あらすじ
福岡県北九州市で7人が惨殺された凶悪事件が発覚したのは、
2002年3月のことだった。逮捕されたのは、松永太と内縁の妻・緒方純子。
2人が逮捕された2日後に現場入りを果たして以来、
20年間にわたってこの“最凶事件”を追い続けてきた事件ノンフィクションの
第一人者が徹底的に描く、「地獄の連鎖」全真相。
【著者略歴】
小野一光(おの・いっこう)
1966年、福岡県北九州市生まれ。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーに。
「戦場から風俗まで」をテーマに、国際紛争、殺人事件、
風俗嬢インタビューなどを中心とした取材を行う。
著書に『風俗ライター、戦場へ行く』『連続殺人犯』『震災風俗嬢』
『新版 家族喰いーー尼崎連続変死事件の真相』『冷酷 座間9人殺害事件』
『昭和の凶悪殺人事件』など。
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筆者の個人的な感情は出来るだけないように、事実とされていることを残しておかなければという強い意志を感じた。流れがわかりやすくどうやって進んでいったかがとても理解出来ない事件なのに頭のなかにすっと入ってきた。
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漫画『ウシジマくん』の『洗脳くん』という話は、この事件が元ネタだと聞き、読んでみました。
読み終わって、真っ先に思ったのは「なんと胸糞悪い事件か」という事です。
けれど、よくぞこの惨劇を本にしてくださったと、著者の方に感謝しました。事件を世に知らせてくれて良かった。読めて良かった、知って良かった。
そう思える1冊でした。
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完全ドキュメントと銘打つだけあってとても詳しいのだけれど、その犯行の実態はよくもまあこんなこと考えついて実行したなと読んでいてムカムカした。事件としてはなんとなく知ってはいたけれど、ここまでとは・・・結果死刑囚となった男の弁護士は「本当にこの人は無罪」と思っていたのかな。思ってなきゃ弁護なんてできないんだろうけれど、そう思うと弁護士ってのも大変だよねぇ・・・
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ずっと気分悪いまま何とか読み切った。5歳と10歳の子供まで…信じられないけど実際の事件。松永のような人間は近くにいるのだろう。そして緒方のような人間も。
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読み終えて、どっと疲れた。得体の知れない怪物との戦いを終えたような消耗がある。その怪物は我々の日常生活に紛れ、こちらを伺っているのだ。
この犯人を言い表す言葉は恐らく存在しない。「邪悪」すら生ぬるい。おそらく遺伝子の中に人を騙し、追い詰め、死に追いやる要素が紛れていた。そうとでも考えないとやっていけない。
事件の詳細さは目を逸らしたくなるレベルだが、それでも見てしまう引力がある。
恐るべきなのはこうした凶悪犯罪が今もどこかで人知れず行われている、という現実である。
圧倒的濃度の一冊である。
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著者の余計な憶測や感情が一切なくてとても読みやすく、わかりやすい内容。本当のドキュメント。
この事件を聞いた誰しもが『なぜ一家は逃げられなかったのか?』という疑問に行き着くと思う。それを知りたくて読んだわけだが、やっぱりわからなかった。その従わざるを得ない理由を理解はできるが共感や納得はしない。松永の巧妙さが完全受け身の一家に作用してしまったのが不幸だったのか。
一家を騙して従わせた松永は相当 頭がいいのだろうとほめる人まで出てきそうだが、他人の人生に次々と寄生し喰らいつくすような生き方しかできないこの死刑囚には遺族の言う『害虫』という表現がとてもよく合う。
こんな事件は人々の記憶からさっさと消えてしまうのが、残された親族や死を免れた被害者にとって幸せなのではないだろうかとまで思う。
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これぞドキュメント!というように、事件の内容、当事者それぞれの行動や思考が記載されていました。
読んでいる途中でフィクションではないか、いやそうであってほしい、と思わせるような事件で、情報量も膨大で、それをここまで読みやすく分かりやすく書かれていることに感動しました。
