大島かおりのレビュー一覧
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読み始めは、なんて子供じみた話なんだろうと思っていました。
ところが灰色の男たちがモモの仲間達の時間を奪い始めてから、ページをめくる手が止まらなくなりました。灰色の男に時間を貯蓄しないかと誘われて、生活がガラリと変わっていく。余裕のないいつもイライラした生活は、まるで自分のようで読んでいてとても辛くなりました。
「時々目をあげてみるんだが、いつ見ても残りの道路はちっとも減っていない。だからもっとすごい勢いで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息が切れて動けなくなってしまう。道路はまだ残っているのにな。こういうやり方はいかんのだ。」
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わ -
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ネタバレこの本が恐ろしいのは、50年前の作品ってことと、児童文学ってこと。50年後を生きる私の生きる社会の苦さやままならなさも、モモや灰色の男や時間の花を象徴として喩えて物語にしてしまったところ。なんかもう、私なんかが語ることがない。余韻や余熱や想像が、意味を持たない。感じたこと沢山あるのに、いろんなこと重ね合わせたのに、自分の言葉にならない。なにを書いても、しっくりこない。
物語の中で、時間も、贅沢な余白も、人間の心の病も全部綺麗に隙なく描き尽くされているから、巨大な伏線を、綺麗さっぱり見事に回収して、鮮やかに着地して完結してる。物語が完璧でこれ以上、言うことがなくなるんだね。自分の言葉で置き換え -
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二巻目も骨太な内容。
20世紀における西洋の難民は生存圏を奪取された以降、法的保護の適用が希薄になるためより経済的、政治的、民族的なアイデンティティの喪失が過大となる。
国外へと追放された人種の足場のない不安定な状態をルソーの言葉で持って「自然状態」として再定義する。
強固な官僚制を保持していたドイツ、ロシアの両国において全体主義的傾向を帯びたシステムが基盤となって、現代のファシズムに繋がる。
帝国主義の分析は非常に面白い。イギリスが特に。
もはや法では囲い込むのできない難民たちの台頭は民族主義的排外主義的な思想のナチ=ドイツの組織によっても先鋭化される運びとなる。 -
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ネタバレずっと気になっていたが、読めていなかった『モモ』。
ざっくりとした内容はNHK「100分で名著」を見て知っていた。
現在、ドイツ語学習者向け『モモ』を使ってドイツ語を勉強しており、この機会に読んでみようと思い選んだ。
序盤の100ページほどを読んだ時点で、「これって本当に児童書!?」と思った。
そして『モモ』が発表されたのは1973年だと知り、さらに驚いた。
ミヒャエル・エンデを予言者のように感じてしまうほど、現代を生きる私に刺さるものがあった。
文章やストーリーは子ども向けに書かれているが、これはぜひ大人に読んでもらいたい作品だ。
時間泥棒である「灰色の男たち」は、人々から時間を奪ってい -
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内容 並外れた聞き上手のモモ。たくさんの友達と仲良く暮らしていたが、一方で、時間泥棒に時間をかすめ取られてゆく世間の人たち。そんなみんなを救うため、モモは立ち上がる。
感想 中年になっての再読。主人公のモモがほとんどしゃべらないことに、感銘を受ける。人との温かい交わりを「無駄な時間」として放棄する大人たちの姿もそうだが、「子どもの家」に集められ、既成の遊びを「将来のため」と称して遊ばされせられる子どもたちの描写に、戦慄が走る。「時間の花」という概念を、忘れずに持ちつづけたいと思う。子どもにもわかる言葉で書かれているし、子どもなりに受け止めるとは思うが、本来は大人のための寓話。 -
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梟書茶房という池袋にあるカフェで、生まれて初めてタイトルやあらすじを伏せた本を購入した本。本の紹介が数行程度書いてあり、確か誕生日の番号に振られたものだった気がする。購入記録を振り返るとゆうに6年前、、よくもまぁここまであたためたなと。笑
十数年勤めた会社にほとほと嫌気が差してしまい、退職を決意し長め休暇をとっている現在ですが、このタイミングで読む気になったのもご縁を感じる。ベッポのように、自分の中のこだわりを大事に仕事をしていたのだけど、会社の方針や求められるスピードに自分がついていけなくなってしまった。自分を嫌いになっていく感覚、まさに灰色に景色が見えるかんじ。
幼い頃、死んだ顔をして -
Posted by ブクログ
究極に生産性や効率だけを考えて動くと、倫理観や感情が失われてしまう。
灰色の男に完全に支配されないというのは現実問題難しいが、少しでも立ち止まれるように。
"無駄な時間"とされるものも、ただ時間として存在している、もともと正当なものだったことを思い出せるように。
『時間とは、生きるということ、そのものなのです。』 (106頁)
時間に追われるように感じる日々だが、時にはくだらない話をして、笑って、最期に私の人生なかなか豊かだったじゃんと思えるといいな。
小話をひとつ。
田舎生まれ田舎育ちの親戚が東京に遊びに来て、平日の電車に乗った時の感想。
「みんな無表情で楽しくなさ