【感想・ネタバレ】江戸川乱歩・少年探偵シリーズ(1) 怪人二十面相(ポプラ文庫クラシック)のレビュー

あらすじ

十年以上を経て突然帰郷した羽柴家の長男、壮一。折しも羽柴家には、ちまたで噂の盗賊「怪人二十面相」からロマノフ王家に伝わる宝石を狙った予告状が届いていた。変幻自在の愉快犯・怪人二十面相と名探偵明智小五郎、記念すべき初対決の幕が開く。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

現金には目を向けず高価な美術品だけを盗みの対象とする美学を持った怪盗二十面相と、明智探偵の対決が始まる。人を傷つけたり殺したりしない二十面相だけど、犬は殺してしまう場面も何故か私は記憶に残っている。ただ美術品を盗むことと、人を驚かせることにしか興味のない二十面相は、悪党ながらも何だか憎めない。
最初の事件となる実業家・羽柴家への侵入は罠に向かって直行するなど少し「この人は大丈夫なのだろうか……」と不安になる動作の怪しさを見せる。明智探偵と二十面相が対峙するシーンでは、イメージを払拭するカリスマ性溢れる二十面相の姿が描かれ胸が躍った。簡単には捕まらない変装名人・怪人二十面相も、明智小五郎のまさかのトリックに引っかかってしまった。最後まで物語が二転三転し、一筋縄でいかないところは流石だなと思った。
もっと怪盗二十面相は、煙のようにいつの間にか目当ての物を取っていき歯がみすることになったり、あるいは阻止したり、あくまで現場での攻防だけかと思いきや意外と二十面相のアジトに侵入できたりする。
地下室にとらわれた小林少年に二十面相は、食事一回ごとにご飯と引き換えに銃やら回答が羽柴邸で盗んだダイヤを取り戻して持っていたのでそのダイヤと交換することにした『二十面相は、この奇妙な取りひきが、ゆかいでたまらないようすでした。』一気に取り戻さずにそうしてじわじわと取り返すことで、少しずつ勝っている様子を表しているのかと思った。
立ちならぶ警官たちも、この美しい光景にうたれて、にこやかに、しかし、しんみりした気持ちで、ふたりのようすをながめていました。少年探偵団の十人の小学生は、もう我慢ができませんでした。だれが音頭をとるともなく、期せずしてみんなの両手が、高く空にあがりました。そして一同、かわいらしい声をそろえて、くりかえしくりかえしさけぶのでした。/「明智先生、ばんざーい。」/「小林団長、ばんざーい。」少年探偵団以前からの明智ファンの持つ『明智ならやってくれる』という期待にそぐわない王道のラストも良かった。
久々に小説を読んだ。世界観に引き込まれ、読んでいて面白かったし、人を殺す描写が無いため、読んでいて不快にならず、最後まで読めた。残酷な描写を書かずに、このようなワクワクドキドキさせる話を26年間も書き続けた江戸川乱歩の凄さに驚いた。怪人二十面相のこの設定が少年探偵シリーズの品位を保っていると思うし、ここまで長く読み続けられてきた所以の一つであると思う。

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2021年08月01日

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ネタバレ

明智小五郎さんと怪人二十面相の知恵がすごかったです。
一回怪人二十面相を捕まえたのに、逃げられて、小学生の団体に突っ込んで、そのまま跳びかかられて捕まえられたのが面白かったです。

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2013年04月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 子供の頃には読んだことなかったような気がする。完全に童心に返ってしまった。なにぃおまえが二十面相だったのかー!!! みたいな。わが精神年齢の低さに驚き!笑 一般向けのミステリーよりもテンション上がる。たのしい!
 日本ミステリー界の巨星の、子供に対する温かな眼差しを感じる。古めかしいけど丁寧な言葉遣いや、雰囲気のある挿絵も大好きだ。
 解説はなんと乱歩の孫、平井憲太郎氏。

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2012年06月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

