【感想・ネタバレ】アルキメデスの大戦(12)のレビュー

1933年の日本海軍を舞台にしているのに、主人公のファーストミッションは「超巨大戦艦建造費用の見積もりの調査」というもの。読み始めたときは正直、「え、地味すぎないか?」と思いました。建造費用がどうこうって裏方のさらに裏方の話じゃないですか、と。

しかし、読み進めていくと、自分の浅はかさを思い知らされます。まず、主人公・櫂直がかっこよすぎる。東京帝大中退の数学の天才で、英語・仏語・独語もペラペラ、しかもイケメンで女性にもモテるんです。
戦艦に関する知識はゼロという状態で、海軍省経理局という超絶アウェイにいきなり放り込まれて、数学の才能一本で真実を解き明かしていく――そんな下剋上ファンタジスタぶりを見せつけられるだけでも痛快で面白いのに、国防や戦争が抱える矛盾、上層部の軍人たちの曲者ぶりなど、読者を唸らせる要素がたっぷり盛り込まれています。
さすが、庵野秀明氏、かわぐちかいじ氏、秋本治氏が帯に推薦コメントを書いているだけあります……! このお三方の並び、信頼感しかないですよね。

正義感が強く平和を愛する櫂が、新型戦闘機を開発するなど、図らずも戦争の要となる技術戦略畑に深く関わるようになっていく様が、物語の面白さであると同時に、戦争に向けて動き始めた世界からは誰も逃れられない……という恐ろしさを物語っているようでもあります。『ドラゴン桜』(講談社)や『インベスターZ』(コルク)を世に送り出した三田紀房先生ならではの、“面白くて考えさせられる”作品です!

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Posted by ブクログ 2019年12月25日

109- 陸軍中野学校か007が始まったのかと。
111 海軍暗号だった。外務省が噛んでいたので、外交暗号の可能性も考えました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月30日

やはりシュバルツと再会、重要な役割を演じる。まさかのヒットラーとの面会。ひさとは分かれることになるのか。

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Posted by ブクログ 2018年11月12日

ドイツ編。
再開したシュバルツ中佐との密会でのやりとりが、両国家の行く末を知る身としては、なんともいえない。
戦争を起こさせないために、国家の窮乏をよしとするシュバルツ。同じく戦争を起こさせないために、国家の窮乏を回復させようとする櫂。
どちらも、自国と他国の現状を客観視できるという前提ありきの回避...続きを読む策なんだよなぁ。
他国との戦力差。他国との戦力の均衡。
どちらにしても、判断の正確さ冷静さがあれば済む話なのだよなぁ。熱狂と陶酔が、それを奪っていくわけですか。

櫂のいない日本では、知らない所で恋が終わりを告げます。これが、櫂の行動に影を落とすことになるのかな?

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