あらすじ
ポルミニュエとの結婚が決まり、テトジリチ家とユルグス家の間で起こった悶着に頭を抱えるマシュー。長きにわたった治療が終わり、兵として復帰するハロ。父や兄と共に、新たに心を奮い立たせるトルウェイ。准将という地位に困惑しきりのサザルーフ。独特のやり方でトリスナイ宰相との距離を縮めるヴァッキェ。帝国国民議会を開き、新たな政治を打ち立てようとする女帝シャミーユ。そして、そんな彼ら彼女らを温かく見守りながら、カトヴァーナ帝国を正しい未来へと導くために、いよいよ動き出すイクタ。キオカ共和国との決戦を前にした静かな日々は、まもなく終わりを迎える――。
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Posted by ブクログ
どちらかと言えばに日常回に近いような雰囲気に仕上がっているので、殿堂入りとまではいかないかなあと。でも、最後のハロとイクタのやり取りは最高で、作者の本気が垣間見える素晴らしさ。
ところで、次巻で最終巻だとのことで驚いた。私感では1巻で蒔いた伏線を考えれば、20巻でも30巻でも続くんじゃないかと思っていたので。どういう終わり方になるか創造もつかないけれど、素晴らしいシリーズを締めくくるにふさわしい最終巻であって欲しい。
Posted by ブクログ
ラスト前の短編集みたいな。
まさかマシューとぽるみんを結婚まで持って行くとは。
レミオン兄さんのいい奴感が増してきてる。なんで初回登場あんなんだったんや。。
トリスナイとヴァッキェの話は必要なのか、どうでる次巻。
そしてなぜここに来てサフィーダ中将だったんだろう。サザルーフに焦点当てようとすると出すしかなかったのか、、、?
Posted by ブクログ
前巻で世界観の説明があって、さて今巻はというところだったわけだけど、これはいわば嵐の前の静けさと言うか、ひと時の休息のような巻だった。
いろんな登場人物たちの小さなエピソードが重ねられて、それが最後に向けてどう意味を持っていくのか、とても興味深い。
途中で出てきた意外な人物のエピソードはもっと最後に重要な役割が振られる伏線かと思ったけど、そこまでではなかったんだな。
そしてやっぱりラストのイクタとハロの場面には胸が熱くなった。
イクタの重圧はどれほど大きなものなのか。
もしヤトリがいれば多分全然平気だっただろう。
でも、ちゃんとハロを頼ることができた。
そうだよ。
もともとこの物語は、天才軍師がその知略でホイホイ勝っちゃうような話ではなかった。
もっと苦しく理不尽で、その中で仲間と支えあって、事を成し遂げてきたんだ。
そういうお話なのだ。
その中で容赦なく犠牲も払われた。
だから最後まで目が離せない。
彼らの願いは想いは約束は、ちゃんと果たされるのか?
次巻、最終巻だということに少し驚いたのだけど(あと2-3巻出るのだと思っていた)心して待ちたい。
Posted by ブクログ
[Ⅰ]怖いんだ(p.220)[Ⅱ]近づく決戦。この巻はその助走、最後の凪のとき。[Ⅲ]イクタはおそらく勝ちたいわけでもなく負けたいわけでもなく、シャミーユが自己を肯定できるようにし、キオカ軍も含めなるべく少ない被害で戦を収めることをめざすと思うが、どうするのか、どこまでできるのか。サフィーダの話が妙に目立つ。
■簡単なメモ
マシューとポルミの婚約。
第一回帝国国民議会開始。ナナクも参加。
精霊を使った通信スタート。
ハロ復活、自称ヤブ医者の女医さん。
ジャンの懊悩。エルルファイの迷い。
サフィーダが生存していた。どこで間違ったのか考え続けている。
イクタの心情とハロ。
ハンナ《揉め事よりも祝い事から始めてみないかい。》p.24
イクタがパトレンシーナに《誰かを信じるってことは、いつでも自分の背中を刺せる位置にその人間を置くってことだからね》p.51
ヴァッキエがトリスナイに《この宮殿では無条件にトリリンを嫌うことが全員の共通認識に――ある種の「空気」になってると思うんだよね》p.68
ヴァッキエがイクタについてトリスナイに《あの人はね――自分の目論見通りに事態が運ぶことが、必ずしも最良の結果になるとは思っていないんだ》p.70
トルウェイがルシィの墓に《ぼくはこれからも、臆病者のまま戦場に立ち続けると思います。》第十三巻p.76。《だからぼくは目指します。――誰も勇者にならなくて済む世界を。誰もが臆病者のままでいられる未来を。》p.77
サフィーダ《吾輩は――ずっと、軍人になりたかったのだなぁ》p.194
イクタがマシューに《全ての人間に物語はある。好ましいものかどうかは別にして、善人にも悪人にもそれはある。》第十三巻p.211。《相手に対する想像力を完全になくした時、人と人の間に残る手段は戦いにだけなる。》p.212
ハロがイクタに《冷静になっちゃダメです。どうしようもなく辛いときに、辛い自分を冷たく見下ろしちゃダメです。》p.218
《怖いんだ》p.220
《・・・・・・ずるいよ、ハロ》p.225
バダがトリスナイに《帝国を繁栄に導くことで、きみは何になりたいんだ?》p.230