怪人二十面相に狙われた富豪・羽柴壮太郎の所有する6つのロマノフ家の宝石。羽柴家の長男・壮一の帰国。壮一に変装した二十面相に奪われた宝石。逃亡する際に羽柴壮太郎の次男・壮二君が仕掛けた罠で負傷する二十面相。運転手に化けて逃亡する際に誘拐された壮二君。外国にいる明智小五郎に代わって二十面相と対決する小林少年。二十面相から壮二君と引き換えに要求された仏像。仏像の受け渡し、乞食の親子に化けた二十面相。仏像に化けた小林少年と二十面相の対決。囚われた小林少年の伝書鳩。美術城と呼ばれる屋敷に美術品を溜め込む日下部老人。二十面相からの予告に折よく近くに滞在していた明智小五郎に護衛を頼むが…。帰国後の明智小五郎と二十面相の対決。北小路博士の美術品盗難予告。明智小五郎に襲いかかる赤井、明智に恨みがあることで二十面相の部下になる赤井。誘拐された明智小五郎。予告当日奪われた美術品。明智小五郎の登場。明智に弟子入り志願した男の秘密。北小路博士の腕を離さない明智小五郎。少年探偵団の活躍。

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2015年03月22日

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ネタバレ

もちろん、日本のミステリーも忘れてはなりません。
でも、私には、挿絵がリアルすぎて、怖くて眠れなくなったので、全巻読破はできなかったな。くすん。

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2011年05月07日

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ネタバレ

ある秋日、実業界の大立者である羽柴壮太郎氏宛てに、家宝であるロマノフ王朝時代の金剛石を奪うと、怪人二十面相からの予告状が届いた。犯行日は、家出した羽柴氏の長男である壮一が約十年ぶりに家に戻ってくる日であった。邸宅の周囲には、十重二十重の警戒を施し、壮太郎と壮一が最後の砦として宝石を守っていたが、実は壮一と思われていた人物が二十面相であった。二十面相は、まんまと宝石を奪って逃走したが、その際、次男の壮二のせいで怪我をしたため、今度は次男を誘拐して国宝級の家宝である観世音像を引き渡すよう要求する。要求に、警察に知らせてはならないとあったため、羽柴氏は解決策を明智小五郎に委ねようとするが、不在ゆえ、助手の小林芳雄が引き受けることになった。
 助手の小林少年は、自分が観世音像に化けて、二十面相の巣窟に行き、宝石を取り返すという妙案を思いつき、実行に移したが、二十面相に捕まって地下室に閉じ込められる。しかし、その地下室に小さな窓が存在していたことから、伝書バトを使って、警官に二十面相のアジト伝えることに成功し、二十面相は逮捕されることになった。そして、小林少年が勝利したかに思えたが、逮捕した人物はなんと二十面相が変装させたコックであった。
 うまく逃走した二十面相は、その後明智小五郎に化けて、日下部氏の古画を奪うという悪事を働き、また、明智小五郎が海外から帰国した際には、外務省の人間に化けて明智に近づき、国立博物館の美術品を略奪するまでの間、邪魔な存在である明智を拘束しようとした(なお、明智の拘束は失敗に終わる)。
 明智の拘束に失敗し、怒った二十面相は、その後、明智に恨みを持つ浮浪人を手下に加え、明智を誘拐することに成功する。そして、国立博物館の美術品を略奪する計画を実行する(方法は、少しずつ模倣品と入れ替えるという手法)。計画通り、全て二十面相の巣窟に渡ったが、唯一の誤算は、手下と思われていた浮浪人が明智で、誘拐した人物は、明智が昨年から有事の際の影武者として雇っていた替え玉であったことであった。したがって、計画は実行されたが、その手順や作戦、二十面相の正体や巣窟など全ての計画が明智に知られていたのである。明智の暴露がなされ、正体を見破られた二十面相は、美術館から逃走を図ったが、何かの時の手助けにと備えていた小林少年と羽柴壮二少年率いる少年探偵団に捕えられたのであった。

 少年向け読み物語であるということから、読んでいて推理しやすい(特に、羽柴壮一やコック、明智小五郎、外務省職員と二十面相が入れ替わっていることは早々に感ずることができるし、トリックもいたって単純)ため、少々物足りない。ただ、最後の明智の作戦には気づくことができず、感服したというのが率直な感想である。

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2018年01月03日

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