内藤正典のレビュー一覧
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内藤正典氏(1956年~)は、中東の国際関係を専門とする地理学者・国際政治学者。
本書は、著者曰く「私が専門とする中東とヨーロッパ、イスラーム地域を切り口に現代の「限界」を浮き彫りにしようとする試み」であり、80年代前半にシリア、90年代前半にトルコに留学した経験を活かし、「シリアとトルコとヨーロッパ諸国で起きてきた地殻変動をつないで、世界的な規模での危機の構造を描こうとした」ものである。
本書では、書名に表された、今や「限界」にあるものとして、「EUの限界と(進んでいるヨーロッパが遅れている他世界を見下した)啓蒙の限界」、「国民国家の限界」、「国連の限界」を示している。
しかし、読み終えてみ -
Posted by ブクログ
ムスリムの文化について述べられていることで驚いた点は以下である。
今後のムスリムとの付き合い方に生かせそうだ。
・お店でムスリムがお茶を出してきたら、買い物をしてお返しをすると、ムスリムは悲しく思う
・ひとりでいることは悪いこと
・何でも分け与える文化
外相と急遽面会できたというエピソードには胸が温かくなった。
日本人は人生に安らぎを見出せず、生き物やキャラクターに癒しを求めるという作者の指摘に、とてつもない衝撃を受けた。
私には愛猫がいるが、心の支えになっている。
愛猫=宗教のようなもの、というわけではないが、特定の宗教を信じている人々はこんな気持ちなのだろうか・・・ -
Posted by ブクログ
ネタバレこわい題名だ・・・と思いながら早朝のファミレスで頁を捲りはじめた。
作者の著書は本当に面白く、最近内藤先生の本ばかり読んでいる。
ジダンの引退報道については、当時のおぼろげな記憶しかないが、ムスリムであることが原因になっているとは全く思いもしなかった。
今までの人生ではムスリムと出会ったことはないが、これから先出会う可能性がないとは言い切れない。
本書でムスリムとの付き合い方を知ることができて良かった。
私の夫にも、ムスリムと知り合った場合やその奥さんには何をしてはいけないのかを話した。
(文化的なものに興味のない夫もずいぶん面白そうに聞いていたのが良かった。)
本棚に置いておきたい一冊である -
Posted by ブクログ
この1年、内藤先生のツイッターを通じて、中東、イスラム世界のことを知ろうとしてきた。
学生時代からずっと、中東問題について、もっと知りたいと思っていたのだが、イランとイラク、スンニ派たシーア派が、どっちがどっちかすぐわからなくなるくらいの全くいい加減なものだった。1年前(多分、日本人人質殺害事件をきっかけに)内藤先生と(勝手に、一方的に)出会い、この先生を通して学ぼうとおもった。
情けないことに本を読むのは初めてだった。
「生」内藤先生を拝見する機会を控え、大あわてで読んだ。大変わかりやすく書かれていて、もっと早く読むべきであった。
私のような、中東問題、イスラム社会について知りたい気持ちは -
Posted by ブクログ
ムスリムについて分かりやすく書いてある。
イスラム原理主義というのは西欧のキリスト教側からつけたもの。
ムスリムにとっては何のことやらわからないもの。
ムスリムは寛容である。
第一自殺は罪。
他人にイスラムを信仰せよと強要することはない。
すべては神の思し召し、という考えはある意味日本の「おてんとうさまに聞いてみな」、という感じで理解できる気がする。
因果という考えがないことは時に問題でもあるようだ。
(本書では乱暴な自動車運転、事故を挙げている。)
原因がわかったからといって解決しない問題は多い。
そういうときにムスリムの考え方は解決の方法のヒントをくれるのではないだろうか。
原