あらすじ
若だんなの前に「天眼通(てんげんつう)」を名乗る男が現れた。過去に未来、人の心まで見通すことができるという能力のせいで人に嫌われる、と助けを求めてきたが。一方、仁吉に惚れた天狗の姫が、無謀にも祖母のおぎんに勝負を挑み、許嫁(いいなづけ)の於りんの実家、中屋には次から次へと災難がふりかかる。気が気でない若だんなは、なんと場久の手を借り夢に潜入!? 仲間の為、許嫁の為、危険に飛び込む一太郎の決意が光る、急展開の第18弾。(解説・タニグチリウイチ)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
おぎん様大暴れ
最初の2話におぎん様も出てるんですが、いい感じに大暴れしてます笑
振り回されても嬉しそうな仁吉と、負けじと無茶をする若だんなが可愛い。
あと、ちょこちょこ屏風のぞきと金次が優しくてキュンとします笑
Posted by ブクログ
解説ではリモートワークに例えられていたが、今回の若旦那はまさに、どちらかと言うと既に確立されたジャンルである、「ベッド・ディテクティヴ」に該当するかと。舞い込んでくる情報は妖達でまさにそれ。布団にいる若旦那、どうしてこんなにちょっとした事件に巻き込まれるのか…。今回も面白かった。それにしてもここまで一巻まるまる、ほとんど寝たきりで解決していったのは、今作が初めてではないだろうか。
Posted by ブクログ
今巻は最初から最後まで、若旦那が病弱な体を引き摺って駆け回って、全ての問題に関わっていて面白かったです
若旦那は何も出来ないと凹むけど、関わろうと行動して手助けされるのと前巻のように、妖たちが先回りして動かれるだけなのは全く違うとよく分かる差分だった
初っ端から仁吉が、千年の恋ゆえにいつもの落ち着きと判断力を持たなくなってる展開も新鮮でした
Posted by ブクログ
2022/7/13
毎回楽しく読むよ。
好きな人に「しょうがないなぁ」っていいながら世話を焼くのは楽しいもんだよね。仁吉にとってさえも。
若旦那、ずっとこのままでいて欲しいような、嫁とったり成長して欲しいような。
いや、このままでいて欲しいのが勝つな。私は。
Posted by ブクログ
毎年きっちり同じ時期、7月に新刊が、12月に文庫版が刊行されていたしゃばけシリーズだが、本作は7月に文庫版が刊行されていた。なお、12月には文庫オリジナルの短編集『またあおう』が刊行されている。
「てんぐさらい」。天狗の姫様が、長崎屋の手代の仁吉と添いたいという。一太郎の祖母に当たるおぎんが絡んでいるらしいが…。勝負の結末は、潔いというか何というか。それより、中屋の災難の方が大変じゃないか、おい!
「たたりづき」。詳細は省くが、一太郎に祟りの始末をしてくれという。嗚呼、引き受ける義理もないのに。話が進むほど、手を引きゃいいのにという気がしてくるが、いつものことか。昔も今も、人間とは噂好きなことよ。
「恋の闇」とは何やら剣呑なタイトルだが、現代風に言うならのマッチングサービスの話とだけ書いておこう。本人は登場しないのに、三春屋の栄吉のこの扱われ方は気の毒ではないか。中屋さんによい縁談があるといいですねえ。
「てんげんつう」。未来や人の心まで見通せる「天眼通」を名乗る男が、この能力をなくしたい、いややっぱり失いたくない、どっちやねん。一太郎に厄介事ばかり持ち込まれるのは、お約束だけどさ。逆に妖になりたいという話もあったっけ。
「くりかえし」。病弱な上に数々の災難に遭ってきた一太郎だが、これほどの災難があっただろうか…。鰯の頭も信心からっていいますけども。またしても長崎屋には関係ないとばっちり。競争するならフェアにやってもらいたい。
全5編に共通しているのは、妖よりも人間のやることの方が怖いということだろうか。一太郎の許嫁の於りんがいる中屋の大問題を始め、人間の欲や怨念には限りがない。いつもながらの安心感もあるが、一味違う今作であった。
文庫版解説は、ウェブ書評で昔から有名なタニグチリウイチ氏だが、なるほど納得する点もある。一太郎本人が病弱で動けなくても、妖という実働部隊がいるから、手段があるから、色々首を突っ込んでしまうのだろうねえ。
Posted by ブクログ
仁吉に惚れた天狗のお姫様のお話から先を見越す天眼通の相談事まで。
先日の仁吉の記憶喪失のお話から、今まで明確に登場しなかったおぎん様がぽつぽつ出演し始めた気がする。「いつも、いつも、いつもこの仁吉を困らせて」って言う仁吉はやはり嬉しそう。
人も妖も己の利を優先させて勝手な中で若だんなが誰かのために成長し頑張る姿は微笑ましい。
Posted by ブクログ
畠中恵「しゃばけシリーズ」第18弾
と言っても 1作目を読んでからずいぶんご無沙汰で、登場人物(妖達も)を思い出すのに一苦労だった。
主人公の若旦那は 祖母が大妖のおぎんで、体は弱いが、妖達に守られながら 楽しく過ごしていた。
そこに毎回毎回 巻き起こる謎の事件。
妖達と一緒に その事件の解決をしていく。
第18弾の中で なかなか厄介で、人間の業を感じるのが題名になっている「てんげんつう」だろう。
【千里眼は持ちたいが、人には嫌われたくない、生きやすさが欲しい】他人より優位に立てる力は欲しい、がその弊害は欲しくないのは 世の常。
自分の力量や素質が大いなる力に見合わない場合 やはり人を狂わしてしまう。
世の中には(世界でも)そんなことばかりが あちこちで起こっている。
(ふぅ 自分にそんな力が無くてよかった)と安心とほんの少し残念を抱きながら 妖の世界を楽しく読める作品でした。