内藤正典のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
トルコの歴史から現代社会、文化までこの一冊で網羅している。
僕が特に興味深く感じたのは「スカーフ論争」。イスラムの女性はスカーフで肌を隠すというイメージがあるが、トルコは世俗主義(政教分離)を強く推し進めた歴史があるため、「スカーフ」は宗教の象徴として公の場(大学など)では禁止されていた。「スカーフ」はイスラムの象徴であり、「イスラム主義」を政治の持ち込むという意思表示であるとみなされる場合もあるからだ。
2012年7月にトルコを訪れたとき、多くの女性がスカーフを身に着けていたが、スカーフをめぐってそのような論争が繰り広げられていたとはそらなかった。大変勉強になった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイムリーにもエジプトの革命は引用の理由も一理あるように思える。
日本人は何かを「してもらう」のを「恥」に感じる文化があるということをベネディクトは指摘していたが、キリスト教でもイスラム教でも、貧しい者が富める者に「してもらう」ことは宗教によって当然視されている。また、お客様が家の者に「してもらう」ことも当然で、そこに返礼などは発生しないという。
イスラムの自殺率は大変低いという話も書かれていた。自殺が宗教で禁止されているということもあるが、困っている時でも誰かに「してもらえるかも」と思うことで、追い詰められる機会も少なくなるのではないか。ちょうどリストカットの本を読んだ後だったので、双方の本から考えさせられることがあった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレフランスでイスラム女性のスカーフが禁止されたニュース。日本では女性差別に関連付けて報道されていたが、これはフランスの政教分離の結果とのことを初めて知った。フランスでは行き過ぎた宗教傾倒の歴史を見直し、公共機関では宗教を連想させるものを持ちこまないことがルールとなっているとのこと。だから、十字架を学校に持ち込むのももちろん禁止。
一方、イスラム女性にとってスカーフを取ることはとっても恥ずかしいことだという。いつもズホンの女性にミニスカートをはけ、と言っているようなものか。
それぞれの文化があり、それぞれの思想がある。私たちはどうしても欧米よりの視点で見てしまうが(報道もそのような視点でされている場合が多い)、常に多面的に物事を見る必要があると思った。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
06年サッカー・ワールドカップ決勝戦で、ジダンは何に激怒してマテラッツィに頭突きをしたのか。
この問いかけから、イスラム教徒(ムスリム)は、何に怒っているのか、そして我々のイスラム理解はいかに間違っているか、なぜ西欧はイスラムを執拗に嫌うのか、をわかりやすく解きほぐす。
ムスリムに対してしてはいけないこと、そしてそれはなぜいけないか、なども豊富な実例つきで解説。
異文化交流への道を探る。
[ 目次 ]
序章 ジダンは何に激怒したのか
第1章 「テロとの戦い」の失敗
第2章 隣人としてのムスリム
第3章 西欧は、なぜイスラムを嫌うのか
第4章 すれ違いの相互理解
終章 ムスリムは何に怒るのか
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
自分たちの持っているイスラムへのイメージが偏っているものであることを感じることができる本だ。
トルコに行くとき、関西空港の中の本屋で買い、行きで読み切ってしまった。
私にとっては、ぼんやり見聞きしている話の真相を、この本で理解するようなエピソードも多くあった。
作者の名前に見覚えがあり、手にとった一冊だったが、読んでよかったと思う。いろんな人に読んでほしいなと思った。特にトルコに住んでいる友人たちに読んでほしいと思った。この本に書いてあることがすべてトルコで当てはまるというのではないけれど、知っておきたいような話もたくさん載っていたように思う。 -
Posted by ブクログ
【目次】
はじめに
第1章 イスラムと政教分離のはざま
イスラムの国ではないトルコ
ケマル・アタテュルクの決断
イスラム主義の台頭
イスラム政党はどうやって民衆の心をつかんだのか
スカーフ着用の自由を!
