山口真由の一覧
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ユーザーレビュー
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フェミニズムを理解したくて苦悩していたときに書店で手に取り、まえがきにあった「この本は首を垂れて拝聴すべき説教集ではないし、ましてやあなたを糾弾するマニフェストでもない」というのを読んで即購入を決断した。
「フェミニズム」をきちんと学びたいと思ったときに、歴史から全貌を優しくざっくりと教えてくれ
...続きを読むるかなりの良書。ただしそれでも難しいので、気合を入れて読まないといけなかった。
自分の苦しみの原因が社会全体の「フェミニズム」からの糾弾などではなく、ただの「攻撃的なお気持ち」であり、気にする必要はないと思わせてくれた。
第一の波は、イギリスやフランスの中産階級(そこそこ裕福)の女性たちの参政権獲得に向けた動き、というふうにざっくり括れるだろうか。
第二の波は、リベラル・フェミニズム、ラディカル・フェミニズム、マルクス主義フェミニズム、カルチュラル・フェミニズムという形で多様なものが紹介されており、最もわかりにくい。
まず「女にも教育・報酬・自立」を求めたのがリベラルフェミニズム。大量生産・大量消費社会で男たちの労働が神聖化され、仕事に矜持を抱いて自己実現するという考え方が育った裏側で、女性たちは家庭という閉鎖的な空間に閉じ込められる役割を負い、それに矜持を抱くように仕向けられるようになった。人間としての尊厳を中心に据えて「性差別的な現行システムの改良」を目指した。
これに対して、「男社会をぶちこわせ」と考えたのがラディカル・フェミニズム。システムの改良による「男女の平等な取り扱い」を求めるのではなく、男性優位の社会の仕組みを根本的に作り直すことを求めた。この運動は、人種差別に抗議する運動(公民権運動・学生運動)内で横行していた女性差別への反発から生まれた、いわゆるリブ運動に端を発する。政治、宗教、軍事、産業、科学など社会における権力はすべて男性によって支配されているという考え方である。女性の生殖方法のコントロールやポルノの廃絶を訴え、家父長制という概念を生み出したのが特徴。しかし論理的な議論になると反論はすべて「それも男性優位の社会構造のせい」に帰着してしまい、一部の支持者が強固に支持するばかりになって急速に力を失っていく。
そしてマルクス主義フェミニズムで一番わかりやすいキーワードは「家事労働に賃金を」であろう。資本家と労働者の間に搾取構造が存在すると論じたマルクス主義の理論では、分析対象の「市場」から「家庭」が抜け落ちていた。この「家庭」では家族の健康維持や労働力の再生産が行われているが、マルクス主義では労働とはみなされていなかった。その家庭の内部で存在する、男性と女性との間の搾取構造を、マルクス主義の考えを取り入れて理論化したのがマルクス主義フェミニズムである。先の「家事労働に賃金を」というスローガン自体は現実性がなく下火になっていったが、愛という名のもとに無賃労働が存在しているということを指摘した点で非常に高く評価されているフェミニズム理論のようだ。これが発展し、家事労働や、労働力の再生産(出産・育児)を市場に取り込もうとすると「高く付きすぎる」というネオ・マルクス主義が生まれてきた。結局、家事労働や労働力の再生産は無償という現状は変わらないが、そこには資本に代えがたい価値がある、という認識が生まれたのは良いことなのではないか。
カルチュラル・フェミニズムは、「男と女は社会的にも本質的に違う」という考え方である。男がいわば「正義の倫理」を持つ一方で、女は「ケアの倫理」を持つとする。そして社会が「ケアの倫理」をもっと高く評価するべきだとする。リベラル・フェミニズムは、看護師やキャビンアテンダントになりたい少女の尻を叩いて医師やパイロットを目指させ、男性しか入学が許されていない過酷な士官学校を起訴して女性を入学させる。男も女も同じように働くことを求め、すべては個人の努力にかかっている社会を望む。一方カルチュラル・フェミニズムは、看護師は医師と同等の報酬を与えるべきで、男性専用の士官学校の隣に保育士養成学校を立てて同等以上の資金をつぎ込むべきだと主張する。個人的にはやはりこれが一番受け入れやすい考え方だなと思ったが、それは筆者の言う通り「男女が違うという現状をやさしく包みこんで肯定してくれるため耳障りが良い」のだろうと思った。
