彩瀬まる - 新潮社作品一覧

  • 朝が来るまでそばにいる(新潮文庫)
    3.5
    火葬したはずの妻が家にいた。「体がなくなったって、私はあなたの奥さんだから」。生前と同じように振る舞う彼女との、本当の別れが来る前に、俺は果たせなかった新婚旅行に向かった(「ゆびのいと」)。屋上から落ちたのに、なぜ私は消えなかったのだろう。早く消えたい。女子トイレに潜む、あの子みたいになる前に(「かいぶつの名前」)。生も死も、夢も現(うつつ)も飛び越えて、こころを救う物語。(解説・名久井直子)
  • あのひとは蜘蛛を潰せない
    4.0
    ドラッグストア店長の梨枝は、28歳になる今も実家暮し。ある日、バイトの大学生と恋に落ち、ついに家を出た。が、母の「みっともない女になるな」という“正しさ”が呪縛のように付き纏(まと)う。突然消えたパート男性、鎮痛剤依存の女性客、ネットに縋る義姉、そして梨枝もまた、かわいそうな自分を抱え、それでも日々を生きていく。ひとの弱さもずるさも優しさも、余さず掬う長編小説。
  • 鍵のかかった部屋 5つの密室(新潮文庫nex)
    3.5
    これが、トリックです。本来ネタバレ厳禁の作中トリックを先に公開してミステリを書くという難題に、超豪華作家陣が挑戦! 鍵と糸――同じトリックから誕生したのは、びっくりするほど多彩多様な作品たち。日常の謎あり、驚愕のどんでん返しあり、あたたかな感涙あり、胸を締め付ける切なさあり……。5人の犯人が鍵をかけて隠した5つの“秘密”を解き明かす、競作アンソロジー。
  • 川と星―東日本大震災に遭って―
    -
    2011年3月11日14時46分。多くの運命が変わったその日。ふらりと東北を訪れた私は、気ままな一人旅を楽しんでいた。でも、その瞬間、大きな揺れとともに、目の前の現実は無残に壊れていった……。背後に迫る津波、なぎ倒された建物、海に呑み込まれた街。そして入った原発の爆発事故のニュース。「小説新潮」に発表され、衝撃的な内容が大きな話題となった体験記が電子書籍として登場。

    試し読み

    フォロー
  • 暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―(新潮文庫)
    4.2
    遺書は書けなかった。いやだった。どうしても、どうしても――。あの日福島県に向かう常磐線で、作家は東日本大震災に遭う。攪拌(かくはん)されるような暴力的な揺れ、みるみる迫る黒い津波。自分の死を確かに意識したその夜、町は跡形もなく消え、恐ろしいほど繊細な星空だけが残っていた。地元の人々と支え合った極限の5日間、後に再訪した現地で見て感じたすべてを映し出す、渾身のルポルタージュ。(解説・石井光太)
  • ここから先はどうするの―禁断のエロス―(新潮文庫)
    3.2
    官能小説の依頼に難航していた女性ホラー作家は、女性同士のカップルの後をつけ漫画喫茶へ。隣の壁に耳を澄ませ聞こえてきたのは、衣擦れ、溜息、潤みの音で……(「壁の向こうで誰かが」)。医師の寺沢は急患の老女の足に驚く。爪先に向かって細く、指は折り畳まれ、足裏は窪んでいた。纏足だ。それは、性具だった――(「Lotus」)。歪んだ欲望が導く絶頂、また絶頂。五人の作家の官能アンソロジー。
  • 草原のサーカス(新潮文庫)
    4.3
    大手製薬会社に勤める姉の依千佳(いちか)と、人気アクセサリー作家の妹の仁胡瑠(にこる)。それぞれの道で成功を掴んだ姉妹は、やがて日本を揺るがす治験データ捏造事件、そしてハラスメント騒動を引き起こす。たった一度でも踏み外せば、容易(たやす)く切り捨てられる世の中で、私たちは何を「正しさ」の指標にできるだろう。「間違えた」後も続く自分の人生と、傷ついた心への向き合い方を渾身の力で問う長編小説。(解説・芦沢央)
  • 花に埋もれる
    3.7
    1巻1,760円 (税込)
    彼氏よりソファの肌触りを愛する女性。身体から出た美しい石を交わし合う恋人たち。憧れ、執着、およそ恋に似た感情が幻想を呼び起こし、世界の色さえ変容させる――イギリスの老舗文芸誌「GRANTA」に掲載された「ふるえる」から、単行本初収録となるR-18文学賞受賞作までを網羅。著者の原点にして頂点の作品集。
  • 花に眩む
    5.0
    1巻220円 (税込)
    私の肌には赤い花が咲く。彼女と出会った夜も、彼の去った朝も――。出会った次の日、しまは私のアパートに転がり込んできた。しまといると、まっすぐに求められる。しまに求められると、なにもかもを叶えてあげたくなる……。大好きな高臣さんには、しまが来てから、一週間も電話をかけていなかった。この人におやすみを言って貰わなければ眠れなかったのに。でも高臣さんの低く甘い声を聞くと、途端に、ど、と体の内側があたたかく濡れた。かきまぜられたときのあの感覚を思い出して……独特の世界観で描かれる、第9回R-18文学賞読者賞受賞作。

    試し読み

    フォロー

最近チェックした本