太田和彦の作品一覧
「太田和彦」の「私の方丈記1 70歳、これからは湯豆腐」「男と女の居酒屋作法」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
全都道府県を踏破した居酒屋研究の第一人者である著者がその居酒屋から見た県民性を述べた一冊。
県民性といった本は多々ありますが、居酒屋から見る、というのはなかなか面白い内容でした。1つの県あたり何件の居酒屋を訪れたのかは分かりませんし、数件で県民性を語るのはなかなか難しいと思いますが、著者の視点は興味深く、この一冊をもとに、全国を旅したくなります。
著者は、最後に、居酒屋には諸外国にはない、各地域の気質が現れ、日本の文化であると述べています。お酒好きにはたまらない一冊になるでしょう。
▼日本中の居酒屋を巡り歩くうちに。居酒屋ほど各地の県民性が表れるところはないと気づいてきた。作家サマセット・モームは「その土地を知るには、市場に行け」と言ったが、私流は「その土地を知るには。居酒屋に行け」。
▼その感動とは「地方の居酒屋にはそこにしかない肴と調理がある」
▼町の人口が増え、経済的、行政的に安定が生まれると、住む人がくつろぐ場所としての居酒屋が求められてくる。一日の疲れをとりながら、できごとを話し、互いの気心を知って、町の安定感になってゆく。よそからの客をもてなすために地方色を強調した接待店ではなく、住民が毎日通え、安価で飽きない、いや飽きているが、だからこそ落ち着く。互いに飾り気なしの本音で通用する場所としての居酒屋がある町は健全だ。そこにこそ各地の県民性が表れていると気づいた。そうなるとその県民性を味わいにまたでかけてゆく。
▼島国の日本は閉鎖的で外国と交流がなく、江戸期に長期安定をみた藩制は、その地方の気質を生み出してきた。土地の歴史が育てた県民性がこれほど細かく多様なのは、日本という国の特徴かもしれない。言葉はもちろん、話題、自慢、引け目。すぐ打ち解けてくれたり、警戒心が強かったり、長尻だったり、はしごだったり。一杯やりながら眺めている県民性はまことに多様で、国内各地の旅の面白さはそこにある。土地に古くから残るものを探って記録するのは民俗学だ。いつしか「居酒屋の民俗学」と思うようになった。
▼これだけ豊かな食が日常的に安価に提供されている飲食店は諸外国にはないだろう。南北に長く、四方を海に囲まれ、地形は変化に富んでさまざまな気候風土となり、それにあった農業、漁業、さらに調理を工夫するのが好きな国民性が生んだ。日本の食文化の豊かさゆえだ。日本人はその豊かさを居酒屋で日常的に楽しんでいる。
▼こうしてみると日本の居酒屋は諸外国に較べて特徴がつよいと感じる。そこで育まれる共同体意識が都市の安定装置になっている。小説でも映画でも居酒屋は日常的に登場して、本音や人間性が表れる舞台に使われる。これは文化だ。日本の居酒屋には文化がある。