井辻朱美のレビュー一覧

  • たけくらべ 現代語訳・樋口一葉

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    ジャケ買い。樋口一葉読みたかった。
    訳本だから、どこまで原作のニュアンスが生きているか分からないけど、どの作品も良かった。
    以下、ネタバレ含む。




    「たけくらべ」
    とりあえず文学史で覚えるとしたら、これ。
    あと『ガラスの仮面』でストーリー覚えた。
    美登利という女の子の、正太に対する気持ちと、信如に対する気持ちが、うまく書き分けられていて、どこか“持てる者”としての傲慢が似合う。
    エンディングに花を持ってくる、映像的な清々しさというか、寂しさも良かった。

    「やみ夜」
    うらぶれた屋敷の主、お蘭が、いつの時点から直次郎を使おうと思っていたかで、印象が変わる。
    何をテーマにして良いか難しい作品だけど、不幸であって当然と感じている直次郎が、お蘭のために命をかけ、でも仕損じる所に意味があるような気がする。

    他、「うもれ木」「わかれ道」。

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    2022年05月04日
  • アーサー王ここに眠る

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    ・フィリップ・リーヴ 「アーサー王ここに眠る」(創元推理文庫)は新たなるアーサー王の物語である。時と場 所は500年頃のブリテン島南西部、「お互いが小競り合いをくりかえして(中略)丘陵地帯の小さな王に仕えてい」(28頁)たり、「大王に仕えているものもある。または自分らの長にしか忠誠を誓わず、土地を持たない小さい集団もあって、そいつらはど こでも略奪し、土地を荒らす。」(同前)そんな時代のアーサー王の物語である。これを語るのは吟遊詩人のミルディン、聞き手は主人公の少女グウィナである。ミルディンに言はせれば「アーサーの一団もそんなやつらだ。」(同前)といふわけで、アーサー王がアー サー王伝説の王となる前の物語である。ミルディンは例の魔法使ひマーリンに当たるらしき人物である。
    ・アーサー王には聖剣がある。それをいかにして手に入れたか。ミルディンの指示によつて水に入つたグウィナは、「剣をくるん でいる油布を引き裂くと(中略)空いた手で剣をさしあげた。剣が水面を割って宙に出るのがわかった。(中略)剣はあまりにも重い。 (中略)なぜ、取ってくれないの。(原文改行)男は取った。」(39頁)アーサーは聖剣を手に入れたのである。その名をカリバー ンといふ。ミルディンは、「こっちの仲間もアイルランド人の家来どもも口にしてる。湖の底に住む妖精の貴婦人が、アーサーに魔法 の剣をさずけたとか……」(42頁)かくしてミルデインの「神神は別世界からこの剣をアーサーにさずけることで、かつてアル トリアスを愛していたように、アーサーを愛しているあかしとするわけだ」(32頁)といふ計画がうまくいき、アーサー王は伝説を歩き始める。以下の物語でも同様のことが行はれるらしいが、別に行はれなくともかまはない。ミルデインの竪琴と歌によつてアー サーは伝説となつていくのである。訳者井辻朱美はこの物語を端的に、「吟遊詩人ミルディンという男が、アーサーという小族長の人生を、 夢と魔法にまぶしてゆく過程を描いたものです。」(「訳者あとがき」343頁)と書く。さう、正にかういふ物語である。アー サーの死の場面、伝説のカムランの戦ひである。モルドレッド卿は出てこない。アーサーの甥のメドロートとの戦ひである。その最期はアーサーとグウィナ、といつてもミルディンにまちがへられてゐるのだが、の2人だけである。ここで例の剣をグウィナは水に返 した。「わたしはずっと後悔している。」(326頁)といふのがグウィンの偽らざる気持ち、なぜなら「この剣に使われた黄金があれ ば、一年は暮らせた。」(同前)本当はかういふ調子なのである。「夢と魔法」を取り払へば何が残るか。現実であらう。小族長の現 実、吟遊詩人の現実、いろいろあつても現実は現実である。現実は現実でしかない。「死の瞬間が終わったとき、その指輪とベルトと長靴と、首にかけていた古い黄金の十字架を外したのは、このわたしの手だ。わたしはそれをもらうだけの働きをした」(328 頁) といふのである。アーサーは彼女によつて葬られ、以後、彼女によつてアーサーは語られてゆく。「アーサー殿の名が物語にしかすぎ ない土地へ馬を進めていった。」(331頁)「手品と物語ばかりかな」(同前)、彼女の言葉はこの物語をよく表してゐる。「小族 長の人生を、夢と魔法にまぶしてゆく」のである。神話、伝説にはその物語の核とになる何らかの出来事がある。この物語はその核とその成長過程を描いたものである。個人的にはこの野卑で荒々しいアーサーより語り手グウィナの方が魅力的であつた。訳者曰く、「本書は素敵な少女小説の一面」を持つ。納得である。

