あらすじ
「エリーズ・ギャロワ博士が会いたがっている」人工知能たちがグアトにそんな噂を教えてくれた。面談を求められるような理由に心当たりはなかった。ほどなくして彼女は行方不明になってしまう。
ギャロワ博士は、ヴァーチャル世界に資する研究を続け、ついに「究極の恵み」とまで賞される成果をあげたという。博士は自らの意志で姿を消したのか、それとも事件に巻き込まれてしまったのか。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
この最新刊から読んでしまったので全く登場人物がわからず…だったのにやはり面白かった。ウォーカロンにもあまり馴染みがなかったけれど、学生時代に森博嗣を読んでいたから真賀田四季は流石に知っていて、え、ここにも!?となった。近未来の設定がとてもおもしろくてもっと知りたくなったので遡って読んでみたいと思っている。
正直途中からエリーズの意図はだいたいわかったけれど、そこに至る世界観がやはり面白い。途中でぼやきみたいなものが入るたびにクスッとしてしまった。
Posted by ブクログ
バーチャルの世界を行き来できる人類に足りないものとは?天才ハッカーが残した大いなる恵みとは?今回は少し哲学的な感じがする。
そして毎回感心するのがこのタイトル。感想を書こうとしてタイトルをみたら、ようやく意味がわかった。
グアト・ロジの関係が円熟味を増してきて、昔みたいなイチャコラ感がなくなってきたのが少し寂しい。
Posted by ブクログ
人間がヴァーチャルへシフトすることができる時代。
エリーズ博士はなぜ語らなかったのか?どこにいるのか?
シリーズとして安定して楽しめるのもグアトとロジのやり取り、グアトと人工知能のやり取りが楽しいからかな。
読みながら毎度ニヤニヤしてしまう
Posted by ブクログ
「意識というものが、ソフト的に構築されるものであり、経験と判断の積み重ねによる反応のシステム化にすぎない、いわば幻想といっても良いくらいの存在だということを、人間は受け入れざるをえなくなった。まだ、これは全世界、全人類には浸透してない。認めたくないだろうね、スピリットの存在を、単なる観察、あるように見えるだけの幻想だとは、信じたくない。人間がそれに抵抗するうちに、人間以外のものが、どんどん発展を遂げて、人間を凌駕していくことになる。人間が迷っているうちにね、人間以上のものになる。まあ、それもまた、自然淘汰かもしれない。悪くないよ、全然」
「ヴァーチャルで究極の幸せを手に入れることができる確かな手法が完成したのであれば、リアルのボディは重荷だと感じられる、ということかと」
人間は、自分の亡骸を自分一人で処理することができない。誰かに頼むしかない。リアルでは、そんな不自由な制約がある。
死んでも、不自由だということだ。
死は、自由を獲得するものではない。
「人間が幸せを感じるためには、不幸せな状態からの脱却であったり、少なくとも不幸せが想像できる状況が必要なんだろうね。だから、マイナス面をすべて排除してしまったら、幸せを感じられなくなる。空腹だから食事が美味い。食べ続けていたら、食欲もなくなる。平和すぎる社会には、鈍い幸せによって閉塞感が蔓延するはずだ」
どうすれば良いかな、と考える。
何をしてあげられるだろう、と悩んだ。
言葉はいろいろ思いついたけれど、どれもずれているように感じる。
まあ、言葉というものは、そんな程度のもの。
それに、人間って、だいたいずれているんだな。
生まれたときには、そうじゃなかったのに、成長するほどずれてくる。
本当の自分から、周囲に合わせ、社会に合わせ、少しずつずれていくんだ。
それに、ときどき気づいて、泣きたくなる。
だから、泣けば良い。
泣いている彼女を、僕は抱いていれば良い。
それだけのことか、と結論が出た。
Posted by ブクログ
大好きなシリーズ。
今作もまごうことなき名作でした。
グアトとロジの関係がどんどん良くなっている気がします。
今年の春に新刊出なかったから、今作で終了なのかな?
だとしたら、少し尻切れトンボな感じで寂しいので、まだ続けて欲しいです。
Posted by ブクログ
人工知能がリアルとヴァーチャルを行き来するのはわかるけど、人間だとまだ想像力が追いつかない。子どもがどうなってるのか気になる。前半はおだやかすぎる分、後半が盛りだくさんでびっくり。面白かった!
