「高杉良」の長篇ビジネス小説『辞令』を読みました。
「内館牧子」の『終わった人』に続き、ビジネスマンの命運を描いた作品です。
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ビジネスマンの命運は、たった1枚の紙切れに左右される!
大手エレクトロニクスメーカーの宣伝部副部長「広岡修平」に、突然、
...続きを読む辞令が突きつけられた。
異動先は「人事部付」。
有能で人柄も良く、大きなミスもせずに社内の出世レースのトップを走っていた「広岡」に、左遷される節は思い当たらない。
仕事に対する情熱と正義感では引けをとらず、自他共に認める同期の第一選抜だった「広岡」が脱落したのは、なぜか?
その内実を自ら調査し始めると、会社内に蔓延する思惑とファミリー企業ならではの病巣が次々と明らかになる。
敵は誰か? 同期か、茶坊主上司か、それとも……?
ビジネスマンの人生を左右する「辞令」のカラクリを暴き出すビジネス小説界の「現代の新古典!」
「サラリーマンならだれしも経験する人事異動の際の一場面。
本作は1988年の刊行だが、30年たっても古びた印象がしないのは、企業社会の本質である『組織と人間』の問題を、『辞令』というそのものずばりのモチーフで活写しているからにほかならない」――解説「加藤正文」
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1988年(昭和63年)に刊行された家電業界を舞台としたフィクション作品… 30年くらい前の作品なので、やや古い感じはしますが、現代に通じるテーマが扱われているので、どこかで見たような、聞いたような、すでに知っているような感覚を持ちながら読めました。
■第一章 ある日突然に
■第二章 憂鬱な一日
■第三章 部長の背信
■第四章 情事のあとで
■第五章 人事マフィア
■第六章 財務部長の犯罪
■第七章 情状酌量
■第八章 辞令の重さ
■解説 「組織と人間」を見つめて――高杉良の世界―― 加藤正文
大手メーカー・エコーエレクトロニクス工業株式会社宣伝部副部長の「広岡修平」に、左遷辞令が下る… 有能で人柄も良く、同期中の出世頭だったはずなのになぜだ!? 自ら調査に乗り出した「広岡」は、ファミリー企業に巣食う利己的な思惑と保身、讒言、足の引っ張り合いに巻き込まれていく、、、
「広岡」が左遷に至った背景には、宣伝部長の座を狙う「小林会長」の息子(「ジュニア」)の思惑や、上司である宣伝部長「前島」の暗躍があった… それでも「広岡」は、前向きに人事部で役割を全うしようと行動し、元部下「村山」の理不尽な異動を阻止したり、同期で第二財務部長の「太田哲夫」の横領による懲戒解雇のピンチから救う。
しかし、「小林会長」に目を付けられた「広岡」は、本流に戻ることができず、子会社エコー不動産株式会社への出向辞令を受け取ることに… 「広岡」の本流復帰を期待しながら読み進めたのですが、リアリティのある処遇で物語は幕を閉じました、、、
組織と人間のあり方、人事異動の悲喜こもごも、いつの時代にも普遍の人間模様… 自分の会社員としての人生に重ね合わせながら読んじゃいましたね。