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    2021年10月03日
  • ディッキーの幸運

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    素直で、賢くて、機転がきくディッキー少年が健気でねえ…。なのでモグラたちから認められた時には、にまにまでした。どうしても2人よりも贔屓目にみてしまうのは仕方ないでしょう。
    前作の時のような、超えてる感覚は少なくて残念です。
    あとはビールおじさんとのやりとりに、いつ崩れてしまうかとはらはらでした。家具を買いそろえる際の描写が好きです。
    ダウントンアビー見ていたので、相続問題、複雑やな、と。

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    2015年01月19日
  • アーデン城の宝物

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    児童文学初のタイムトラベルものとのこと。
    年代を感じるのに、ちゃんとしたタイムトラベルで、点在する魔女や少年に驚きです。(SFには疎いので)
    挿絵で見ると、真面目でいいこぶった感じの主人公二人かな、と思いますが、読んでみるとそうでもなく。
    とゆーか青年と少女もえ!何故もっと出てこないのか。あとリチャード少年の、一族の長に借りがある、とは!?
    続編もあるらしいので、そちらでもっと出てこないか、と期待します。

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    2015年01月20日
  • ディッキーの幸運

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    『アーデン城の宝物』に登場していた
    もう一人のタイムトラベラーの
    男の子ディッキーが主人公。
    アーデン城を読んでおいた方が楽しめる。
    あちらより、つまづくところなく
    先へ先へと読まずにいられず…寝不足に。。。
    100年前のイギリスのお話。
    その頃のイギリス社会も垣間見れる。
    おもしろい。

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    2014年11月10日
  • アーデン城の宝物

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    ずいぶん昔に書かれた、タイムトラベルものの児童文学。タイムトラベルの仕方が面白い。姉弟のやりとり、宝探し、友人の謎などなど、古い城をめぐっての姉弟の奮闘ぶりから目が離せない。もう一つのアーデン本も楽しみ。

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    2014年09月19日
  • スクレイリングの樹

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    前巻に比べたら格段に面白かったー。
    ウルリック紹介パートを経て、いよいよ現実世界編という感じ。
    前三部作の設定もうまく編み込まれてた。

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    2012年12月13日
  • メルニボネの皇子

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    永遠の戦士シリーズで一番好きです。
    このシリーズは、沢山出ておりますが、ほとんどの登場人物が微妙に交差していて、さらに多重世界で形成されております。ですから、同じ名前でも同じ人とは限らない感じなので、少し混乱される方もいると思いますが、取敢えずガンガン読み進んでいけば、なんとなく判ってくると思います。判ってくるとより一層面白くなると思います。

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    2010年08月25日
  • この世の彼方の海

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    解説で詳しく説明されているが、この巻の最初に収録されてある「この世の彼方の海」はエターナルチャンピオンシリーズの設定を飲み込んでないと辛いかもしれない。
    この話は読み飛ばしても結構なので、次の<夢見る都>をどうぞ。

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    2010年06月21日
  • 無条件の愛―キリスト意識を鏡として

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    「奇跡のコース」の教師としても幅広く活躍
    されていた著者による、無条件の愛を知り、実践できる本。
    キリストの教えについてわかる本

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    2009年10月04日
  • 夢盗人の娘

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    面白かった。空想世界と現実世界が交差するだけでなく主人公二人も交差するとは!玉、剣につぐ新たな鏡の千年はこういうことかと勉強になりました。ナチスがらみで重くて一気に読めなかったけど、読み終えたらまだまだ読みたいとおもってしまいました。エルリック様、あんたやっぱりかっこいいよ、どこまでかっこいいんだ!

