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“二十一世紀最大の謎”を描ききった事件ルポの白眉! まさに未曾有の怪事件。発覚当時63歳の女を中心に、結婚や養子縁組によって複数の家庭に張り巡らされた、虐待し搾取する者とされる者が交錯する人間関係。その中で確認された死者11人。この複雑きわまる尼崎事件の全容を執念の取材で描いた、事件ノンフィクションの金字塔。文庫化にあたり70ページ大幅増補。 解説・永瀬隼介
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Posted by ブクログ
作者の綿密な取材力が伺える作品でした。それにしても(文字通り)家族が喰い散らかされる顛末は恐ろしいです
NHKスペシャルの再放送を見て読書。 おぞましい事件を事細かにルポされている良書。事件の特殊性による取材のしづらさ、関係者の多さを何とかまとめている感じ。 このような事件が現代日本で起きたことが恐ろしい。
凄惨な事件、目を逸らしたくなる様な残酷な内容に思わず本書を途中で置きたくなった。被害者が分かっているだけで11人、加害者、関係者も合わせるとゆうに20〜30人は登場し、しかもそれが養子縁組や結婚離婚などで途中名字や戸籍が変わったりするから最初は相関関係を理解することさえ難しかった。だが著者の丁寧な取...続きを読む材のおかげで段々と整理されて来るとこの事件がたった1人の女の支配者とそれ以外の被支配者に分かれる構図なんだと理解出来た。極悪非道で自分勝手な犯人は奇しくも筆者が取材をしていた北九州で起きた事件と酷似するものがあり、被害者の人たちも同様に優しいいい人たちが多い気がする。犯人から執拗に責められることによって、自分が我慢すれば済む問題だからと良心につけ込んだり身内の他の人間を置いて自分だけ行けないという感情を利用したり、暴力団の存在を匂わせて脅したり、身内同士で密告をさせ、暴力を振るわせるなど類似点は枚挙に暇がない。こうならない為にはとにかく先ずは自分が逃げる、何をおいても自分自身の身の安全を確保することが大事かと思う。どれだけ卑怯だと言われたとしてもまずは自分が逃げる。身内を助けるのは外に出てから図るしかないと思う。あとは民事不介入の原則に組織の論理丸出しで応対する警察にはかなりきついお灸を添えなければならない、昨今家庭内暴力や子供への虐待などはだいぶ不介入の原則が変わりつつあるのだから、二度とこういう陰惨な事件を起こさない為にも抜本的な改革をして欲しい。飲酒運転は殆ど減らすことが出来たのだから(これも遅い改革ではあったが)現状では未成年保護法も考え直す時期に来ていると思う。やられ損などは一番平等の感覚から遠い、人の生きる希望を奪う行為だ。だからやらな損とばかりに法を破る人間が出てくる。あとは防犯対策としてカメラで超監視社会を敷く以外にないと思う。それでも防げない事もあるとは思うが少しでも犯罪の検挙率を上げる為に断固やる必要があると思う。というかもうCIAにはプライバシーを覗かれてる現状があるらしいし。それが可視化されるに過ぎないと思えばいいのではないか。それくらい急進的な意見を言いたくなるくらい人生を蹂躙されることへの怒りがある。何人も他人の人生の上に自分の幸せを打ち立てることは間違っている。解説でまだ著者がこの事件を追いかけていることが明かされた。今後もこの著者の活動を追いかけ作品を購入することで微力ながら応援したいと思う。
事実は小説より奇なり。この事件、尼崎連続変死事件に至っては凡百のホラー小説よりも恐ろしいノンフィクションだ。 ある日、遠縁の親戚が難癖をつけて家に乗り込んできた。 保険代理店勤めの父、主婦の母親。二人の姉妹は姉がウェブデザイナーと妹は女子高生。 ごく一般的な家庭だった。 数年後、父親は...続きを読む家族から行方をくらまし、母親は暴行の末のくも膜下出血で死亡、姉は骨と皮だけになり衰弱死、事件発覚後に妹は懲役二十三年の実刑判決が確定。 親類縁者、更には全くの無関係な一家族を含めた六家族を巻き込み、十人を超える死者行方不明者が出た。 その裏には事件と認知されていない失踪者の存在もあるとされる。 しかし、主犯格の女が拘置所で自殺したことで、事件の全貌は暴かれることなく真相は永久に闇に葬られた。 家族同士を分断して監視させあう。 気に入った者は手懐け、気に入らない者には容赦ない。 しかも、自分の手は汚さずに家族に手をかけさせる。 人間性を破壊する。 その中心には人間の皮をかぶった悪魔がいた。 尼崎連続変死事件として知られるこの事件の、抑圧された内側からの風景を描き出す。
酒飲んでてこの事件が話題に出て、ほとんど知らなかったので本読んでみた。いやあとんでもねえな。北九州の事件に似てるのかな、と思ったんだけどあちらの密室性とはまた違くて、ファミリーを組織して堂々と生活してたのがびっくりした。しかし北九州の松永もそうだけど、人の心につけこんでマインドコントロールするのがと...続きを読むてつもなく上手いようで、文章で読むだけだとなんでこれ逆らえないの?って何度も思ってしまった。本の構成としてはすげえ読みにくくて、事件の時系列の通りに書いて欲しいとこを取材の流れに応じたような書き方がされてた。この記者の取材力と根気はとんでもないと思うし、口が堅そうな人たちから証言引き出してるのもすごいけど、まあ読みづらいわ。しかし警察、民事不介入って怪我した人が来てても門前払いしてんのは酷すぎる。主犯の角田に対する怒りよりも警察に対する歯痒さが大きかったな。中に出てくるXって団体は何かなって考えたんだけど、これはやっぱ同和の事なんだろうなあ。しかし恐ろしい事件だわ。この人の本はもっと読んでみよう。