関係する人があまりにも多いのですが、登場する人物たちの関係図があったので、だいぶ分かりやすかったです。
また本の中の展開(必ずしも時系列順ではないこと)で、だいぶ引き込まれました。読み終えたときには、ほっとした気持ちになりました。
基本的には小説ばかり読んでいますので、ノンフィクションでかつドキュメント形式のものは初めてに近かったですが、とても読みやすかったです。
裁判の記録も細かく記載されていたり、事件以外の部分も興味深かったです。
ただ、しばらくお肉料理はしたくなくなりました…。
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この本を読む方はすでに豊田正義の『消された一家』を読んだことがあるか、あるいは当事件をモデルにした小説や漫画を読んでいるかも知れない。本書は裁判記録や関係者への取材を多く引用し、そのためにやや物語調に書かれている『消された一家』より読みづらいと思うかも知れない(あと単純にページ数も多い)。しかしそれにより事件の凄惨さ、救われなさが事実として非常な重たさを持って感じられる。
ちなみに読む時は気力と体力が十分にあるときに読んだ方がいいです。
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北九州の監禁殺人のノンフィクション
とにかく内容がすごい
金のために知り合いをどんどん殺し
死体を室内で処理して ほとんど遺体がでていないとは
驚き
こんなことが実際に起こるとは信じられない
通電することで逆らうことを人間はやめていき
いわれるがままになるとは空恐ろしい
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20年以上前の北九州連続殺人事件のドキュメント。
570ページにわたり、事件の事実である肉親である両親、妹、妹の夫、甥や姪を互いに殺させ、遺体を解体させる。電気を身体のあちこちに通電するなどの虐待をするなど。
読書中の一週間は常に、このマインドコントロールをする側、される側の感情の動きを想像しながら、自分のコントロールもできないほど、鬱々とした気持ちだった。
それだけこの事件は残酷であった。
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まさに「完全」ドキュメント。
えげつない事件を、丹念に追いかけている。著者の努力に頭が下がる。
関わった人たちがお互いに殺し合いさせれる場面も余すところなく描写されており、まさに目を覆わんばかりで、吐き気を催す。
取材途中の、記者や警察、検察との一問一答が相当ページあるのも臨場感。
事件自体は、非道、と言う他ない。
主犯が、最後まで無実を主張し続けるのも、冤罪の可能性というより、破廉恥としか思えない。
それにしても、市井の一般市民が、誰でもこうことに巻き込まれかねないのが現実だ。
こういう人外の存在が、実際にこの世にあることが、実態だ。
日本はまだ、平和であろう。
安全であろう。
それでも戦慄を禁じ得ない。
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★★★★
今月3冊目。
日本の凶悪事件ベスト3に入る、いや、トップかもしれない事件。
家族同士を殺し合いにさせたり遺体を解体させて捨てたりとにかくとんでもない。この本なんと575ページ。
逮捕から裁判の傍聴など、豊田さんの消された一家とはまた違った切り口。
悪魔ってのはいるんだな。松永然り、尼崎の角田然り、そして埼玉愛犬家の関根然り、バケモノはいる。
Posted by ブクログ
職場の人に「はい!」と渡された本。今回はなかなかきつかったー。
まず,渡された時のビジュね。分厚い!!鈍器かなと思った。年表入れると575ページ。
北九州監禁連続殺人事件って、なんとなくそんな事件あった気がするなーって感じだった。内容はあんまり覚えてなかった。
報道も少なかったのでは?って思ってたんだけど、あまりにも凄惨な事件すぎて報道規制がかかってたとか。
昨今,報道の自由がどうちゃやいうのに、報道規制に甘んじれるってどうよ?って思ったら、これはマジで朝の情報番組や夕方アニメの後にニュースで迂闊に流せられないヤツだった。かろうじて,深夜だな。
17歳の少女が監禁?(この場合軟禁かな?)から逃げ出したことで発覚した、最狂な事件。
松永太と緒方純子が監禁し、凄惨な虐待ののち少なくとも7人を殺した。17歳少女と、もう一人は逃げた(PTSDに現在も苦しんでいる)。そして、おそらく、自殺者も。
