内藤正典のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ一般向けに書かれたイスラム文化書では、内藤先生の解説がとてもわかりやすいと思う。
一番わかりやすい本は『となりのイスラム』だが、本書も難しい内容ではない。
なるほどとうなった部分を挙げる。
<人頭税について>
テロ組織が異教徒を人質にして身代金を要求することは、人頭税の一種ということ。
欧米はテロ資金の源になると批判するが、イスラムにはイスラムの考え方があり、相手の文化を知らなければ、相互理解(=平和)には結びつかない。
地獄の沙汰も金次第という言葉が頭をよぎった。
<人材不足>
中東のエキスパートが不足しているということ。
そもそも中東に興味を持つ人が今後増えるのかどうか怪しい。
ニュー -
Posted by ブクログ
中東崩壊の危機のなかで唯一、民主化と経済発展に成功した国。しかもそれを「再イスラム化」によって実現した国として、トルコの重要性を説く。
トルコ人の大部分はスンニー派のムスリムである。しかし、トルコ共和国建国の父であるムスタファ・ケマルの意志・遺志により、トルコはイスラムを徹底して公の場面から切り離そうとしてきた。本書は第一章・第二章で、トルコの建国から近代化と脱イスラムの歴史を説き起こし、つづいて「再イスラム化」の過程を描いていく。ここらへんの流れはたいへんわかりやすい。
第三章はヒズメト運動、第四章はトルコと欧米諸国との関係、第五章はトルコと周辺(の中東)諸国との関係を解説。アメリカの -
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イスラム地域研究の専門家が、イスラム国の台頭に至る中東地域の混迷について、歴史、宗教、政治権力、世界のパワーバランス等様々な角度から分析、解説し、今後の日本の取るべきスタンスを提言している。
本書で著者は、
◆1979年のイラン・イスラム革命以降の米国の中東政策は失敗の連続であり、その原因は、イスラムに関する無知、先入観、偏見に根差した「イスラム・フォビア(イスラム嫌悪)」にある。
◆ムスリムには、同じ唯一絶対神から啓示を受けた「啓典の民」であるキリスト教徒やユダヤ教徒に対する憎しみはなく、彼らの敵意は、歴史的に自分たちを力で支配してきた英仏などの欧州列強諸国、シオニズムに基づく領域民族国家イ -
Posted by ブクログ
イスラム教から見た世界とイスラム教に縛られた人々の思考が初心者でも分かり易い本。
著者の本はどれも読み進めやすいのでお奨めです。
しかしながらクルアーンに則ったムスリムの行動を、信教の自由の名の下に一定以上認めるのか、その国の法規を厳密に適用するかで彼らが反社会的か否か、決まってきます。
イスラーム国家ではない法治国家へ自らの意思で移住してきたムスリムの方々の中には、信教の自由による行為が常にその自由が保障されるというものではないことを理解せず世界各地で軋轢を起こす人々がいます。
調和できない理由の一端は本書を読むと理解でき、これはまた本書が優れていることを表していると思います。 -
Posted by ブクログ
一般的な日本人であれば、どうしても西欧からの視点で、世界の物事を見てしまうが、この本は、イスラームからの視点で現状の国際状況をみるとどうなるか、非常に分かりやすく、かつ説得力のある内容で解説してくれる本。ナインイレブンのこともあり、どうしてもイスラム教徒を偏見視してしまいがちですが、彼らも我々と同じノーマルな人だということが、よくわかりました。
著者自身、トルコ語を話すということもあり、アフガニスタンのカルザイ大統領含め、イスラム圏の有力者たちの直接インタビューの経験が豊富で、彼らから見たアラブの春、シリア内戦、アフガン問題やトルコ人によるアルメニア人大量虐殺事件、ムスリムのヨーロッパ移民たち -
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Posted by ブクログ
トルコの歴史から現代社会、文化までこの一冊で網羅している。
僕が特に興味深く感じたのは「スカーフ論争」。イスラムの女性はスカーフで肌を隠すというイメージがあるが、トルコは世俗主義(政教分離)を強く推し進めた歴史があるため、「スカーフ」は宗教の象徴として公の場(大学など)では禁止されていた。「スカーフ」はイスラムの象徴であり、「イスラム主義」を政治の持ち込むという意思表示であるとみなされる場合もあるからだ。
2012年7月にトルコを訪れたとき、多くの女性がスカーフを身に着けていたが、スカーフをめぐってそのような論争が繰り広げられていたとはそらなかった。大変勉強になった。