あらすじ
異母姉に嵌められ、十六という若さで処刑された女王クリスティアン。
それから十六年の月日が経ち、女王生誕祭に思いを馳せる少女が一人。
公爵令嬢ティアレシアだ。
彼女の従僕は囁く――「俺はいつまでお守りをさせられるんだ?」
そう彼女こそ、この美しき悪魔と取引をし、転生した元女王だった!
今ここに、転生令嬢と悪魔による復讐の幕が上がる!
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感情タグBEST3
無料お試しのマンガを読んだことがきっかけで、思っていたよりも作品の世界に入り込み、小説の方を購入。一気に読んでしまった。
読んでいる時から想起させられる場面はあったけど、あとがきを読んで納得。
「9日間の女王」と呼ばれるジェーングレイというイギリスの女王様の処刑がベースになっていたんですね。本作のクリスティアンと重なってとても苦しくなった…もう470年以上も昔の事ですが……
本作ではクリスティアンの臨終の際の無念を転生後のティアレシアが悪魔の力を借りて見事に晴らす。もちろん悪魔と契約したことで、代償として自身の魂を明け渡さねばならないし、それ以外にもティアレシアの優しさゆえに葛藤もさまざまあり…と決して一筋縄ではいかなかったけれど、やっぱり最後はきっちり覚悟を決めて自身の目的、本音と向き合う。
本作でティアレシアは「自分はもう前世のクリスティアンだった時のような純真無垢さは持っていない」というようなことを言っているけれど、最後の最後で自分を嵌めて処刑した異母姉を処刑しなかったところや大事なものは作らないと言いながら、結局は周囲の人間を慮ってできる限り守ろうとするところ等、クリスティアンの持っていた純粋さを少なからずティアレシアも持っていると私は思う。そして強さも併せ持っている。だからこそ前世からの初志が貫徹できた。
悪魔との契約があっての目標完遂、達成だから、当然これから先いろいろと難題が降りかかるかもしれないが、この二人ならうまく乗り越えていく気がする。
何はともあれ、この巻ではハッピーエンドを迎えることができた。
この一冊だけでもティアレシアの前世からの魂の変遷が辿れるので、それだけでも価値があると思う一冊。
ヤバい人が多くてちょっと引いた
一言で言うとすごく読み応えのあるお話でした。
それぞれの登場人物視点の語りも多くて、ティアレシアやルディだけのお話になってないのもすごくおもしろかったです。
ルディの切なさがものすごく丁寧に描かれててよかった。ティアレシアもかわいいところが多くておばちゃんお仕えしたくなっちゃいました。
ただ、イヤこれが世界というものよねと思いつつも「ヤバイ人多すぎない…?」とは思いました。
クリスティアンの亡骸を愛し続けるセドリックがキングオブヤバイヤツだと思いましたが、シュリーロッドもなかなかスゴイ。
悪魔であるルディとチャドがひどく真っ当に見えましたw
どの人物の背景も共感できたり納得できるよいお話でした。続編もあるようなのでそちらも楽しみです。