名称未設定さんのレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
京都が昔からとても好きでタイトルを見て購入。
結論からいうと「買ってよかった!」
まず主人公の女子高生、葵ちゃんに好感がもてる。彼女はホームズくん曰く「本物を見分けるのにかなり良い目をもっている」と評されているけれど、ごくごく普通の女の子である。言動も自然で可愛い。漫画では何かしらの能力をもっていたり…とかの設定がされていたりする事が多いけれど、この作品はそうではない。
そこが逆にいい。
ホームズくんが作中で「鼻の低い方のことを御室桜ともいうんですよ」と言っている場面があるのですが、これに対して葵ちゃんが「京都の方は揶揄も上品なんですね」と返していて。
こういうやり取りもいい。
京都ならでは。こういうちょっとした言葉遊びのような内容がこれから先も出していってもらえると嬉しい。
これからの葵ちゃんの成長に期待。
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ネタバレ 購入済み
美しくて素敵なお話
もとなおこ先生の作品は好きでいろいろ読んでいますが、全作品中この「ガーフレット寮の羊たち」が一番好き。
テニスン、ウィリアム-ブレイク、キーツといった詩の一節を始め、かの有名なシェイクスピアや聖書の一節など綺麗な言葉がそこかしこに散りばめられ、それがイギリスの伝統ある格式高い全寮制のパブリックスクールという舞台と相まって、おとぎ話のような、幻想的な世界を生み出している。
けれどもそこに集い、共に生活する学生たちはさまざまな事に悩み苦しみ、また喜びといった中、高校生たちが誰しも経験するであろう道を歩み、成長していく。決して「ファンタジーの中の登場人物」として描かれているわけではない。
主人公のアーネストが父親を亡くしてレスターベリーの前で神様を恨んで泣き叫ぶ場面やエドガーがレスターベリーに対して嫉妬心を剥き出しにする場面など、この状況ならこういう心情にもなるだろうなとか、まぁこういう反応するだろうなとか人間くさい面も余すところなく描かれている。
そこは思春期の男子学生なので、当然の姿だろうと思う。むしろ平時では大人びている登場人物が殆どなので、そういう姿を見られる方が安心する。
さて、この巻が完結なので寮長のグッドウッドを始め、最上級生たちがいよいよウィンザー校を卒業していく。新しい寮代表が誰になるか前巻から注目されてきたが、紆余曲折を経てレスターベリーが就任という形で決着がつく。
私はレスターベリー推しなので、彼に軍配が上がって本当によかった!
新寮代表レスターベリーと彼を制御する?という形で登場するサイレントの二人が率いる新生ガーフレット寮をもっと見たかった。またいつか描いてくれたら…と思わずにいられない。
アーネストもスタンリーもシャンディ、キャンベルも…あのまだ幼さの残る1年生たちも成長している、大人になっていっている…それがよくわかる巻だった。
最後のシーンでアーネストが卒業生を出迎えて「おかえりなさい。ガーフレット寮へ!」と言っていたところが印象的だった。イギリスの学校の寮を「ハウス」と呼ぶ意味がとてもよくわかる。その学校で過ごすのは長い人生の中の5年間。その短い時間しかないけれど、その5年間で紡がれてきた関係性が絆が卒業後もずっと続いていく。それがとても素敵だと素直に思える。
彼らの未来に幸多かれ!
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ネタバレ 購入済み
わりと昔の作品ですが、時代が1870年代のイギリスというだけあって何の違和感もなく読める。
ライトな感じに見えて、実はいろいろ考えさせられるところの多い作品。パブリックスクールの寮が主な舞台なので、登場人物は13~18歳までの学生が殆ど。その羊たち(この作品では学生たちのことをそう呼んでいる)が一つの寮、学校の中で切磋琢磨しあいながら一緒に生活し、学んでいく。
そのような環境であるから、気の合う友人や尊敬し、信頼のおける先輩ができる反面、反りが合わずに衝突する人間も出てくる。
この巻では主人公のアーネストと同じ部屋のスタンリーが一触即発の状態からついに激突する。アーネストは普段は優しく穏やかな真面目な子で寮長から1年生のまとめ役に指名されるほどの学生。友人も多く好感のもてる子である。
対するスタンリーも利口で繊細な性格。綺麗好きで多少潔癖の気はあるものの、優秀な子である。
どちらも粗暴なところは持ち合わせていないため、普通であれば衝突は起きないと思われるが、そこはスタンリーの対人面での態度が大きく影響している。とにかく愛想がないのだ。子どもであっても幾らかはもっている当たり障りのない反応すらもしない。完全に自分以外の人間を遮断してしまっている。流石に寮長や最上級生には返答するが、それとて必要最低限であり、同級生に対しては殆ど無視に近い。
最もそれはスタンリーが過去に負った大きすぎる傷心から来ているのだが、当然それは言葉にしなければ相手には伝わらない。挙げ句に他のルームメイトに対しても「僕は何も望まない。こんな所に望んで来たわけじゃない。来たくなかった。」とまで言い放ってしまう。
アーネストはそんなスタンリーを放っておけない。「君が嫌いだ」と言われても放っておけない。まだ13歳の子どもどうしであるから、お互いカッとなって「絶交」となってもおかしくない状況であるし、むしろ膠着状態に陥る方が多いと思う。けれどアーネストは根気よくスタンリーに働きかけていく。
アーネストがここまでスタンリーを気にかけるのはアーネストの側にもまた過去の出来事が影響しているからで、こちらも根が深い。これからその辺りの事情が徐々に明らかになっていくが、アーネストとスタンリーの距離が少しずつ良い方に変化していっている過程が印象深い。 -
