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「エリーズ・ギャロワ博士が会いたがっている」人工知能たちがグアトにそんな噂を教えてくれた。面談を求められるような理由に心当たりはなかった。ほどなくして彼女は行方不明になってしまう。 ギャロワ博士は、ヴァーチャル世界に資する研究を続け、ついに「究極の恵み」とまで賞される成果をあげたという。博士は自らの意志で姿を消したのか、それとも事件に巻き込まれてしまったのか。
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Posted by ブクログ
この最新刊から読んでしまったので全く登場人物がわからず…だったのにやはり面白かった。ウォーカロンにもあまり馴染みがなかったけれど、学生時代に森博嗣を読んでいたから真賀田四季は流石に知っていて、え、ここにも!?となった。近未来の設定がとてもおもしろくてもっと知りたくなったので遡って読んでみたいと思って...続きを読むいる。 正直途中からエリーズの意図はだいたいわかったけれど、そこに至る世界観がやはり面白い。途中でぼやきみたいなものが入るたびにクスッとしてしまった。
バーチャルの世界を行き来できる人類に足りないものとは?天才ハッカーが残した大いなる恵みとは?今回は少し哲学的な感じがする。 そして毎回感心するのがこのタイトル。感想を書こうとしてタイトルをみたら、ようやく意味がわかった。 グアト・ロジの関係が円熟味を増してきて、昔みたいなイチャコラ感がなくなって...続きを読むきたのが少し寂しい。
人間がヴァーチャルへシフトすることができる時代。 エリーズ博士はなぜ語らなかったのか?どこにいるのか? シリーズとして安定して楽しめるのもグアトとロジのやり取り、グアトと人工知能のやり取りが楽しいからかな。 読みながら毎度ニヤニヤしてしまう
「意識というものが、ソフト的に構築されるものであり、経験と判断の積み重ねによる反応のシステム化にすぎない、いわば幻想といっても良いくらいの存在だということを、人間は受け入れざるをえなくなった。まだ、これは全世界、全人類には浸透してない。認めたくないだろうね、スピリットの存在を、単なる観察、あるように...続きを読む見えるだけの幻想だとは、信じたくない。人間がそれに抵抗するうちに、人間以外のものが、どんどん発展を遂げて、人間を凌駕していくことになる。人間が迷っているうちにね、人間以上のものになる。まあ、それもまた、自然淘汰かもしれない。悪くないよ、全然」 「ヴァーチャルで究極の幸せを手に入れることができる確かな手法が完成したのであれば、リアルのボディは重荷だと感じられる、ということかと」 人間は、自分の亡骸を自分一人で処理することができない。誰かに頼むしかない。リアルでは、そんな不自由な制約がある。 死んでも、不自由だということだ。 死は、自由を獲得するものではない。 「人間が幸せを感じるためには、不幸せな状態からの脱却であったり、少なくとも不幸せが想像できる状況が必要なんだろうね。だから、マイナス面をすべて排除してしまったら、幸せを感じられなくなる。空腹だから食事が美味い。食べ続けていたら、食欲もなくなる。平和すぎる社会には、鈍い幸せによって閉塞感が蔓延するはずだ」 どうすれば良いかな、と考える。 何をしてあげられるだろう、と悩んだ。 言葉はいろいろ思いついたけれど、どれもずれているように感じる。 まあ、言葉というものは、そんな程度のもの。 それに、人間って、だいたいずれているんだな。 生まれたときには、そうじゃなかったのに、成長するほどずれてくる。 本当の自分から、周囲に合わせ、社会に合わせ、少しずつずれていくんだ。 それに、ときどき気づいて、泣きたくなる。 だから、泣けば良い。 泣いている彼女を、僕は抱いていれば良い。 それだけのことか、と結論が出た。
大好きなシリーズ。 今作もまごうことなき名作でした。 グアトとロジの関係がどんどん良くなっている気がします。 今年の春に新刊出なかったから、今作で終了なのかな? だとしたら、少し尻切れトンボな感じで寂しいので、まだ続けて欲しいです。
幸福とは何か?神の恵みという表現からは、人が志向して望むだけが幸福ではないとの説が成り立つ。 意識だけが、幸福を紡ぐのではない。 個を超えたところ、種の領域に根ざす幸福も、我々を縛っているのかもしれない。 気づかないところでそっと…。しかし強固に。 「人間っていうのは、とても高い適応能力を持って...続きを読むいるんだ。自分で信じてしまうものが真実になる。騙されているのに、騙されているのではない、自分から信じたと思い込めそうして自己防衛するからね。むしろ、外部から観測すると、騙さ れたいと思っているようなものだ。 幸せというものの大部分は、自分で自分を騙している。騙されたいことに近づき、騙されて嬉しくなる。そんなメカニズムかもしれない」p107 「理屈がないから恐ろしい。理屈から外れているから怖いんだね。でも、理屈の及ばないものが存在して、それが私たちを統べる存在なんだ。それがなかったら、人間はばらばらになって、力を合わせることもないし、お互いに話し合うこともない。愛した り憎んだりしながらも、人間が社会を作ってきたのは、怖いものの存在があったからだともいえる」p266
毎回違うテーマで問いかけがある。それと別に主人公ペアぞれぞれの感情がゆっくり変化して、低温〜常温での思索の面白さから、ちょっとほっこりした物語になってきた感じがする。
あぁそうか…(._.)ここまでバーチャルの世界が確立されていても、リアルで不老長寿が実現しても、結局行き着く先はそこなのか?(-_-;)ロジの不調はホルモンバランスの乱れか?母性本能のせいか?それとも他に理由が?(・・;)と気になるけれど、とても可愛い(*^^*)
自分が存在した痕跡を消した研究者は何を願っていたのかという話。 グアトは何かを感じるが、具体的には判らないとき、確かに読んでる当方も何か感じるものがある。何だか判らないから、もどかしく感じる。 最終的に答えに行き着くけれど、何がどうつながったのかよく判らなかった。まあ、当方の頭が悪いんだろうけれど...続きを読む。 バーチャルに移行すれば身体の軛から逃れ、寿命や病気や様々の面倒な諸々からオサラバできるだろうと思うのだが、作者からの提示には納得しつつ、長い物語の此処で此れが出てくるのかとも思う。 前作から登場人物が増える展開かと思ったが、そうでもなかった。ロジはすっかり人が変わって、本人も戸惑っている。グアトは相変わらず鈍いなと感じる。 3人で暮らしたら、グアトも変わるかな。
今作も深く考えさせられましたよ。 幸せとは?不幸とは?生きるとは?死ぬとは? 森先生の作品を読むと毎回死生観を考えます。
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