Posted by ブクログ
幸福とは何か?神の恵みという表現からは、人が志向して望むだけが幸福ではないとの説が成り立つ。
意識だけが、幸福を紡ぐのではない。
個を超えたところ、種の領域に根ざす幸福も、我々を縛っているのかもしれない。
気づかないところでそっと…。しかし強固に。
「人間っていうのは、とても高い適応能力を持っているんだ。自分で信じてしまうものが真実になる。騙されているのに、騙されているのではない、自分から信じたと思い込めそうして自己防衛するからね。むしろ、外部から観測すると、騙さ れたいと思っているようなものだ。 幸せというものの大部分は、自分で自分を騙している。騙されたいことに近づき、騙されて嬉しくなる。そんなメカニズムかもしれない」p107
「理屈がないから恐ろしい。理屈から外れているから怖いんだね。でも、理屈の及ばないものが存在して、それが私たちを統べる存在なんだ。それがなかったら、人間はばらばらになって、力を合わせることもないし、お互いに話し合うこともない。愛した
り憎んだりしながらも、人間が社会を作ってきたのは、怖いものの存在があったからだともいえる」p266
Posted by ブクログ
毎回違うテーマで問いかけがある。それと別に主人公ペアぞれぞれの感情がゆっくり変化して、低温〜常温での思索の面白さから、ちょっとほっこりした物語になってきた感じがする。
Posted by ブクログ
・Wシリーズからずっとクールで仕事人間だったロジ。しかし、ここに来て彼女に大きな変化が。銃を撃ちたくないと言った彼女に、変化は成長だと言ったグアト。そんなグアトが好き。
・何故エリーズは語らなかったのか。今回はタイトル回収が分かりやすい。いや、何故語らなかったのか、根本的な理由は分かってないとも言えるが。
・最初の、エリーズがグアトに会いたがっているという噂は結局何だったのか?
・彼は何故情報をくれたのか?個人解釈メモ
1.殺したのに思ったような事件にならず、どういうことなのか知りたかったから。
2.究極の恵みについては知っていたが、もしかしたらヴァーチャルでは生きている可能性もあると思い、居場所を探す手掛かりになればと思ったから。
匿名
難しい
存在していることはわかりやすけど、現実やヴァーチャルて存在していないこと証明することって難しい。それを証明していくことが、楽しい時感じる本でした。
Posted by ブクログ
ロジがバチバチに可愛い巻。リアルでの死と同じように、ヴァーチャルでの死を実現させようとするプログラム=神の恵みを開発したエリーズという研究者のお話。もう何だか凄いところまできてる、このシリーズ。
Posted by ブクログ
あぁそうか…(._.)ここまでバーチャルの世界が確立されていても、リアルで不老長寿が実現しても、結局行き着く先はそこなのか?(-_-;)ロジの不調はホルモンバランスの乱れか?母性本能のせいか?それとも他に理由が?(・・;)と気になるけれど、とても可愛い(*^^*)
Posted by ブクログ
森博嗣の新刊は漫画を買う感覚で発売日に本屋に走る。
この人の頭の中は何十年、何百年先を生きている?
リアルでも死に、ヴァーチャルでも死ねばどうなるのか...。
Posted by ブクログ
自分が存在した痕跡を消した研究者は何を願っていたのかという話。
グアトは何かを感じるが、具体的には判らないとき、確かに読んでる当方も何か感じるものがある。何だか判らないから、もどかしく感じる。
最終的に答えに行き着くけれど、何がどうつながったのかよく判らなかった。まあ、当方の頭が悪いんだろうけれど。
バーチャルに移行すれば身体の軛から逃れ、寿命や病気や様々の面倒な諸々からオサラバできるだろうと思うのだが、作者からの提示には納得しつつ、長い物語の此処で此れが出てくるのかとも思う。
前作から登場人物が増える展開かと思ったが、そうでもなかった。ロジはすっかり人が変わって、本人も戸惑っている。グアトは相変わらず鈍いなと感じる。
3人で暮らしたら、グアトも変わるかな。
Posted by ブクログ
ーー
独特のリズムと波長でリアルとヴァーチャルの死生観を描き出す、WWシリーズ8作目。
3、4年前から、結構いつ死んでもいいかな、と思っている。
と云って深く考え始めると、家のこととか家族のこととかやりたいゲームとか読みたい本とかいろいろ浮かんできてまぁ頑張るか、となるのだけれど。
枯れたとか、熱量が無くなったというわけでは無くって……後悔は無いなぁ、という感覚。自分の死後に何か残るとして、それはもう自分のものではないな、きちんと誰かのものになっているな、って妙な安心感のようなものがあるのです。
死生観、というふうに、生と死はいつも続き物のように捉えられていて。確かに生きていないものは死なない、という点では生と死は一体なのかもしれないけれど、でも逆はどうだろう? 死なないものが生きていると云えないのならば、永遠の生はもう生きてはいないのかしら。そもそも永遠に生きるなにかが存在したとして、それが永遠に生きているって証明するものはなんだ?
