あらすじ
江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う……。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。(解説・小谷真理)
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Posted by ブクログ
江戸有数の廻船問屋の一人息子・一太郎は、病弱で外出もままならない。
ある日、彼は両親や店の者たちの目を盗んで出掛けた夜に人殺しを目撃してしまう。幼い頃から一太郎の周囲には妖怪が集まる。身の回りの世話をしてくれる手代の二人も、実は犬神と白沢という妖怪である。町を騒がす殺人事件を妖怪たちと共に解決する。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。
言わずと知れた名作である。
古い作品であるにも関わらず、昨年ノイタミナでアニメ化も果たした人気作。ずっとタイトルは知っていたが、手に取ったことはなかった。さすが息の長い作品というだけあり、安定感抜群。折に触れて時代小説は読んできたが、いつも瑞々しいタイムスリップをくれるので、結構好きなジャンルだ。本作は、政治や武家のしがらみではなくど真ん中の町人の日常を描いている。当時の息遣いが感じられる生き生きとした江戸。とても良かった。
本筋の事件とは別にちゃんと見せ場がある。
事件を綺麗に着地させるのはもちろん、物語後半では一太郎の生い立ちにも迫る。シリーズ物として愛されるにはこういう骨組みが重要である。ここから長ーーーーく続く事を見据えたしっかりとした設定。丁寧でよく練られた人物基盤。骨太で良かった。
シリーズの一作目ってこんな感じだよな。満点にするほどの爆発力があったかといえば疑問なのだが、「しゃばけってこういう感じで進めていきますよ」という正しいしゃばけシリーズの楽しみ方ガイドとしておもしろく読んだ。しゃばけのスタンダードをここに置いて、これからどれほど面白くしてくれるのかなという期待値も込めて満点をつけた。
一人称がちょっとだけ気になった。
別に意味は追えるのだが、主語が「一太郎」「若だんな」と一定しない。どちらも地の文に同じくらい出てくる。何か意味があるのかも…と伏線を警戒したのだが、そんなこともなかった。正直、統一してもらった方が読み易い。
Posted by ブクログ
いつの時代も、妖怪ものはある。
私が小さい頃は『ゲゲゲの鬼太郎』や『地獄先生ぬ〜べ〜』があったし、それからも『夏目友人帳』『妖怪ウォッチ』や『ダンダダン』など、ずっと妖怪コンテンツはあった。
子どもの頃に想像する、「オバケや妖怪がいるかもしれない」という世界。
思えばこうしたコンテンツは色んな描き方がある。
ホラーもあれば、バトルものもあれば、学園ものまで。
今回読んだ『しゃばけ』は、時代劇。
舞台は江戸。主人公は豪商の跡取り息子、一太郎。
一太郎の周りには普通に妖怪が出てくるし、普通に喋って働いていたり(素性を隠して)する。
こういう、「自分にだけ変なものが見える」とか「人に化けて身の回りにめっちゃ強い妖怪がいる」とか、私は子どもの頃に妄想していたもので、なんだか懐かしい。
妖怪絡みの事件を扱うミステリー的な物語ではありつつ、江戸の暮らしぶりが垣間見えるのも面白いポイント。
今回の物語の鍵は、『付喪神(つくもがみ)』という妖怪だ。
長く使われた道具には魂が宿るというもの。
日本では古くから、道具はもちろん、木や山、岩、川など、自然に対しても神を見出してきた。
私自身、神様や妖怪などの類は信じているし、私はその日本人的感覚が、とても素敵な考え方に思える。
ドライに現実だけを見るのではなくて、「もしかしたらあの脇道に妖怪がいるのかも」と思えるだけで、何が大きく変わるでもないが、ちょっとだけ日々が楽しくなりそうだと思う。
浮世絵が流行して今も生き続けているのも、そんな風に「もしかしたら」と思えるワクワクがあるからかもしれない。
今では身の回りはほとんど安価な大量生産の人工物に囲まれているし、100年使い続けられそうなものは少ない。
付喪神には、なれそうもないものばかりだ。
人が長く使って愛を注いで、怨念が宿ってしまいそうなほどのもの。
そんなものを作りたいと思う。
Posted by ブクログ
娑婆気(しゃばけ)…俗世間における、名誉・利得などのさまざまな欲望にとらわれる心
一太郎はしゃばけから遠い存在だと思ったのだけどこのタイトルをつけた理由が気になる〜。
妖が一太郎の日常にあたりまえのように存在していて、この話が描く江戸時代の雰囲気がめちゃくちゃ好きだな〜。最初に殺人事件に巻き込まれたところから事件を解決しないまま話が進んでいき、あれどうなったっけ?と途中で思うこともあったけど、一太郎のお兄さん、長崎屋の家族の秘密、一太郎と妖の関係。全てが連続殺人事件につながっており、事件自体は重たいものの、人と違う価値観で生きる不可思議な妖の存在があったからこの雰囲気を損なわず一貫して共存した関係性だったのだろう。事件も付喪神になりそこねた妖が、何も考えられなくなる物に戻るのが怖い、捨てられるのが怖いという理由で付喪神になるために一太郎が持つ(と思い込んでた)返魂香を奪おうと人を襲って引き起こされた。妖が当たり前に存在する世界だからこそ面白みがあったし、物を大切にし続けると神が宿るという日本ならではの文化的な考え方も感じられて、江戸時代ミステリー奇譚の新たなカテゴリーにであえて嬉しい。
Posted by ブクログ
夏の終わり読む江戸&妖ものがいっちゃん気持ちいいんだから!と思って読み始めた。
なんかミステリーって聞いてたけど、妖の仕業ってなるとあんま謎解きの気持ち良さはなかったなー。
名前のあるキャラクターがたくさん出てくるから、キャラものとしてはたのしかった。栄吉さんと一太郎の友情を感じるシーンがよかった。
4話の一太郎に群がるたくさんの鳴家のイラストかわいかった。わたしにも群がってほしい。
Posted by ブクログ
アニメ観て読みました。
付喪神怖すぎ!って感想ですね。
一太郎の言う通り、人の手で作られて百年近くも大切に扱われてきたのに、壊されて血を浴びたら元持ち主刺殺して更に首切り落とすサイコパスになるとか、作者あの世で泣いてるぞ…笑
やっぱり神と名が付くだけあって、悪いことすると人に祟りがあるのかな?
複数人殺害と大火事ともなると、流石に盛り沢山過ぎますが。
アニメもまったりしていて良かったですが、小説はよりまったりしていました。
妖について詳しくないから色々調べながら読まないといけませんでしたが、おこしが江戸時代からあるとかちょっと勉強になる部分もありました。
栄吉の将来が心配なので続編も読み続けようと思います笑