あらすじ
IS、シリア、イラク、難民問題…混乱を解決できるのは、中東唯一の民主国家トルコしかない! 混迷を極める中東情勢。その中で唯一民主主義を実現した国、トルコ。トルコを知ることで中東の未来が見えてくる。著者は中東政治研究、イスラム系移民研究の第一人者。「トルコという国は、文字通り、ヨーロッパとイスラム世界の接点に位置しているために、一連の激震から逃れることはできなかった。東からはイラク戦争の余波でクルド問題が再燃し、南からはシリア難民が押し寄せた。アメリカを含めて西からは、テロとの戦争に参加しろ、「イスラム国」に厳しく対処しろと厳しい圧力がかかった。そのさなかに民主化を進め、同盟国の圧力をかわしながら戦争に巻き込まれないために最大限の努力をし、世界の虐げられたムスリムに向けて希望のメッセージを発し続けている。それが二一世紀に入って以降のトルコである。」(本文より)
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Posted by ブクログ
トルコの地理的、政治的立ち位置の面白さに魅了された!日本もトルコみたいに外交能力があって、大国にも臆せず自国の主張を貫ける有能な人物がトップにいたらなあ…と羨ましくなったよ。というかそういう人が首相になるべきだよね。あんなんじゃなくてさ。中東についてもっと勉強しよう。
Posted by ブクログ
現代国際情勢におけるトルコの役割とその存在価値について、解説した著作。2015年出版なので情報は古いが、東西の橋渡しにして西側から見たイスラーム圏の窓口、そしてNATO加盟国という、トルコならではの独自のポジショニングが興味深い。
Posted by ブクログ
中東崩壊の危機のなかで唯一、民主化と経済発展に成功した国。しかもそれを「再イスラム化」によって実現した国として、トルコの重要性を説く。
トルコ人の大部分はスンニー派のムスリムである。しかし、トルコ共和国建国の父であるムスタファ・ケマルの意志・遺志により、トルコはイスラムを徹底して公の場面から切り離そうとしてきた。本書は第一章・第二章で、トルコの建国から近代化と脱イスラムの歴史を説き起こし、つづいて「再イスラム化」の過程を描いていく。ここらへんの流れはたいへんわかりやすい。
第三章はヒズメト運動、第四章はトルコと欧米諸国との関係、第五章はトルコと周辺(の中東)諸国との関係を解説。アメリカのまずい戦略、日本政府のまずい交渉などもやり玉に挙がる。
ヨーロッパとイスラム世界の接点に位置する大国として、ムスリムと非ムスリムの掛橋として、筆者のトルコへの期待が伝わってくる。