逃げた少女の父も、体に通電され、食べ物や排泄を制限、風呂場で寝起き,昼間は立ちっぱなし、ご飯の時間も決められて・・で,衰弱ののち、電気ショックで死亡。その遺体を隠すために解体して煮込んで、排水に流したり、数箇所の公衆トイレにながしたり、フェリーに乗って海に投げたり。
その後、緒方の家族、父,母、妹、妹の夫、妹の子どもたちを互いに殺させ、同じ様に解体,煮込んで遺棄させる。もうそれは凄惨すぎる。
しかも、だんだん減っていく家族。虐待により感覚は麻痺し、正常な精神でなくなり、松永に言われたことをやらなくては通電(体に電流を流される)されるとなると、家族であろうとも殺らねばならなくなるし、遺体を解体しなくてはいけないと洗脳されていく。
生きてる方がしんどい。
10歳と5歳の子どもが亡くなるのはほんとにしんどい。最後が10歳の女の子。小学生3.4年。もう自分達の異常さもわかるし、自分が親や弟を殺した(加担した)ことも分かる。そこで自ら諦めて死んでいくのは地獄すぎる。
最終,松永は死刑、緒方は無期懲役となったのだけど、それが最良だったのかわからない。
死刑宣告され20年経った今も、松永は生きている。
栄養のあるご飯を食べて、お布団で清潔な部屋で,誰にも脅されることなく生きている。
子どもたちは5年、10年しか生きられなかったのに。
最終,死刑が執行されたとしても、おそらくさくっと絞首刑。
彼が殺した7人はそんな簡単じゃなかった。何日も何日もかけて、拷問ともいえる状態で、日中は立たされて、トイレも満足に使えず、まともなご飯も食べられず、お風呂場で数枚の新聞紙だけで寝かされていた。
いつ、体に電流が流されるのかを恐れながら。
文化的な日本でソレはありえないし,ダメなんだろうけど同じ目に合わせたい。そうでなければ遺族は割に合わないんじゃナないんだろうか?
それと。緒方が無期懲役なのは、彼女もまた松永の被害者でDVによる洗脳があっての、加害とみなされたから。ソレはわかる。分かるけどーっ!!
ただ、彼女は松永と違って、獄中で反省しているのが救いかもしれない。
のほほーんと私らが日々をすごしている今日、いまも、どこかでこんな酷い目に合ってる人がいるのかもしれないと思うと,やるせない気持ちになった。
Posted by ブクログ
マインド・コントロールではないかもしれないが、職場の無口で口下手な上司から、毎日否定をされ続け、最初は「何だよ口下手のくせに、否定する時だけ饒舌に喋りやがって」と心の中で反発していたが、毎日繰り返されることにより、いつの間にか「自分は成果の残せない、ダメな人間」「この世にいてもいなくても変わらない存在」だと思い込むようになり、仕事に行くのが辛くなり、配属を変えてもらうという体験をしたことがある。
この自分に起きた心の中の出来事を、言葉や文章で表すことは難しい。同じようにこの本でも、マインド・コントロールによって操作されていった大人たちの精神の経緯が、文章ではどうしても伝わりにくかった。
誰も反発しようとしなかったのか、脱出しようとしなかったのか、大人5人で力を合わせて松永を押さえつけ、通電の反撃はできなかったのか、などなど、読み進めていくほど妄想が膨らんでいく。
原武さんや末松さんのように、女性の恋心を利用して騙していく流れはなんとなく想像できるのだが、大人、数人、全員がコントロールされていくことは、どうしても想像できない。通電などの暴行を受けて衰弱していき、抵抗できなくなっていく前に、どうにかできなかったのかと、どうしても思ってしまう。
解体も凄まじい。2017年に起きた座間9人殺害事件では、首から上の解体が難しいとの理由で、クーラーボックスに頭部を隠していたというのに、この事件では脳のチェックまでしていて、遺体の一部も残さずに捨てられている。並大抵のことではない、よっぽど支配されていたんだなと思うし、10歳の子が解体に関わっていたというのだから、つらくなる。
その10歳の子の殺害、解体のシーンが読んでいてしんどかった。学校にも行けず、友達とも遊べず、虐待されて、大人の死体の解体を手伝わされて、最終的には自分も殺される‥。通電のときの「ヒックヒック」というしゃっくりのような動きが可哀想で仕方なかった。怖かっただろう。
筆者と松永との面会でも、松永の悪あがきが見て取れる。筆者が自分の思い通りに動いてくれないと判断したら、連絡をスパッと切る態度。「こ、コイツ‥」と声が出そうになったし、性格が出てるなぁと思った。
まだ死刑執行がされていない。糖尿病になって、自分一人では生活できなくなっていると聞くが、寿命でこの世を去るようなことがあれば、報われない人がたくさんいると思う。早く執行されることを望む。