最近人気のお仕事系小説。知らなかった職業の裏側を知ることが出来たり、働く主人公に社会人として共感したり。本作もそんな系譜に連なる作品です。
優秀な経理部員・森若沙名子が、経理部を訪れる社員や彼らが提出する領収書などを通して、社内の問題や社員同士のトラブルを「イーブン」にしていくという物語。この森若さんの仕事っぷり、全ての会社員が羨むほどきっちり完璧で、読んでいるだけで気持ちいい……。ドジな主人公が失敗しながら成長していくストーリーを読むと主人公のミスにイライラして耐えられない派のみなさん、森若さんは信頼できる主人公です。あくまで「イーブン」にしたいというのが森若さんの美学なので、正義感を振り回すことがないというところも、控えめに言ってかなり推せます。
出てくるキャラクターたちも、経費でぎりぎりグレーな私物を購入する広報課長、私費を使ってでも会社に貢献して正社員になりたい契約社員、レジミスを謝らないアルバイトなどなど、「うわーあるある!」というリアルさ。友達の会社のトラブルを聞いているかのように「え、ありえない!」「この人怪しすぎ〜」と、思わず心のなかで相槌を打ちまくってしまいます。そして、読み終わった頃にはもう、森若さんが同僚かのような気持ちに。
そんな信頼の森若さんですが、恋愛の方は不器用でこじらせ気味。営業部のムードメーカー、山田太陽から想いを寄せられているのですが、この2人のラブ、なかなか進まない……。しかし、仕事は早くて迷いのない森若さんが、一つ年下の太陽からの好意に戸惑い、自問自答しながら亀の如き歩みでゆっくりと距離を縮めていくモダモダ感も風流というもの。
お仕事エピソードをスカッと読ませて、恋愛エピソードでムズキュンさせてくれる、1冊で2度美味しい作品です!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
今回は千晶の制服支給問題やマリナのバイト問題に絡んでの会社合併問題、そして黒幕?は誰問題、新社長は誰に!といつもながらの問題が多く出てきました。
個人的にマリナは嫌いだったので、良かったと思ってしまいました。
問題が大きすぎて、内海の協力があったけど経理部員ではそこまで解決できないのでは?とも思いましたが、サクサク読めました。
Posted by ブクログ
総務課の玉村志保、沙名子があることに気づき
今までの志保の行動や言動に一定の法則が・・
世の中にこんな人はいるんだろうけどなんて
面倒くさい性格なんだと正直思いました。
経理部員がまさかの潜入調査!?
猪突猛進な麻吹美華が有本マリナの副業や
空接待の証拠を掴むべく調査を進めると
天天コーポレーションの部長なんかも
出てきてさらに途中からあの変わり者の
山崎も加わり混沌とした状況になるものの
まさかの買収劇から思いもよらぬ展開に・・・
買収劇にかかわったあの部長はとんでもない
発想だったし、有本マリナの去就には納得が
いかなかったがそういうものかもしれません。
何事もイーブンを貫く沙名子なのですが、
巻を重ねるごとにまわりの環境や人間関係も
変わっていくからかもしれませんが、
作中に出てくる心の声がなかなか人間味が
あふれ出まくってて個人的には好きですね。