小野一光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ユダヤ人を虐殺したアドルフ・アイヒマンは「ただ命令に従っただけ。」という。結果的に大量の殺人をしたが結局はただの中間管理職的な働きをしただけ、ハンナ・アレントは「凡庸な悪」と称した。
座間にて2ヶ月あまりで9人を殺害した白石はただただ微量の金と性欲のためだけに行動した。誰の命令でもなく、仕方の無い理由もなく、ただただ怠惰の成れの果て。なぜこの事件は起きたのか。
習い事すぐやめたり学校サボりがちだったり、自殺を仄めかせて親から金を貰ったり、そこら辺はまだどこにでもいる自堕落なやつに思える。楽して欲望を満たして生きたいということを叶える為だけに9人をレイプして殺して小銭を盗んで2ヶ月あまりの欲望にまみれた生活。誰もが思ってる楽に欲望を満たして生きたいという凡庸な願いを叶えるために起こした行動が凄まじすぎて、そのギャップに狂気を感じる。サイコパス的な犯罪もある中、白石はそういう感じを見せず本当にそこらのダメな一般人のような感性をもっているように思える。
白石の精神鑑定。IQは110と高い。
・知的水準が高く、記憶力に優れる
・知識は浅い
・対人面は穏やか
・表面的に常識的な対応ができる
・他者の心情が読める
・他者との交流を求めず
・家族、家庭に葛藤があり価値を持たない
・内的には疎外感、攻撃性
・ストレスを蓄積すると、常識外れの残忍な衝動的行動をする可能性がある
後半の遺族への思いを聞かれるシーンで、本当の悪なんだなって感じた。
検察官「遺族に対しては?」
白石「証拠は見ましたが、遺族との面識はないため、思いが強く残ることはありませんでした。」
二年の拘置所生活では健康のために筋トレをしてたり、マスコミの取材を受けたわけはおやつを買う金が欲しかったから。筆者との取材でもグラビア写真集などを求めていた。本当に目の前の欲に忠実で我慢とか抑制ができないのだと思う。しかも、欲を叶えるための行動は計画深く行う、静かな異常性。
裁判後半に謝罪したと思ったら「被害者四人と一部の遺族の人です。」人を反省させるって難しいし、相手によっては不可能なんだな。まあでも死刑が確定してたら反省も何もないのかも。
裁判官「ショッキングな大事件ですが、なぜこのようなことを起こしたのか、原因はなんだと思いますか?理由よりも、原因として思い当たることがあれば?」
白石「客観的な見方ですが、当時のSNS事情が、弱っている人に対して、犯罪を犯そう、騙そうとしている人がアプローチしやすい、そんな環境ができていたから、犯行ができてしまったと推測します」
日常と地獄の境目はぼんやりとしているのだなと思った。被害者も死にたいとは言っていたが、まさかこんな風になるとは夢にも思ってなかったろうな。 -
ネタバレ 購入済み
お客さんは誰かに寄り添って欲しいのね。若い子には重すぎるよね。美和子さんの娘の彼氏に風俗しているのバレてしまいましたね。どうしてわかってのかしら。
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Posted by ブクログ
【この感想には過激な表現を含みます。】
「座間9人殺人事件」のレポート的な内容。
2017年10月31日。神奈川県座間市内のアパートから、二人分の頭部の遺体が発見された、同日、白石隆浩(以下「白石」という。)が殺人容疑で逮捕された。自殺幇助を装って近づき、殺害。その後金銭を奪い、遺体を解体して一部は遺棄、一部は自室にクーラーボックスに入れて保管。
捜査員が家宅捜査に立ち入った際、込み上げるような死臭に鑑識員が吐き気をもよおすほど、現場は凄惨だったという。
筆者である小野一光(以下「小野氏」という。)は、白石と拘置所内の面会室で対面し、取材を敢行した。小野氏は白石という人物を知るため、取材協力の報酬、書籍の差入れ等を持ち掛け、次第に白石の心を開かせた。
後に、殺人被疑事件として起訴され、死刑を求刑。現在は控訴はしておらず、極刑を受け入れている。