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千佳は成長できるか?分岐点
この巻の見所はたぶん、いよいよ始まったB級ランク最終戦なのだろうが、私が個人的に挙げるなら、ヒュースが千佳に投げかけた「千佳は人が撃てるんじゃないか?」からの千佳の背中をそのヒュースが押した所に尽きる。
作中で栞が言っていたように、ヒュースがなかなかズバズバ言うので、賛否両論分かれるところではある。けれど、この問題は玉狛第二にとっては避けては通れない問題であり、いつかはきちんと向き合わなければならない時が来る。
千佳の事情や性質を知っているだけに修を始め、玉狛支部の人間は今まで面と向かって千佳にその話題は持ちかけられなかったのだろう。
それは優しさゆえに。玉狛の人間は優しいから。
もちろん人が撃てないなら撃てないなりに、これまでいろいろ策を講じてチームワークで乗り越えてきた。玉狛第二の皆がそれぞれの役割を果たし、力を合わせ、仲間を助け助けられてきた。だからこそここまでのしあがって来られた。千佳も充分に貢献している。だからこそヒュースが付き合いが短いにもかかわらず、「千佳は仲間のために自分を駒として使える人間だ」と言い切ることができた。
けれども、ここから先は今までのようにはいかない。
誰かが千佳に「人が撃てない」という問題と逃げずに向き合うよう、示唆しなければならなかった。今の玉狛メンバーの中で唯一それができるのがヒュース。彼しかいなかったと思う。
それはヒュースが近界民であるということもあるが、それだけではない。それなら游真にも当てはまる。二人とも実際の戦場で戦闘を繰り広げ、何度も死線をくぐり抜けてきた経験がある。そんな彼らの言葉は重みが違う。ではなぜ游真ではないのか?游真もまた仲間には優しすぎるからだろう。そうでなければ、とっくにどこかで口に出していただろう。
近界に実際に遠征がかなったとしたら、赴くその地は本当の敵地、正真正銘の戦場である。
「千佳が人を撃てなければ、修や游真が死ぬこともありうる」
ヒュースが言ったことは誇張でも何でもなく真実なのだ。
千佳がヒュースの言ったことを受けとめて「私もちゃんと答えたい」と決意していたことが本当によかったと思う。まだまだ道は険しいけれど、千佳のこれからの成長に期待したい。
この巻を読んでヒュースがかなり好きになった。 -
ネタバレ 購入済み
この作者さんは「斎さん」シリーズで知り、読んですっかりファンになったところ、この「影御前」という作品に出会いました。
日常に潜む誰でも経験しうるような事や身近に在るもの等が題材に採られて描かれていることが多いです。そこに心霊が絡むのですが、不思議と「怖い」と思うことはありません。
学びや考えさせられることの方が多かったりします。
例えば、今回は桐生さんが「物はそれを扱う人、所持する人が大事に思えば思うほど、魂のようなものが宿る」というような発言をしていますが、それぞれの刀剣にそれぞれの魂のようなものが宿っています。切ない気持ちになるお話もあります。
また形を持たない水、今回は御神水ですがそれにも「信心を持って敬虔に大事に扱う人が多ければ多いほど、その御神水には力のようなものが宿る」「この水はとても綺麗なものとして目に映る」というようなことも言っています。
日本には「八百万の神」という概念や「ありとあらゆるものに神が宿る」というような考え方が昔から在るけれど、もしかしたらこういう事なのかもしれない。
他にもお葬式の出席が立て続けになった小林先生のお話も描かれていますが、キリスト教、神道、仏教とそれぞれの宗教による葬儀の様が簡単にではありますが分かるように触れられています。うち一人は桐生さんのお父様なのですが、葬儀場で桐生さんと亡くなったお父様が会話するシーンがあるのですが、えっこんなにあっさりとお別れするの⁉️というくらい、普通にお別れしているので驚いたりというシーンもあります。
いろいろなお話が詰まっているので、読むと必ず考えさせられる何かに出会える、そんな作品です。
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ネタバレ 購入済み
無料お試しのマンガを読んだことがきっかけで、思っていたよりも作品の世界に入り込み、小説の方を購入。一気に読んでしまった。
読んでいる時から想起させられる場面はあったけど、あとがきを読んで納得。
「9日間の女王」と呼ばれるジェーングレイというイギリスの女王様の処刑がベースになっていたんですね。本作のクリスティアンと重なってとても苦しくなった…もう470年以上も昔の事ですが……
本作ではクリスティアンの臨終の際の無念を転生後のティアレシアが悪魔の力を借りて見事に晴らす。もちろん悪魔と契約したことで、代償として自身の魂を明け渡さねばならないし、それ以外にもティアレシアの優しさゆえに葛藤もさまざまあり…と決して一筋縄ではいかなかったけれど、やっぱり最後はきっちり覚悟を決めて自身の目的、本音と向き合う。
本作でティアレシアは「自分はもう前世のクリスティアンだった時のような純真無垢さは持っていない」というようなことを言っているけれど、最後の最後で自分を嵌めて処刑した異母姉を処刑しなかったところや大事なものは作らないと言いながら、結局は周囲の人間を慮ってできる限り守ろうとするところ等、クリスティアンの持っていた純粋さを少なからずティアレシアも持っていると私は思う。そして強さも併せ持っている。だからこそ前世からの初志が貫徹できた。
悪魔との契約があっての目標完遂、達成だから、当然これから先いろいろと難題が降りかかるかもしれないが、この二人ならうまく乗り越えていく気がする。
何はともあれ、この巻ではハッピーエンドを迎えることができた。
この一冊だけでもティアレシアの前世からの魂の変遷が辿れるので、それだけでも価値があると思う一冊。