【感想・ネタバレ】ガーフレット寮の羊たち 6のレビュー

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美しくて素敵なお話

2021年12月31日

もとなおこ先生の作品は好きでいろいろ読んでいますが、全作品中この「ガーフレット寮の羊たち」が一番好き。

テニスン、ウィリアム-ブレイク、キーツといった詩の一節を始め、かの有名なシェイクスピアや聖書の一節など綺麗な言葉がそこかしこに散りばめられ、それがイギリスの伝統ある格式高い全寮制のパブリックスク...続きを読むールという舞台と相まって、おとぎ話のような、幻想的な世界を生み出している。

けれどもそこに集い、共に生活する学生たちはさまざまな事に悩み苦しみ、また喜びといった中、高校生たちが誰しも経験するであろう道を歩み、成長していく。決して「ファンタジーの中の登場人物」として描かれているわけではない。
主人公のアーネストが父親を亡くしてレスターベリーの前で神様を恨んで泣き叫ぶ場面やエドガーがレスターベリーに対して嫉妬心を剥き出しにする場面など、この状況ならこういう心情にもなるだろうなとか、まぁこういう反応するだろうなとか人間くさい面も余すところなく描かれている。
そこは思春期の男子学生なので、当然の姿だろうと思う。むしろ平時では大人びている登場人物が殆どなので、そういう姿を見られる方が安心する。

さて、この巻が完結なので寮長のグッドウッドを始め、最上級生たちがいよいよウィンザー校を卒業していく。新しい寮代表が誰になるか前巻から注目されてきたが、紆余曲折を経てレスターベリーが就任という形で決着がつく。
私はレスターベリー推しなので、彼に軍配が上がって本当によかった!
新寮代表レスターベリーと彼を制御する?という形で登場するサイレントの二人が率いる新生ガーフレット寮をもっと見たかった。またいつか描いてくれたら…と思わずにいられない。

アーネストもスタンリーもシャンディ、キャンベルも…あのまだ幼さの残る1年生たちも成長している、大人になっていっている…それがよくわかる巻だった。

最後のシーンでアーネストが卒業生を出迎えて「おかえりなさい。ガーフレット寮へ!」と言っていたところが印象的だった。イギリスの学校の寮を「ハウス」と呼ぶ意味がとてもよくわかる。その学校で過ごすのは長い人生の中の5年間。その短い時間しかないけれど、その5年間で紡がれてきた関係性が絆が卒業後もずっと続いていく。それがとても素敵だと素直に思える。

彼らの未来に幸多かれ!

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