【感想・ネタバレ】アルキメデスの大戦(7)のレビュー

1933年の日本海軍を舞台にしているのに、主人公のファーストミッションは「超巨大戦艦建造費用の見積もりの調査」というもの。読み始めたときは正直、「え、地味すぎないか?」と思いました。建造費用がどうこうって裏方のさらに裏方の話じゃないですか、と。

しかし、読み進めていくと、自分の浅はかさを思い知らされます。まず、主人公・櫂直がかっこよすぎる。東京帝大中退の数学の天才で、英語・仏語・独語もペラペラ、しかもイケメンで女性にもモテるんです。
戦艦に関する知識はゼロという状態で、海軍省経理局という超絶アウェイにいきなり放り込まれて、数学の才能一本で真実を解き明かしていく――そんな下剋上ファンタジスタぶりを見せつけられるだけでも痛快で面白いのに、国防や戦争が抱える矛盾、上層部の軍人たちの曲者ぶりなど、読者を唸らせる要素がたっぷり盛り込まれています。
さすが、庵野秀明氏、かわぐちかいじ氏、秋本治氏が帯に推薦コメントを書いているだけあります……! このお三方の並び、信頼感しかないですよね。

正義感が強く平和を愛する櫂が、新型戦闘機を開発するなど、図らずも戦争の要となる技術戦略畑に深く関わるようになっていく様が、物語の面白さであると同時に、戦争に向けて動き始めた世界からは誰も逃れられない……という恐ろしさを物語っているようでもあります。『ドラゴン桜』(講談社)や『インベスターZ』(コルク)を世に送り出した三田紀房先生ならではの、“面白くて考えさせられる”作品です!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月08日

61 高オクタン航空燃料 なにかと誘惑が多いような。でも、飲み込まれないのは尊敬できる櫂。
63 インメルマンターンはちと、違うような。ヨーヨーだと思うのでした。

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Posted by ブクログ 2018年01月07日

まだまだ「風立ちぬ」。
新型戦闘機開発審査会は、2日目。写真銃を使った格闘戦です。三菱機に旋回性能では負けている海軍機は、ここの勝負をかけてきます。戦闘機なのだから、敵機を撃墜できなければ意味がない、ということで。三つ巴の争いだった審査会。中島機は整備不良でリタイヤしているので、格闘戦での結果が実質...続きを読むの決着、という流れ。

格闘戦の結果は、海軍機の勝利。
ということは…なんですが、新型戦闘機は三菱製に決定という報告。決定に大きな影響を及ぼすはずの山本海軍中将も賛成したという報告。大艦巨砲主義をつぶすために櫂直を海軍に引き入れ、なにかと力になってくれていたはずの山本海軍中将。彼がいながらの三菱機採用。
ここまで櫂の理想・理念に賛同してきたはずが、どうしてこの結果になったのか。
裏切りとも思えるこの結果は、今後の展開にどう関わる?

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