第三の波はセックスとジェンダーが切り離されたうえでさらに細分化され、「100人いれば100人のジェンダー」という時代である。男女だけではなくLGBTQ+、障害者などを含む色々な層が生まれ、着たい服を着る、好きな男と寝る、セックスやポルノもYes、といった流れが生まれてきた。こうした動きは従来のフェミニズムとの軋轢を生み、「強い女」を自称する女は男性優位の資本主義に絡め取られているだけだという批判も受ける。
第四の波はSNSを主体としてカジュアルにフェミニズムが議論されるようになった点が特徴である。フェミニズムは男性嫌悪ではなく人権問題であり、男性も一緒に考えることだと言ったのはエマ・ワトソン。そうして広くフェミニズムが受け入れられるはずの土壌が整っている中で投下されたのが#MeTooという爆弾だった。Me Tooというワード自体は、本来は「一人ではない」と寄り添うために始まった、SNSとは全く関係のない運動だった。それが、自分と同調する意見だけを取捨選択して勢いづいてしまうことが多いSNSの特質とも相まって、ラディカル・フェミニズムの再来とも感じられるような、攻撃的な活動へと繋がっている。現実にそれで毎日のように深く傷つく人間もいるはずで、この最悪な”フェミニズム”が今後どうなっていくのか不安でしか無い。
最後の章では、日本のフェミニズムについて紹介されていた。日本が欧米と大きく異なるのは、女性性を「母性」というポジティブなものとして称揚してきた点だ。アメリカのフェミニズムは「男も女も男になれ」、日本のフェミニズムは「男も女も女になれ」であるという対比は非常に興味深かった。「保育園落ちた日本死ね!!!」が違和感なく受け入れられた日本は、母性の保護は国家の役割というカルチュラル・フェミニズムの考え方を共有しているのではないかと筆者は指摘する。
日本には日本のフェミニズムがあり、欧米をスタンダードだと受け入れずに発信していくことも重要なのではないかと筆者は説いている。ちなみに、この点に関して与謝野晶子と平塚らいてうの間で論争があったというのは知らなかった。生活のために必死に稼いできた与謝野晶子は女も「男となれ」と唱えるリベラル・フェミニズム的な考え方で、一方で平塚らいてうは母性を重要なものと見なすカルチュラル・フェミニズムのような考え方だった。
Posted by ブクログ
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正直あまり期待せず読みはじめたが、フェミニズムの思想をダイナミックな波としてわかりやすく読める、まさに入門にふさわしい一冊。
特に日本のフェミニズムに対する解釈にはハッとさせられた。確かにそろそろ日本は世界に向けて、フェミニズムを説明しなければならない段階にきているのだと思う。読んでよかった!
Posted by ブクログ
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とても、よかった。
テレビで観ていた山口さんのイメージが、180度くつがえり、家族に対する考え方など、とても面白かった!
こういう本をもっと書いて欲しいし、考えを知りたい。
Posted by ブクログ
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文句なしの評価5。仕事ができないともがいている社会人、新社会人の人に是非読んでほしい。俯瞰力は、所謂コミュ力がある人は備わっているかもしれない。
一方で、勉強ばかりしてきた人からすると、俯瞰力というのは、すごく曖昧で、正解が無く正体を掴みにくい。
しかし、この俯瞰力がなければ、ビジネスは全く成立しな
...続きを読むい、その事を実体験を踏まえてわかりやすく説明している本。
俯瞰力は、相手への気配りや調整能力が必要になるが、結局は自分が成功するための手段であり、自分を殺すものではないことは、留意しておく必要がある。
この本で唯一正解があるとすれば、俯瞰力を身につければ、社会で成功する確率がグッと上がる!ということだ。
Posted by ブクログ
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正直読む前はそんなに期待していなかったが、読んでみるとすごくためになる話が多かった。
今まで三日坊主になることが多く、続けるということに苦手意識を持っていた。例えば、スケジュール帳を買うだけ買って使わなかった。日記も最初の日だけ量が多く、3日目には書かなくなっている。また、英語もいつかは習得したいと
...続きを読む考え、参考書は買うが結局勉強が続かない。
このような継続できないこと私でも継続できるようにする方法があるということを学んだ。この方法を使い、何か小さな事でも継続していきたい。
Posted by ブクログ
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