るとこの事件がたった1人の女の支配者とそれ以外の被支配者に分かれる構図なんだと理解出来た。極悪非道で自分勝手な犯人は奇しくも筆者が取材をしていた北九州で起きた事件と酷似するものがあり、被害者の人たちも同様に優しいいい人たちが多い気がする。犯人から執拗に責められることによって、自分が我慢すれば済む問題だからと良心につけ込んだり身内の他の人間を置いて自分だけ行けないという感情を利用したり、暴力団の存在を匂わせて脅したり、身内同士で密告をさせ、暴力を振るわせるなど類似点は枚挙に暇がない。こうならない為にはとにかく先ずは自分が逃げる、何をおいても自分自身の身の安全を確保することが大事かと思う。どれだけ卑怯だと言われたとしてもまずは自分が逃げる。身内を助けるのは外に出てから図るしかないと思う。あとは民事不介入の原則に組織の論理丸出しで応対する警察にはかなりきついお灸を添えなければならない、昨今家庭内暴力や子供への虐待などはだいぶ不介入の原則が変わりつつあるのだから、二度とこういう陰惨な事件を起こさない為にも抜本的な改革をして欲しい。飲酒運転は殆ど減らすことが出来たのだから(これも遅い改革ではあったが)現状では未成年保護法も考え直す時期に来ていると思う。やられ損などは一番平等の感覚から遠い、人の生きる希望を奪う行為だ。だからやらな損とばかりに法を破る人間が出てくる。あとは防犯対策としてカメラで超監視社会を敷く以外にないと思う。それでも防げない事もあるとは思うが少しでも犯罪の検挙率を上げる為に断固やる必要があると思う。というかもうCIAにはプライバシーを覗かれてる現状があるらしいし。それが可視化されるに過ぎないと思えばいいのではないか。それくらい急進的な意見を言いたくなるくらい人生を蹂躙されることへの怒りがある。何人も他人の人生の上に自分の幸せを打ち立てることは間違っている。解説でまだ著者がこの事件を追いかけていることが明かされた。今後もこの著者の活動を追いかけ作品を購入することで微力ながら応援したいと思う。
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Posted by ブクログ
事実は小説より奇なり。この事件、尼崎連続変死事件に至っては凡百のホラー小説よりも恐ろしいノンフィクションだ。
ある日、遠縁の親戚が難癖をつけて家に乗り込んできた。
保険代理店勤めの父、主婦の母親。二人の姉妹は姉がウェブデザイナーと妹は女子高生。
ごく一般的な家庭だった。
数年後、父親は家族から行方をくらまし、母親は暴行の末のくも膜下出血で死亡、姉は骨と皮だけになり衰弱死、事件発覚後に妹は懲役二十三年の実刑判決が確定。
親類縁者、更には全くの無関係な一家族を含めた六家族を巻き込み、十人を超える死者行方不明者が出た。
その裏には事件と認知されていない失踪者の存在もあるとされる。
しかし、主犯格の女が拘置所で自殺したことで、事件の全貌は暴かれることなく真相は永久に闇に葬られた。
家族同士を分断して監視させあう。
気に入った者は手懐け、気に入らない者には容赦ない。
しかも、自分の手は汚さずに家族に手をかけさせる。
人間性を破壊する。
その中心には人間の皮をかぶった悪魔がいた。
尼崎連続変死事件として知られるこの事件の、抑圧された内側からの風景を描き出す。