少年・青年マンガ のおすすめレビュー
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元は飼い猫でしたが、ある日家を飛び出して迷子になってしまいやむなく野良生活をしている白猫・マルル。
他の野良猫に殴られたり、食べ物や水にありつけなかったりと、外の世界は思っていた以上に厳しい世界でした。
ある日、水を飲もうとしてジョウロに頭を突っ込んで抜けなくなってしまった猫に遭遇します。
その猫は以前マルルのことを殴ってきたボス猫のハチワレでした。
3日間飲まず食わずの状態で弱り切っていたハチワレの姿に、世界の厳しさと諸行無常を痛感するマルル。
自分の過去の経験を活かし、ハチワレを無事ジョウロから救い出すことに成功します
マルルは自身がペットショップで売れ残っている時にガラスケースの中から見かけた野良猫は、自分みたいなみじめな存在ではなく自由な存在だと思っていました。
しかし自分が野良になってみて、当時の自分も野良猫も決して自由なんかではなく、自分で生き方を選べなかっただけである事に気付くのです。
これをキッカケに、マルルによって命を救われたハチワレ(ハチ)とマルルは共に協力して生き抜いていきます。
どの猫もとにかく可愛くて愛らしいのですが、ただ可愛くて癒される物語ではありません。
猫視点での猫の生活や人間との関わりを描いており、様々な社会問題や猫問題が散りばめられ、奥深い物語になっています。
セミを追いかけて家を飛び出し迷子になってしまったマルルが飼い主の家を探し出すも、既にそこにマルルの居場所はなく野良として生きていく覚悟を決めたシーンでは、マルルの表情の変化にぐっと心を掴まれます。
猫たちの表情の豊かさや、リアルな猫たちの仕草にも是非注目してください。
マルルとハチのバディを中心に、厳しく切ないながらもたくましく生きる猫たちの姿は、極上のヒューマンドラマならぬ、にゃんこドラマです!!
2022年05月27日 -
フィンランド・ラップランド地方の町はずれで老紳士たちが営む小さなホテル”メッツァペウラ”。
吹雪の中ジュンと名乗る謎の日本人少年が現れます。
全身和彫りの入れ墨が入った彼はどうにもワケアリのようで…。
放っておけないアードルフは一緒にホテルで働かないかと持ち掛けます。
行き場のないジュンは、ホテルマン・アードルフとコックのクスタと共にホテル”メッツァペウラ”での生活をスタートさせます。
日本の施設で育ち、フィンランド人の血をひいているジュン。
フィンランドを訪れたのも自身のルーツを探るためなのかもしれませんが、まだ多くの謎に包まれています。
日本で世話になっていた「先生」と慕うヤクザの影響なのか全身に入れ墨が入っていますが、性格は素直でとても真面目。
それ故に、何故彼が何も持たずメッツァペウラに辿り着いたのか、今後どうなっていくのかが気になるところ。
ジュンの謎も気になりますが、ワケアリの彼をそのまま受け入れてくれたホテル・メッツァペウラの老紳士ふたりも魅力的。
言葉がぶっきらぼうで一見怖そうに見えるクスタですが、誰よりもジュンを心配しています。
突然訪れたジュンと一緒にサウナ(フィンランド式サウナ!!)に入り言葉ではなく行動で打ち解けようとしたり、不器用なところに職人気質を感じます。
THEホテルマン!といった感じのアードルフも、ジュンの人間性を見抜いた人。
しかも元軍人という過去も気になります。
フィンランドの雪深いホテルを舞台にしながら、心がじんわりと温かくなる物語です。
雪どけと共にジュンの心の中の雪もとけて欲しいと願わずにいられません。2022年05月10日 -
宇宙にハッピーを広めるために地球にやってきたハッピー星人のタコピー。
彷徨っていたところを助けてくれた小学四年生のしずかちゃんをハッピーにしたくて空飛ぶ道具を見せるも、彼女は全く興味を示してくれず…。
それもそのはず、しずかちゃんを取り巻く環境はそんな便利道具でどうにかなるようなものではないほど壮絶だったのです…。
物語はしずかちゃんや学校の同級生を中心とした小学生の世界を描いており、だからこそ、逃げ場のない限られた世界で行われるいじめ・ネグレクト・虐待は、彼女達を追い詰めてゆきます。
ただただしずかちゃんに笑って欲しいだけのタコピーですが、彼(?)の行動によって事態は坂を転がり落ちるように悪化の一途を辿ります。
主人公のしずかちゃんはクラスメイトの雲母坂(きららざか)まりなから壮絶ないじめを受けています。
ですがいじめという概念を知らないタコピーは理解ができず、「遊んでいる」と認識します。
更に「友達とケンカした」と言い痣だらけになっているしずかちゃんを見ても、タコピーは理解ができません。
「ケンカをすると顔の色が変わるんだっピね!」と無邪気に言い、便利道具の“仲直りリボン”を渡してしまうのです。
しかし本来の使い方とは違う使い方で自ら命を絶ってしまったしずかちゃん。
ショックを受けたタコピーはハッピーカメラで彼女が命を絶つ前まで時間を戻しますが…。
しずかちゃんを笑顔にすることはできるのでしょうか…。
しずかちゃんの親は(恐らくは)ネグレクト、しずかちゃんを執拗にいじめるまりなもまた、過酷な家庭環境で生きている虐待サバイバー。
そのほか、登場する子供たちは誰しも人には言えない闇を抱えています。
さらには、
子供の歯止めが効かない残酷さ。
大人の無関心さによる残酷さ。
悪意のない無垢ゆえの残酷さ。
ありとあらゆる残酷さが詰まっており、残酷のジェットコースター状態。
大人から見放され、断絶された残酷な世界で苦しむ子供たちの姿を見ると胸が苦しくなります。
無邪気さに恐怖を感じる方もいるのではないかと思うタコピーですが、この物語は彼のキャラクター性によって救われているのではないでしょうか。
いじめや虐待といったことが横行している世界を「歪んでいる」と言うことがありますが、この物語は悪意を知らない無垢なタコピーの視点で描かれているので、歪んだ世界が更に違う歪みをみせます。
タコピーによって彼女達の世界は今後どう変化していくのか…。
「原罪」は一体何を指しているのか。
色々な考察ができる本作、是非覚悟して読んでいただきたいです。2022年05月10日
