あらすじ
一度は三菱機に決まりかけた九試単座戦闘機の制式採用だが、櫂の機転で空母「赤城」への着艦試験が追加され、決定は持ち越しに。櫂たちはそこに逆転採用への望みを託す。迎えた試験前日、櫂は前乗りした「赤城」でドイツ人数学者シュバルツと出会い、彼から知り得たドイツの情報と技術に衝撃を受ける事に‥‥。櫂の中に新たな考えが生まれ始める中、衆人環視のもと、最後の試験が始まる!!
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1933年の日本海軍を舞台にしているのに、主人公のファーストミッションは「超巨大戦艦建造費用の見積もりの調査」というもの。読み始めたときは正直、「え、地味すぎないか?」と思いました。建造費用がどうこうって裏方のさらに裏方の話じゃないですか、と。
しかし、読み進めていくと、自分の浅はかさを思い知らされます。まず、主人公・櫂直がかっこよすぎる。東京帝大中退の数学の天才で、英語・仏語・独語もペラペラ、しかもイケメンで女性にもモテるんです。
戦艦に関する知識はゼロという状態で、海軍省経理局という超絶アウェイにいきなり放り込まれて、数学の才能一本で真実を解き明かしていく――そんな下剋上ファンタジスタぶりを見せつけられるだけでも痛快で面白いのに、国防や戦争が抱える矛盾、上層部の軍人たちの曲者ぶりなど、読者を唸らせる要素がたっぷり盛り込まれています。
さすが、庵野秀明氏、かわぐちかいじ氏、秋本治氏が帯に推薦コメントを書いているだけあります……! このお三方の並び、信頼感しかないですよね。
正義感が強く平和を愛する櫂が、新型戦闘機を開発するなど、図らずも戦争の要となる技術戦略畑に深く関わるようになっていく様が、物語の面白さであると同時に、戦争に向けて動き始めた世界からは誰も逃れられない……という恐ろしさを物語っているようでもあります。『ドラゴン桜』(講談社)や『インベスターZ』(コルク)を世に送り出した三田紀房先生ならではの、“面白くて考えさせられる”作品です!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
73 カツヨ2号のフライトプランはどうした?
74 そういや、赤城は停泊中のようで。そんなのに着艦して審査になるのかと。
76 「実験中の技術」これの方がヤバいような。発案は軸流の方が早かったのね。
Posted by ブクログ
「風立ちぬ」延長戦。
三菱製に決定した新型戦闘機開発。あきらめない櫂は空母への着艦試験で最終決着を狙います。三菱機が着艦に失敗する一方、海軍機は見事成功。海軍機採用となるところですが、海軍機の設計は三菱の流用と明かし、三菱製を改良することで正式採用となりました。
その着艦試験が行われた空母「赤城」で行われた日独交渉。ここで譲渡されたガスタービンという最新技術。どう関わるのやら。
戦闘機開発にいそしんでいる間、平山造船中将の「大和」開発計画は水面下で進行中。戦闘機に航空兵力では、大艦巨砲主義はつぶすことは現状できていない。
櫂はどんな行動に出るのやら。
日本の弱点を知る上で。
日本の大敗の発端となったミッドウエー海戦で使われた日本の学者が自ら基礎理論を論文で唱えその重要性に大日本帝国が気づけなかった電探(レーダー)技術も盛り込んだらどんな話になるかな。
「教科書には載っていない大日本帝国の発明世界を驚かせた33の発明秘話」も読んでみるとより楽しめます。この本(後述)はBookLiveにはないしレーダーについてはこの本「教科書には載っていない大日本帝国の発明世界を驚かせた33の発明秘話」には載っていません。