イスラムと女性の自由
民主化のジレンマ
第2章 だれも正義の味方になれない民族の問題
トルコ人であること
憎しみは憎しみをよんで
報道される民族問題のかげに
ヨーロッパが残した傷痕
正義をふりかざす前に
第3章 素顔のトルコの人たち
子どもはたからもの
赤ん坊にとっての日本とトルコ
日本人への熱いまなざし
ヨーロッパ人のおしつけがましさ
悲劇が紡いだ日本との関係
バイラムおめでとう!
羊がやってきた
山盛りの肉がやってきた
第4章 激動する世界のなかで
トルコ人労働者の30年
家族とともに暮らすこと
統合か同化か
私はだれなの?
居場所を求めて
東西統一がもたらしたもの
日本のものさしを見直してみよう
日本の外国人労働者問題
第5章 トルコのものさしが示す世界の姿
ある希望への旅路の物語
フランスへ密航する
フランスでみつけたもの
新国際秩序のなかのイスラム
秩序をつくることより人間を知ること
おわりに -
Posted by ブクログ
イスラム戦争 中東崩壊と欧米の敗北
著:内藤 正典
集英社新書
中東におけるイスラム教徒の紛争とはいくつか軸があるように思えます。
本書は残念ながら総花的うまく軸を捉えて切れていないように感じました。
基本:イスラム教とは何か
軸1:アフガニスタンのタリバンから、イスラム国、ボコハラムに至る過激派の系譜
軸2:シーア派とスンニ派との対立
軸3:パレスチナをめぐる、イスラエルとアラブ諸国との闘い
軸4:トルコの対ロシア戦略
軸5:クルド人の情勢
軸6:湾岸諸国の産油国の動向
軸7:親米イスラム諸国の動向
・イスラムを創始したムハマンド自身商人でしたので、その教えには、都市に暮らす商人の宗教としての性格が色濃く映し出されています
・イスラムとその信徒をターゲットにしているわけではない、と欧米はうそぶきつつ、テロとは無関係のしみんを犠牲にしてきました。
・CIAが凄惨な拷問を繰り返してきたという事実まで明らかにされるなど、そうしたことの積み重ねの結果、解決の糸口すらないような状況を作りだしました
・トルコは、シリアからの100万をこえる難民を受け入れました。難民の大半はイスラム国の攻撃によって逃れたわけではありません。
・それ以前に、シリアのアサド政権によって迫害され、アサド政権軍と戦う自由シリア軍(FSA)や、ヌスラ戦線というアルカイダ系のイスラム主義の武装組織などが入り乱れて衝突するために、住んでいられなくなって、トルコ側に逃れたのです。
・2014年7月、日本は憲政史上大きな転換を迎えました。安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したからです。
・パキスタンの軍統合情報部が協力して、アフガニスタンの反抗勢力やイスラム神学校の若者をムジャーヒディーンとして育てました。
・パキスタン軍は、隣国のアフガニスタンに親パキスタンの勢力を育てたかったのです
・ムジャーヒディーンとはジハードの戦死のことです
・抵抗勢力がムジャーヒディーンを名乗ったのは、ソ連軍という共産主義者の無神論者と戦うことで自分たちの信仰、すなわちイスラムを守ろうという意識が底流にあったからです。
・ソ連軍撤退後のアフガニスタンの秩序を回復しようと勢力を増したのが、タリバンです。
・豪族をバックにもたない学生集団から出発したタリバンは、部族集団の支配を崩しました。
・タリバンは、1996年にイスラムによる統治を掲げるアフガニスタン・イスラム首長国を誕生させたのです
・最終的にフセインは処刑されますが、アルカイダと無関係だったことが判明します。
・そして、フセインがいなくなったイラクは、政治的利権をめぐって、シーア派、スンナ派が争い、国が事実上分裂してしまいます。
・現在、世界中には、15億から16億のムスリムがいます
・新疆ウイグル自治区から西へトルコまで、基本的にイスラム圏です。こうしたイスラム世界の規模を日本人は理解できていません。
