高杉良のレビュー一覧
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この本では、東証2部上場までが語られることになりますが、その後、コムスンの介護事業を助けようとしたり、学校の改革に乗り出したりと、一環して社会貢献ができる分野に乗り出しているのがわかります。
アソシエやさまざまな書籍を見ている間にできた自分的な渡邊氏のイメージとしては、温和な笑顔ばっかりの人だったのですが、本書で多少イメージが変わりました。やっぱり基本は温和な人のようですが、時にはそうではない面を覗かせることもあり、社長というのは笑っているだけでは仕事にならないんだなぁと思いました。
今も昔も好きな経営者のうちの一人なので、これからも見物(笑)を続けていきたいと思います。 -
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1999年8月20日に発表され、その後の日本金融業界の方向性を大きく左右した第一勧銀、富士銀、興銀の三社大合併の内幕を、綿密な取材に基づいて描く実名企業小説。
高杉良の小説を読んだのは実は初めてだった。実在の企業と実在の人物を使って現代の事件を再構成する実名企業小説の手法は、歴史小説の現代版といった趣きで、どこまでが取材に基づいた事実で、どこまでが著者の想像の産物なのか、わけのわからぬままに小説世界に巻き込まれてしまう。
企業統合におけるトップ(特に興銀の西村頭取)の決断の速さによって電撃的な三行統合が実現する様が描かれる一方で、逆に、トップの IT の重要性に対する致命的な意識の低さが日 -
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クラレ、倉紡、法政大学大原社会問題研究所、
そして何より、倉敷大原美術館。
中国地方の大資本家で大実業家の大原孫三郎の物語。
メセナの精神を大正期に唱えた功績は
倉敷を一大文化都市へと昇華させただけではなく、
日本の産業、財界の在り方にも大きく影響を与えた点にある。
その生涯は信念と情熱に燃え、内にあっては
真の友を求めやがて人を信じ愛しつづけ、
外にあっては、労働環境の整備を第一として
会社と市民の関係を重視するという。
そして文化を愛し育てることに注力している。
日本の片田舎の美術館に、これほどの世界的名画があるという事実。
これって、本当にすごいことだ。 -
Posted by ブクログ
経済小説。バブル崩壊前の建設業界を描いている。
大手ゼネコン「東和建設」のメーンバンクに勤める山本が出向を命じられるところからスタートする。
そこで建設業界の様々な一面を見ることになる。
政治力がものを言う世界。騙し合い。談合は当たり前の世界。
物語とは別に「談合」については、考えさせられるものがあった。
果たして「談合」は必要悪なのだろうか?
毎回思うが、人物の心情表現が巧みさがすごい。
ありありとその場その場の臨場感が伝わってくる。
そして、社長業の難しさ。まったく違った価値観を持った人達を同じ方向に持っていかなければならないが、
まわりにYesマンばかり集めてしまうと大きな損失につ