【感想・ネタバレ】ガーフレット寮の羊たち 2のレビュー

あらすじ

1870年のイギリス。パブリックスクールに入学したアーネストは、ひとクセある最上級生・レスターベリーのファグ(雑用係)となる。彼の導きのもと、多くの出来事を体験するが…!? 紳士の卵たちのボーイズ・ロマン!

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わりと昔の作品ですが、時代が1870年代のイギリスというだけあって何の違和感もなく読める。

ライトな感じに見えて、実はいろいろ考えさせられるところの多い作品。パブリックスクールの寮が主な舞台なので、登場人物は13~18歳までの学生が殆ど。その羊たち(この作品では学生たちのことをそう呼んでいる)が一つの寮、学校の中で切磋琢磨しあいながら一緒に生活し、学んでいく。
そのような環境であるから、気の合う友人や尊敬し、信頼のおける先輩ができる反面、反りが合わずに衝突する人間も出てくる。
この巻では主人公のアーネストと同じ部屋のスタンリーが一触即発の状態からついに激突する。アーネストは普段は優しく穏やかな真面目な子で寮長から1年生のまとめ役に指名されるほどの学生。友人も多く好感のもてる子である。
対するスタンリーも利口で繊細な性格。綺麗好きで多少潔癖の気はあるものの、優秀な子である。
どちらも粗暴なところは持ち合わせていないため、普通であれば衝突は起きないと思われるが、そこはスタンリーの対人面での態度が大きく影響している。とにかく愛想がないのだ。子どもであっても幾らかはもっている当たり障りのない反応すらもしない。完全に自分以外の人間を遮断してしまっている。流石に寮長や最上級生には返答するが、それとて必要最低限であり、同級生に対しては殆ど無視に近い。
最もそれはスタンリーが過去に負った大きすぎる傷心から来ているのだが、当然それは言葉にしなければ相手には伝わらない。挙げ句に他のルームメイトに対しても「僕は何も望まない。こんな所に望んで来たわけじゃない。来たくなかった。」とまで言い放ってしまう。
アーネストはそんなスタンリーを放っておけない。「君が嫌いだ」と言われても放っておけない。まだ13歳の子どもどうしであるから、お互いカッとなって「絶交」となってもおかしくない状況であるし、むしろ膠着状態に陥る方が多いと思う。けれどアーネストは根気よくスタンリーに働きかけていく。
アーネストがここまでスタンリーを気にかけるのはアーネストの側にもまた過去の出来事が影響しているからで、こちらも根が深い。これからその辺りの事情が徐々に明らかになっていくが、アーネストとスタンリーの距離が少しずつ良い方に変化していっている過程が印象深い。

#切ない #深い

0
2021年12月26日

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