内藤正典のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イスラム教から見た世界とイスラム教に縛られた人々の思考が初心者でも分かり易い本。
著者の本はどれも読み進めやすいのでお奨めです。
しかしながらクルアーンに則ったムスリムの行動を、信教の自由の名の下に一定以上認めるのか、その国の法規を厳密に適用するかで彼らが反社会的か否か、決まってきます。
イスラーム国家ではない法治国家へ自らの意思で移住してきたムスリムの方々の中には、信教の自由による行為が常にその自由が保障されるというものではないことを理解せず世界各地で軋轢を起こす人々がいます。
調和できない理由の一端は本書を読むと理解でき、これはまた本書が優れていることを表していると思います。 -
Posted by ブクログ
一般的な日本人であれば、どうしても西欧からの視点で、世界の物事を見てしまうが、この本は、イスラームからの視点で現状の国際状況をみるとどうなるか、非常に分かりやすく、かつ説得力のある内容で解説してくれる本。ナインイレブンのこともあり、どうしてもイスラム教徒を偏見視してしまいがちですが、彼らも我々と同じノーマルな人だということが、よくわかりました。
著者自身、トルコ語を話すということもあり、アフガニスタンのカルザイ大統領含め、イスラム圏の有力者たちの直接インタビューの経験が豊富で、彼らから見たアラブの春、シリア内戦、アフガン問題やトルコ人によるアルメニア人大量虐殺事件、ムスリムのヨーロッパ移民たち -
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Posted by ブクログ
トルコの歴史から現代社会、文化までこの一冊で網羅している。
僕が特に興味深く感じたのは「スカーフ論争」。イスラムの女性はスカーフで肌を隠すというイメージがあるが、トルコは世俗主義(政教分離)を強く推し進めた歴史があるため、「スカーフ」は宗教の象徴として公の場(大学など)では禁止されていた。「スカーフ」はイスラムの象徴であり、「イスラム主義」を政治の持ち込むという意思表示であるとみなされる場合もあるからだ。
2012年7月にトルコを訪れたとき、多くの女性がスカーフを身に着けていたが、スカーフをめぐってそのような論争が繰り広げられていたとはそらなかった。大変勉強になった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイムリーにもエジプトの革命は引用の理由も一理あるように思える。
日本人は何かを「してもらう」のを「恥」に感じる文化があるということをベネディクトは指摘していたが、キリスト教でもイスラム教でも、貧しい者が富める者に「してもらう」ことは宗教によって当然視されている。また、お客様が家の者に「してもらう」ことも当然で、そこに返礼などは発生しないという。
イスラムの自殺率は大変低いという話も書かれていた。自殺が宗教で禁止されているということもあるが、困っている時でも誰かに「してもらえるかも」と思うことで、追い詰められる機会も少なくなるのではないか。ちょうどリストカットの本を読んだ後だったので、双方 -
Posted by ブクログ
ネタバレフランスでイスラム女性のスカーフが禁止されたニュース。日本では女性差別に関連付けて報道されていたが、これはフランスの政教分離の結果とのことを初めて知った。フランスでは行き過ぎた宗教傾倒の歴史を見直し、公共機関では宗教を連想させるものを持ちこまないことがルールとなっているとのこと。だから、十字架を学校に持ち込むのももちろん禁止。
一方、イスラム女性にとってスカーフを取ることはとっても恥ずかしいことだという。いつもズホンの女性にミニスカートをはけ、と言っているようなものか。
それぞれの文化があり、それぞれの思想がある。私たちはどうしても欧米よりの視点で見てしまうが(報道もそのような視点でされて