えーっと。こういう話ではないです、決して。
ある種いつもどおりの、けれど前作で迎えた大きなターニング・ポイントから起こる細かな変化が、テーマと良く合致していて読ませる。
不思議なもので森博嗣の小説は音楽を聴きながら読めないことに気付かされた。ふむ。
☆4.2
Posted by ブクログ
もうホントに、語ってくれよエリーズって感じでしたね。割と最後まで「究極の恵み」の正体が分からなかったなあ。
そして、思ったよりミステリィしていて驚いた(僕は一体、何を読んでいるんだ)。
キャラ萌えは今回も素晴らしく、セリンは癒やし枠として確立したなあ、とかオーロラも人間味が出てきたとか、今後も楽しみです。
Posted by ブクログ
WWシリーズ第8弾
「何故エリーズは語らなかったのか?」
エリーズ・ギャロワ博士が行方不明に。
リアルでもヴァーチャルでも。
博士が作り出した「究極の恵み」とはなんなのか。
そして彼女はどこに?
ヴァーチャルで生きる事が可能になっておよそ百年。成熟した社会に唯一足りないもの。
今回はとても哲学的でした。
WWシリーズを通して徹底して描かれる「死生観」にとても考えさせられます。
本書が最新刊?(2025年11月現在)
続きは出るのかな|ω・*)
Posted by ブクログ
究極の恵み、とか、神が与えた最後の恵み、という、いかにも怪しい言葉が出てきて、これがどこかで覆るのかと思っていたら、ある意味で、そのまんまの意味だった、というのが驚きだった。
あと、前巻の最後での展開については、あんまり大きな影響がなく細やかに進んでいるという感じだった。
このシリーズ、最初のあたりはウォーカロンとかの話になっていたはずだけど、最近は(ここ数年は)リアルとバーチャルで人間の意識はどう変わるのか、という視点に移ってきたように思う。人間の意識もどうなるのか、というのも気になるし、ウォーカロンがどうなるかも気になるので、できれば最新刊を毎月読みたいところ。
Posted by ブクログ
エリーズ・ギャロワ博士が行方不明に。彼女が作り上げた「究極の恵み」とは何なのか。
人間にとっての死とはどういうことを指すのか、バーチャルが広がった世界で死とはどういう意味を持つのか、がテーマ。
森博嗣さんの本を読んでいると本当にこういう問題が起こっているような気になる。ここまで想像が先を行く事がすごい。
でもWシリーズから(もっと遡ると四季シリーズあたりから)リアルからバーチャルに行く、つまりリアルの体は殺してバーチャルの世界に移るというのがどうしても感覚として理解が及ばない。
リアルの意識が途絶える事はやはり死ではないのかな?
Posted by ブクログ
久しぶりの森博嗣〜!後半のアクションシーン、久しぶりでドキドキした!
ヴァーチャルの世界がリアルの世界と同じくらい発達すると、こういう願いに辿り着くのか…こうやって提示されると、そうかもしれない、と思うけど、ぜんっぜん自分では思いつかなくて、最後のグアトの説明を読んでなんかちょっと唖然とした。究極の恵み、究極の賜物。自分もそんな境地に辿り着くことがあるのかな。考えさせられるなあ。
p.113
「もはや、人間が役に立つような仕事なんてないんだ。むしろ、足手纏いで、しかも妨害ともいえる邪魔をする。それでも、そんな邪魔から、彼ら人工知能は発想を得ている。だから、けっして人間を排除しない。無駄なことができない連中だから、無駄の塊のような人間に、少しはいてほしい。そんな具合なんだよ」