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    2009年10月04日
  • 夢盗人の娘

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    衝撃のラストから、どうやって話が続くのだろうと思ってしばし間が空いてしまった永遠の戦士エルリックシリーズ。なんと第二次大戦のドイツから始まります。その子孫の物語として現実世界と繋がってくるのかと思いつつ読み進めると、なにやら多元宇宙とか時空を超えて転生するとかファンタジー世界の理屈が展開されてきて腰がひけてくる。この死をも超越したなんでもありあり感が苦手なんだよな。緊迫感がうすれるよね。でもムアコックはそこで脅威の粘りを発揮し、見事にエルリックの血を引く末裔の物語につなげていく。これはこれで面白いか。でもエルリックの矛盾した内面の葛藤を描いて迫力があったこれまでの作品と違ってエンタメ色が強い。深みが薄れた。
    しかし翻訳の素晴らしさは相変わらずで、もともと日本語で書かれた作品かと思ってしまいます。これだけでも読む価値あり。

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    2025年08月29日
  • アーサー王ここに眠る

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    ネタバレ

    とある少女と詩人が協力してアーサー像を作り上げる話。彼女から見たアーサーはとても傲慢で欲深。なにかを成し遂げるなど期待は出来なそうで実際できない。
    少女もなかなか幸せになれず波瀾万丈。詩人に巻き込まれてハードな人生を歩むことになります。夢見るだけじゃなく、ちょっとくらい恋愛とかそういう時間くらいあってもと思うくらい、なかなかかわいそうでした。

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    2024年11月01日
  • たけくらべ 現代語訳・樋口一葉

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    現代語訳を読んで、ようやく「たけくらべ」の物語がわかった。翻訳してくれてありがとうございます。

    訳者のあとがきも面白いから、最後まで読んでね♥

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    2024年05月28日
  • ディッキーの幸運

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    ディッキーが、素直で可愛い。
    男の子のチャームと健気さが。
    古き良き児童文学。
    イギリスの歴史が学べるおまけ付き。
    前作も読んでみたい。

    チリチリくんという訳語が微妙…。

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    2019年12月17日
  • パリンプセスト

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    ロマン・ギャリのように繊細で心が弱くて、結果文章が混沌としてしまったような場合は、なんというか許容範囲であるような気がする。が、この作者は①コンパスなしで樹海に入山②酔い止めなしでいろは坂を車で下山、するような「あんたうっかりじゃなくて故意だな!」という、こうーなんですか、要するに「必要があって」ならいいんだが「最初からそのつもり」という混沌さに最初からひいてる。ごめん、また風邪がぶり返した。でも熱が出ると、体は痛くないな!

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    2019年09月26日
  • 夢盗人の娘

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    メルニボネのエルリックのサーガは前巻で完結しましたが、3巻続くようです。

    舞台はナチス政権化のドイツ。エルリックのこの世界での分身であるウルリック・フォン・ベック伯爵が主人公です。タイトルは「ウルリック・サーガ」でも良いかも。

    序盤以降はエルリックも出てきます。夢の中だったり、一人の身体に二つの魂が同居してたり、物理的にも別だったり。

    多元宇宙の設定がわかるような説明的なセリフが多いのも特徴です。

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    2017年08月09日
  • ストームブリンガー

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    ネタバレ

    エルリック4冊目。「メルニボネのエルリックのサーガ、ここ終わる。」ということで、世界を終わらせて死んだエルリック。昔読んだのはここまで。いつの間にかあと3冊も出版されてたのね。

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    2017年07月27日
  • 暁の女王マイシェラ

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    根暗なヒーロー、エルリックの3巻目。「暁の女王マイシェラ」と「薔薇の復讐」の2編。後者は、ジプシーの国の台車に乗って移動する村や町が舞台だが、「移動都市」っていう別のSF小説と記憶が混同していたことがわかった。

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    2017年07月24日
  • 無条件の愛―キリスト意識を鏡として

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    「無条件の愛」というダイレクトなタイトルに惹かれ、先ずは知識として無条件の愛を知りたく購入したが、僕の読み方のせいか、いまいち心に訴えかけてくるものがなかった。もう一度、時間を置いて再読しよう。

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    2015年11月20日