詳細を丁寧に取材され、事細かく書かれています。角田美代子が何故このような強行に及んだのか、本人不在な為全ては知ることができませんが、おおよその生い立ちや動機などが想像出来る。
尼崎連続変死事件のノンフィクション。 複数の家族が長期間監禁、虐待、資産を奪われるなどして殺害された事件。死者・行方不明者は10人以上に及ぶ。 主犯・角田美代子による、家族同士で暴力を振るうよう仕向けて分断させる手法は北九州の事件を連想させる。が、あの事件の主犯のようなサイコパスな印象は本書を読ん...続きを読むだ限りではない。親族間のトラブルなら民事不介入を理由に警察の手が及ばないと味を占めた無法者という印象。実際には交際のない暴力団の大物の影をちらつかせて相手を脅しながら、逆に本物が出てきたらビビって平身低頭して謝罪する小物感。自分だけさっさと獄中で自殺した点から考えても本性は人間性が卑劣なだけの小心者だろう。著者も書いているが「決してモンスターではない」。ここまで角田をのさばらせ大勢の被害者が出る大事件にしてしまったのは、何度も相談を受けながら民事不介入の一点張りできちんと角田周辺を捜査しなかった兵庫県警や香川県警の失態による部分も大きい(被害者の一人は逃亡後、最寄りの兵庫県警ではなく大阪府警に助けを求めて駆け込んでいる)。それでも桶川の事件のときの埼玉県警上尾署みたいにもみ消ししないだけまだマシか。 他人の家庭は破壊しておきながら自分は血のつながらないファミリーを形成して悦に入っていた美代子。子供の頃から両親に放置され、十代にして実の母親から売春して稼げと言われてやらされる。荒み切った家庭・生育環境ゆえグレたのだろうし普通に暮らしている普通の家族を、自身の生い立ちと比較して憎む気持ちもあったのかな、と思った。「かわいい妹」と口では言いながら共犯の妹(もとはいとこ)に50歳前後まで売春させて金を稼がせていたり、戸籍を動かすことに関しての感覚が軽かったり倫理観の欠如は窺える。 こういう手合いに絡まれた場合はまず警察に相談、警察がダメなら弁護士に相談。決して折れず開き直って「来るなら来い」の姿勢。反抗してきた相手に対しては手を出さなくなるのは北九州の事件も同じで、この手の輩は自分より弱い者を獲物に選ぶ。
とにかく登場人物が多いのが特徴的な事件だった。北九州の事件と併せて読むと、どのようにして他人を傀儡化するか共通点を見出だせる。 家族喰いというタイトルが秀逸です。
表題からして強烈だが。内容も相当に強烈だった。本当にあった事件、というところが、さらに凄まじい。 櫛木理宇『侵蝕』と併売予定。
未曾有の怪事件「尼崎連続変死事件」の真相を追うノンフィクション。 事件現場に密着した執念の取材により、新たに発覚した真実を文庫化にあたり追加編集。 ・・・つーか、こんなに入り組んでたのね~。。。 頭、こんがらがるわ!マジで!! んで、主犯の角田美代子が留置所で自殺って・・・マジ、ありえね~!警察...続きを読むなにやっとるんじゃ!?って感じだし。 この本の中で、一番心に残ったのが、谷本さん。 谷本さん一家は、壮絶な運命をたどる。 谷本さんは奥さんと離婚させられたうえ、奥さんと長女を殺され、実の兄も殺され、高校生だった次女は角田に取りこまれ、加害者として服役中なのだ。 それでも谷本さんは、事件を知る者として証言し、次女の帰りを待ち続けている。 角田らと関わりさえしなければ、幸せに暮らしてたであろう一家を思うと、本当に「どうしてこんなことに?」と思ってしまう。 逃げては捕まえられ、連れ戻され、恫喝され、金銭を要求され、家族間で暴力を振るいあうように仕向けられ、親族にも容易には相談できず、地獄に引きづりこまれる・・・。 怖くても、毅然とした態度、とれるかな? 弁護士などに相談するなどした人は、関わりから逃れられたらしい。優しい人、弱い人、お金で片づけようとした人がどんどんつけ込まれた感じ。 幼少時から関わって角田家の養女、美代子の妹になった三枝子さんなんかは実子を美代子に取られたうえ、犯罪者にさせられ、自身は売春しながら美代子の贅沢三昧のな生活を支えてきたというのだから、なんともはや。 事実は小説より奇なりというけれど、いやはや・・・なんとも理解しがたい。 こんな常軌を逸した人々と関わりにならずに一生を平凡に暮らしたいものである。。。
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新版 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相
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小野一光
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