作品の内容は事実だけをピックアップしており、報告的でありながらも、小野氏の白石に対する嫌悪感をのぞかせるような文面も見られた。ジャーナリストとしての一面よりも、一人の人間として白石のような人間がいることを世間に知らしめたいという増悪感情を匂わせていた。
白石はどうしようもないほど自己中心的で身勝手な男であり、正直なところ、生まれてこない方がよかった人間であることは間違いない。これは、彼が20数年間生きていなければ、9人もの人が死なずに済んでいたのかもしれないからという意味でもあるが、何よりもその精神的な構造がそもそもおかしいのである。
一人目は金銭目的で殺害、二人目も同様で、三人目は二人目との二股を隠すために殺害等、とにかく節操なく使い捨てのように人を殺めている。殺害後は死姦して解体。頭部以外は生ゴミとして廃棄している。
なぜこのような凶行が見過ごされていたのか。
小野氏は自論として、「世間の他人への無関心と、心が弱った人間が見ず知らずの他人に頼ってしまうくらい、今の日本が病んでいるから」と述べていた。
白石は被害女性に対して、金銭を要求している。それも高額では20万円で、そのお金は借りるという名目で受け取り、その後、実際に返済している。こうすることで被害者は白石を信用してしまうのであるが、恐らく多くの人が思うであろう。
「そこまで親しくもない相手から金を貸してと言われ、例え返されたとしても、もう近づくのはやめようって思わなかったのだろうか」、と。
当然である。しかし、被害女性たちには共通点があった。優しさを欲していたのである。白石は被害女性たちからすれば、自分の心の隙間を埋めてくれる存在であったはずだ。だから信用してしまった。
白石が逮捕された時、通報したのは被害女性の一人の元交際相手であった。連絡がつかないことに違和感を覚え、白石との痕跡を見つけ、接触し、白石から被害女性と会ったという言質を取った上で、警察に通報したことで発覚したのである。
この男性の行動がなければ、恐らくさらに被害は拡大していたと思う。別れたとは言え、彼女の心情を理解していた男性は、連絡がないという世の中では当たり前にあるすれ違いを、「おかしい」と判断した。かなしいかな、これが男性が見せた優しさであったのであれば、それに感謝こそすべき女性はもうこの世にいない。
ルポ系の本は胸糞が悪くなるので普段読まないのだが、どうしても気になって読んだら、案の定胸糞だった。内容が凄惨であるため、皆さんにおすすめはしません。興味がある方だけ、手に取ってください。
最後に、この事件で被害に遭われた方々のご冥福と、被害者遺族の皆さまが少しでもつつがなく生活できることを、心よりお祈りします。 -
Posted by ブクログ
この事件が発覚したとき私は入院していて、お見舞いに来た人から「自殺願望のある人の自殺を手伝ってたんだって」という情報しか聞いておらず、特に気にすることもなかった。
7年経ちこの本を読んで、聞いていた話と全く違っていたし、内容にとても驚いた。
どうしてしまったのだろう。この期間、死刑囚のことが気になって気になって仕方なくなってしまった。何度もWikipediaやYouTubeを漁り、事件について調べている自分が居た。事件現場に行ってみようか本気で迷っている。行ったところで何もならないけど。それほど衝撃を受けたのだと思う。
現在はそれほどでもないが、数年前に慢性的に「私なんてこの世に居ても居なくても変わらない、不必要な人間なんだ。この世から消えたい、死にたい」という気持ちを抱えていた。死ぬ方法を調べたこともある。
この本でとても印象に残ったフレーズとして、第二回公判の精神科医の先生の希死念慮についての説明の部分。
「強く死を考えること=死を決心することではない」
エピローグの部分の、
「人生の苦悩に溺れそうになり、藁にもすがる思いで助けを求めた被害者」
特別対談の部分の、
「死にたいと言っていたとしても、本当に死にたいわけじゃなくて、死にたい気持ちの人同士で繋がりたい、みんな寂しいんですよね、きっと」
これらのフレーズは、かなり刺さった。あの頃の自分に読ませたい。
この不安定な部分に入り込んだ凶悪犯罪。カネ引っ張れたの最初の1人だけじゃん。SNS上の人間と実際に会うことがいかに危険か分かる事件だった。マッチングアプリとか大丈夫なのかな?やったことないけど。