あらすじ
北関東の紅雲町(こううんちょう)で、コーヒー豆と和食器の店を営む大正生まれのお草(そう)さん。彼女は、常連たちとの会話から街で起こっている小さな事件に気付き、ひとり捜索に精を出す。ある日、とあるマンションの一室で虐待が行われていると気づいたお草さん。ひとり捜索まがいのことを始めるが…。悩む人たちの心に彼女の言葉は届くのか? 行動するお婆ちゃん探偵・お草さんを主人公に「老い」と「家族」を正面に据えて描く、期待の新鋭のミステリ短篇。
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Posted by ブクログ
HKさんのお勧め。
おばあさんの話だが、
枯れきっている訳でもなく、
綺麗ごとだけでもなく、淡々として良い感じ。
一人暮らしで、
好きな器とコーヒーの店をやっていて理想的な老後なのかも、と思っていたが、
旧友の由紀乃が遠くに行ってしまった。
次作が気になる。
Posted by ブクログ
紅雲町珈琲屋こよみシリーズ一作目。コーヒーと和食器のお店『小蔵屋』を営むおばあさん杉浦草は、常連客の会話から街で起きている小さな事件に気がつき…
シリーズを飛び飛びに読んでいるので、最初の作品を手に取ってみた。今まで読んだ作品は短編だけど、全体で一つの流れにはなっていた。これは本当に短編集でビックリした。お草さんの行動力の原点はこれなのか…って納得。1話目の『紅雲町のお草』の展開にはビックリした。
Posted by ブクログ
コーヒーと和食器の店「小蔵屋」という店を営む杉浦草というおばあちゃんが主人公の「日常の謎」系のミステリ。離婚をして,親権を離婚相手に取られ,その子が死んでしまったという悲しい過去を背負う上に,親友のおばあちゃんである由紀乃さんの痴呆が悪化し,会えなくなっていくなど,根底となっている設定が切ない。人間の悪意などが描かれていて,忘れられない印象が残る作品は好みなのだが,この作品はそういう意味での読後感の悪さとは異なる寂しさがある。読み終わったあとに,年を取るって大変なことだな…と思わせる寂しさがある作品。個々の短篇のミステリとしてのできも悪くない。好みの作風でないという点が最大の減点材料か。★3で。
○ 紅雲町のお草
妻の連れ子に虐待をする父の話。杉浦草が,泥棒と協力して子どもを救い出す。
○ クワバラ、クワバラ
小さい頃から杉浦草にいじわるしていた秀子についての話。小蔵屋を建てるときにも意地悪をした秀子が家出をする話。ミステリというよりは,ちょっとした小話
○ 0と1の間
杉浦草にパソコンを教えていた白石という青年が妹にひどい目に合わされる話。妹が彼女と誤解され,白石が女に騙されていると思わせ,真相は妹だったというオチ
○ 悪い男
大竹という男がピアニストを目指していた小枝子という女性をかばった話
○ 萩を揺らす雨
杉浦草が古くからの知り合いである政治家「大谷」の愛人との問題で,大谷と愛人の子どものトラブルに手を貸す話