大島かおりのレビュー一覧
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灰色の男たちが活動する第二部になった瞬間、第一部までの交流と空想の暖かさが急に消えて、数字と現実の冷たさを感じた。
時間を大切に。寿命は短い。少年老い易く学成り難し。意味のある人生を。一日過ごせば一日死に近づく。光陰矢の如し。時間を無駄にするな。生産性を上げよう。急げ。待たせるな。間に合わない!
……時間を大切にしようとすると、時間を大切にしてしまう。その結果、不機嫌な人ばかりになる。子供の相手もできない。時間がないから。
そして「時間を無駄にしないように」この本を読んでいる皮肉。でも読まないと進まない。その思考こそが罠なのだけど、抜け出す方法が見つからない。つける薬がない。
思うに、 -
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「時間」をテーマとしたお話なのだと思う。いや、正確には、時間に対する「人の向き合い方」か。何かの本で、この本のことを知ったのだが、何の本だったかは忘れた。なんだったかな。とにかく、読み始めたその日から、「このままじゃいけない。いますぐ自分の生き方、日々の過ごし方、考え方、物の捉え方を変えなくてはいけない」と感じた。そのくらいインパクトが大きい。そして、いつ、自分の子供たちにこの本を読んでもらうよう勧めるか、そんなことを読みながら考えていた。少なくとも、なんらかの仕事に就く前に読んで欲しいし、ある程度時間が経ってからまた読んで欲しいと思う。私自身も、たとえば半年後にもう一回読みたい、と思う。その
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人間らしく、自分らしく生きるとは何か。
いつまでも色あせない、人間の本質を問う物語だった。
「時間を無駄にしない」という考え自体は、一見まっとうで善良に思える。
でも、その“善良さ”が極端になると、人はいつの間にか「人間らしく生きること」よりも、「効率よく正しく生きること」を優先し始める。
その瞬間の怖さが、この作品には描かれているように思った。
1973年当時は「産業社会への批判」として読まれた部分も、今読むと「SNS時代の自己管理社会」への批評のようにも見える。
昔は「会社のために働け」だったものが、今は
「タイパ・コスパよく、映える人生を送れ」という圧力に変わった。
楽しそうなも -
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ネタバレ友人からこの本のことを聞いたり、ネットで話題になっていて前々から気になっていた。頭の端の方で読みたいなぁとずっと思っていたところ、日本出版から五十周年を記念したオレンジ色の装丁が出ていて、それに惹かれてついに購入。
とても良かった。時間貯蓄銀行により、無駄な時間を削り、余暇もなくやるべきことに追われてしまう思考になってしまった人々と、主人公モモの意志を持ち続けて悪の組織に立ち向かう姿。
「無駄な時間を削ることは、人の心を狭め、廃れさせてしまう」ということをファンタジーの中で鮮やかに描いている。無駄な時間にこそ、自分に帰れるし、自由だよね、思った。
カシオペアのキャラが個人的に結構好きだった。 -
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私が読書(というより、物語)にハマったきっかけの1冊。
家にあったこの本を小学校低学年のとき、初めて読んだときは、マイスターホラとのなぞなぞのシーンがすごく好きで、何度も何度も繰り返し読んでいました。
児童、学生を経て社会人とどんどん成長し、時間的余裕がなくなり、求められること、やるべきことは増えていく。
社会の外部環境もスマホが普及したり、SNSが発展したり、コスパやタイパが重視されるようになる。
そんな変化とともに、この本を読んで感じることも変わっていって、かなり前に書かれた本であるにも関わらず、今の時代のために書かれたのではないかとすら感じる。10年語にはもっと価値が高まっているのでは? -
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親になって初めて本書の存在を知り、手に取って読んでみた。
是非とも子供が大きな負担なく読めるような歳になった時に読んでもらいたい一冊になった。
時間とは何か。心のゆとりとは何か。
タイパ・コスパを優先したことでIT・AIが瞬く間に成長した。何もかもが効率優先主義の世界になり、数十年前の人間が一生かけて得た知識を数年・数ヶ月。へたすれば数日で得られるような世界になっている。
確かに生活の質は向上しているが、精神。心の質はどうだろうか。
家族を養うために働き、休みは家族で出かける。何不自由ないが、良くも悪くも仕事の効率が上がっているので昔の人が何日もかかって成し遂げていた仕事を数時間で終わらせ -
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二巻目も骨太な内容。
20世紀における西洋の難民は生存圏を奪取された以降、法的保護の適用が希薄になるためより経済的、政治的、民族的なアイデンティティの喪失が過大となる。
国外へと追放された人種の足場のない不安定な状態をルソーの言葉で持って「自然状態」として再定義する。
強固な官僚制を保持していたドイツ、ロシアの両国において全体主義的傾向を帯びたシステムが基盤となって、現代のファシズムに繋がる。
帝国主義の分析は非常に面白い。イギリスが特に。
もはや法では囲い込むのできない難民たちの台頭は民族主義的排外主義的な思想のナチ=ドイツの組織によっても先鋭化される運びとなる。 -
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最初は難しそうな本だし、時間泥棒ってどういうことだろうと思って読み始めました。
読み進めるうちに引き込まれ
私たちが生きる現代とリンクしていることにドキッとしました。
私自身、子供に早くして!時間ないよ!とか言う事が多く
その時しか感じられない子供の体験や感性を奪ってしまっているのかなと感じました。
完成されたおもちゃを与える事で想像力をも奪っているのかと驚きました。
印象的だった部分は
「時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしている」
「時間とは、生きるということそのものなのです。
そして人のいのちは心を住みかとしているのです。」
「時間とは人間ひ -
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第三部、第一部と読み進めてきて第二部が最後となるけれども、とんでもなく面白かった。帝国主義がもともと経済的な事情に由来すること、その特徴が膨張の運動それ自体にあること、それが国民国家の在り方とはそぐわないこと、人種思想の経緯、海外帝国主義と大陸帝国主義の違い、法を軽視する官僚制、人権という概念のもつ問題など、どの議論をとってもほんとうに面白く、それぞれが全体主義への架け橋として描き出されるので、たしかにこれは第三部から読んでおいてよかったなあと思った。自然とか人工世界とか循環あたりの話は『人間の条件』を彷彿とさせる。カフカの官僚制の話もうれしい。あいだに寄り道していたせいもあって全部を読むのに