・中東におけるアメリカの最大の同盟国はどこでしょうか。イスラエルではありません。答えはトルコです
・トルコは強大な軍事力を有し、NATOの加盟国でもあります。もともと対ソ連の橋頭保でした。
・ムスリムに原理主義といっても何のことは理解できません。なぜなら、イスラム原理主義とはアメリガ作った造語だからです
・1991年に湾岸戦争が起きると、サウジアラビアなどペルシャ湾岸の諸国がアメリカ軍の保護をうけるようになります。
・つまり石油を守るため、アメリカ軍の駐留を認めたわけです。
・現在、読み書きができない成人の人口は世界で7億7400万と推定されていますが、そのうち、女性は3分の2を占めると指摘されています 等
目次
はじめに 日本は決してこの戦争に参加してはならない
序章 中東で起きていること
第1章 一六億人のムスリムを味方にするか、敵に回すか
第2章 まちがいだらけのイスラム報道
第3章 イスラム世界の堕落とイスラム国の衝撃
第4章 日本人にとってのイスラム
おわりに 戦争は人の心の中で生まれる
あとがき
ISBN:9784087207705
出版社:集英社
判型:新書
ページ数:256ページ
定価:760円(本体)
発売日:2015年01月21日第1刷
発売日:2015年02月18日第4刷 -
Posted by ブクログ
個人的には殆ど知識や実体験の無いイスラムに関する一冊。宗教にもさほどの興味・関心は無かったのだが、昨今の世界中で起きている、異なる価値観の間の「分断」や「衝突」を見るにつけ、これからの世界はやはり宗教や民族、イデオロギーの対立を読み解いていかなくてはならないのか、と危惧する中、手に取って読んでみた。
一読しただけでは深く分かったとは思えないが、そもそも歴史的に「陸続き」の中で複数の民族、文化、イデオロギーを包含して発展して来たヨーロッパの国々が、イスラム(教、信徒、文化等)とどのように接し、共存・共生を図って来たのかについて一通りおさらいさせてもらえた気はする。
いや~、しかし、深い。
自分自身にとって、イスラム信徒が有するものに匹敵する「自分の軸となる価値観」とは何なのか?自分自身はイスラムをどう捉えるのか?イスラム信徒とは友達になれるのか?等々、考えさせられる宿題ばかりが残った。アタマがイタイ。 -
Posted by ブクログ
日本は難民を受け入れていない。
日本は豊かになったため、他の国に働きに行く人が少なかった。
ずっと住み続ける場合は移民、短期は外国人労働者、移民は家族と暮らす場合が多い。
医療は外国人労働者も受けられるか
医療はドイツのほうが安いのでトルコ人は帰らない。
移民の家族の問題。政治参加の問題。
ドイツでは、30年以上たって、ようやく帰らないことを納得した。
難民は命の危険から国境を超える人
難民条約で、強制送還してはいけない。
サウジアラビアやUAEは、石油のおかげで労働力を外国人に依存した。人間扱いしなかったため、難民は行きたがらない。
中東、アフリカの人は人権侵害に敏感。
難民は、いつかは国に帰るのが原則。
ドイツは日本と似ている。
ドイツは厳しい学歴社会。
ドイツ人がいなくなる地区がでてきた。
ルールは外国人もすぐに覚える。
扱いと犯罪などの治安の悪化は、同じ。
日本の帰化申請はかなりの確率で認められている。
ドイツは、総人口の11%が外国人。12%が移民の出。20%以上が外国に関係がある人。
ドイツ人は花を植える、トルコ人は豆や野菜を植える。
日曜日はドイツ人には安息日。洗濯をしない。
ドイツには法律で住まいの面積が決められている。トルコ人は友人を招くので、それに違反する。
イスラム教徒は、水泳は男女別が当たり前。
ドイツに限らず、イスラムに対するヘイトスピーチが増加している。
ドイツでは、エイズ対策のため、ティーエイジャーが集まるところにはコンドームの自販機がある。イスラム教徒にはそれは受け入れられない。
オランダは、異文化への寛容が強かったが、同時テロ以来、反イスラム反移民の国になった。
ヨーロッパは国境検問がない。