大島かおりのレビュー一覧
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何度読んでも素晴らしい。長いと言われても私は言いたい!200年前ホフマンが怖さのあまり妻の手を握りながら書いたと言われるこの小説がどれだけ後世に影響を与えたか。美しいほどの不気味さはこれまで幾度と映像化されたが表現しきれなかった。畳み掛ける不条理は狂気なのか現実なのか。夜更かしする子供のところにやって来て目玉をえぐり取る砂男の話を聞いた幼少のナターナエルは夜になると父の書斎に来る砂男の足音に怯えていた。ある夜書斎を覗き見して砂男に襲われ父に助けられる。砂男の正体は弁護士のコッペリウスだった。父は惨殺されコッペリウスは姿を消し行方不明となる。十数年後、結婚し大学に通うナターナエルの前に再び砂男は
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児童書なのでシンプルに読みやすかったけど、子どもにしては難しくない?!というくらいには風刺きいてるし考えさせられる本だった
時間は平等に与えられてるとか、タイムイズマネーとか、時間にまつわる金言って結構あるけど、「時間=生きるということ」っていうのがシンプルだけどハッとさせられる一文で、「だからこそ急いでなんかしないと!」ではなく「だからこそ時間を楽しまないと!」というポジティブな変換になるのがとても良い。
1973年に書かれたとは思えないくらい現代への風刺感がすごかった。何事も効率化したり、「未来の自分のために」という理由で切り詰めすぎて今を蔑ろにしたりと、心当たりを感じる部分が多く時間 -
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名作と言われる『モモ』。子供の頃に読んだことはないが、名作なら通っておきたいと思い、成人もとっくに過ぎたいま初めて手に取ってみる。
無駄を省き効率的に生活すると時間は節約できるだろう。ただし、そんな生活からは温かみ、楽しみを感じるような「人間らしさ」が失われてしまうのではないか。そんな両面の世界を見せてくれるファンタジー作品。モモ、マイスターホラ、ジジ、ペッポ、灰色の男、カシオペイヤなどの共感でき親しみやすいキャラクターが良い。ストーリーもミステリーあり、ハラハラドキドキありで楽しめた。
「人間が持つ時間とは何か?」という難問への答えをモモと一緒に過ごすことで感じることができたと思う。
言 -
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黄金の壺は、完全にファンタジー。こういう昔の小説って小難しいやらな問答というか語りというかで私生活がメインな気もするけど、でもはるか昔は聖書とかファンタジーだしな、珍しいってほどでもないかもだけど、ちょっと意外だー。
なもんだから、表現が仰々しいとかを除けば今風に読めるんではないか。
スキュデリさんの方も、いちいち表現が鬱陶しいというか、しょっちゅう感極まって大変だー、なんだけど、展開は面白いし、なにより結末への持っていき方もなかなか。人治主義がうまくまわることを示しているのか、にしても今どきの小説ではなかなか見られないぞな。
最後の方の小品はちと難易度高めかな。 -
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国家は権威・忠誠を与える根源的な場(共同体)であり、個人はその外部においては無意味である。ジョヴァンニ・ジェンティーレGentile(1875-1944)
全体主義。階級社会が崩壊して、根無し草の大衆が生まれた。量が多く、政治的に無関心・中立、階級意識を持たない、組織化されておらずバラバラ。公的な領域で他者と連帯して活動をしないで、孤立している。全体主義はこれら大衆を上手く動員した。全体主義は自由な行為の空間を限りなく減らして孤立している大衆をさらに孤立させ、それっぽい観念・イデオロギーを強制させる。大衆は自分で考える力を無くしてしまう。全体主義体制は大衆によって支えられている。▼全体主義の -
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『くるみ割り人形とねずみの王さま』
言わずと知れたクリスマスのメルヘン。
こんな空想をしていたなあ、とか、こんなお菓子の町は憧れだったよね、とか、とにかく楽しい作品。
深読みをすると、マリーは現実の世界からいなくなり、くるみ割り人形(若いドロセルマイヤーさん)と一緒にお菓子の国へ行って、二度と戻って来なかった、つまり、現実世界でマリーは死んでしまった、とも取れる。実際、マリーのモデルとなった女の子は、出版の数年後に幼くして亡くなったようだけど。
『ブランビラ王女』
一言で言うなら、自我の物語。
誰と誰が同一人物で……、時間軸的には……、と考え始めるとドツボにはまる。物語が入れ子構造で(物語内