内藤正典のレビュー一覧
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読後の感想は少し変わったのだが、全体的な感想を述べれば正直、ガッカリだった。前著の「イスラムの怒り」を興味深く読ませていただいただけに、その期待を大きく裏切られた気分が残った。
問題点はいくつも指摘できるが、根本的な部分ではやはり「タイトルや章が不適切である」点と「論拠、準拠が明示されていない」点だろう。特に後者は致命的であり、その点についてここでは説明しておく。
この本の中では繰り返し「我々はイスラムに対して無知・無関心でありすぎた」と指摘されている。我々とあるが、まあ実際は「日本人は」と入れ替えて構わないだろう。専門家による世間批判である。
にもかかわらず、ここで論じられた内容につ -
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イスラムとの多文化共生を真摯に考えてきた内藤氏が今般の危機について熱く語る。
イスラムは寛容の宗教。商人の教えとして始まった穏健なもの。そういう趣旨の著者の本はいくつか読んできて,なるほどなと感じてもいた。しかし本書は話題が話題だけに反欧米が明瞭に表れすぎていて,記述にもだいぶ無理がある。そんな印象を受けた。
著者の主張は要するに,イスラム国のような過激な組織を作り出したのは,20世紀の帝国主義列強の横暴と,イスラエルによるパレスチナでの殺戮,冷戦後の欧米諸国によるイスラム敵視,911後のアメリカを中心としたアフガニスタンやイラクでの殺戮,信仰を徹底しない欧米追従アラブ諸国による国民弾圧であっ -
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チュニジアから端を発した「アラブの春」についてや、現在のシリア情勢・パレスチナ情勢について書かれた新書を探してこの本に辿り着いたのだが、9.11から今に至るまでのアラブについて、ある程度網羅的に知ることができたのは収穫。
ただ、ちょっと俺には難しすぎたかなと。イスラム教の歴史がきめ細かく書かれてる章とか、俺には重すぎた。読者の想定を「ある程度イスラム教について知っている人」を前提に書かれている気がした。入門書という位置付けではないように思う。あと、自分自身が本を出版した直後だったので、編集の視点で「ここ2回同じ事言ってるけど」とか、「この章、結論が曖昧すぎる」とかいう感想をもっちゃうのは職業病 -
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トルコ人は人なつこく、自尊心が高く、日本人に友好的。イスラム的な家族観があり、家族の絆が強く個人主義的な部分は弱い。弱者は放っておかない社会的な雰囲気がある。
ギリシャを退けオスマン帝国に変わって建国されたトルコはヨーロッパ的な世俗国家を目指していたが、奔放な恋愛・性交渉、厳格な個人主義などの文化にはなじめず、近年ではイスラム主義が隆盛し支持を集めている。しかし世俗国家としての原則は微妙なバランスの上に守られている。
まるごと一冊で概ねトルコの初歩的なことを理解できると思う。Wikipediaなどでは難しい、情報の横の繋がりが理解の助けになっている。 -
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イスラム地域研究者が,イスラムの教えをポジティブに解説。イスラム圏では自殺が少ないらしい。どの宗教も自殺は基本的に禁忌だが,イスラムは特にすべてを神に委ねる考え方なので,自殺は神の否定につながる。
ではなぜ自爆テロ?という話だが,それは著者の『イスラムの怒り』に詳しい。信仰の敵とのジハードで命を落とす殉教は,イスラムでは価値ある行為とされているから。ただ911なんかを殉教で正当化するのはかなり無理で,現実にイスラム共同体の存続が脅かされている場合に限られるらしい。
悲しいことにパレスチナ,特にガザの状況は絶望的。自爆テロを殉教とみなしてしまうくらいに悲惨。だからこそハマスが支持を得た。し -
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ネタバレこの本を何故読んだか?
それは
ジネディーヌ・ジダン(サッカー選手)が
ドイツワールドカップの決勝で
何で相手選手に頭突きをして
退場になったか?
普通は試合中に頭突きをしません。
しかも大舞台のの決勝で!
そこには何かがある!
でもジダンは多くを語らなかったし、
理解できませんでした。
だから、そのままになっていました。
その疑問を解決してくれたからです
彼が頭突きをした理由は
彼がイスラム教徒(ムスリム)で
あった事にあったようです。
彼は純粋なフランス人ではありません。
アルジェリアからの移民です。
彼が移民であった事は
知っていましたが、
イスラム教徒であった事は
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Posted by ブクログ
【キーワード】イスラム、ムスリム、政治、宗教、中東
「ジダンがなぜ06年ワールドカップ決勝で頭突きをしたのか?」という目を引くフレーズで買ってしまいました。
なぜムスリムはテロを起こすのか、イスラム原理主義とはなんなのか、イスラム女性は差別されているのか、ムスリムの怒りに触れるものはなんなのか。以前からモヤモヤしていた疑問を一気に解決してくれます。
本書を読んでイスラム教やそれを信仰する人のイメージがすごく変わりました。イスラム教はとても合理的で人を許す宗教なんだなと。
欧米が数百年も前からイスラム圏の人たちにしてきた悪行もここに描かれています。知らないこともたくさんありました。911