あらすじ
源氏の内輪もめが幸いして、都落ちした平家は急速に勢力を挽回していた。西海は一門の軍事力の温床、瀬戸内には平家の兵船が波を蹴たてて往きかい、着々と反攻の秋(とき)を窺っていた。わけて一ノ谷は天険の要害、平家自慢の陣地だった。加えて兵力では、平家は源氏の何倍も優位にある。しかし、地勢と時と心理とは、まったく平家に不利だった。義経軍の坂上からの不意打ちに算を乱して敗走する。
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Posted by ブクログ
密かに都の恋人の元へ逢いに戻った敦盛も、義経の助けでそっと平家のいる屋島へ戻り、兄経正の助けで忠度の陣に加えられる。一ノ谷では、後白河の密使により和平の議が持たれると信じた平家の油断の隙に大手の範頼が東から、搦手の義経が軍を分かちながら背後と西から挟み撃ちをかけ、平家軍は潰走する。多くの公達は討たれ、南都焼討の罪を負う重衡は生け捕られて、罪業消滅の思いで鎌倉へ送られていくが、そこで千手の前と最後の愛の日々を過ごす。
義経の思慮深さや控えめさもあるが、この巻は重衡の贖罪思想感が強かった。吉川英治の描く平家物語は、平家物語のようでもっと普遍的な人間の業や平和への重い祈りを描いていてよい。