大島かおりのレビュー一覧

  • モモ

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    ネタバレ

    「時間を節約することで、実は別の大切な何かを節約してしまっていることに、誰も気づいていない」
    「時間とは生きることそのものであり、人の命は心を住処としている。時間を節約すればするほど、生活は痩せ細っていく」
    という言葉が強く印象に残った。現代社会では、時間をいかに効率よく使うか、無駄なく処理するかが常に求められている。それは正しい態度のように見える。しかし『モモ』を読んで、時間を切り詰めることは、単に行動を早めることではなく、感じること、立ち止まること、誰かと心を通わせることまで削ってしまう行為なのだと気づかされた。
    効率化の先にあるのは、豊かさではなく、むしろ「生きている実感の希薄さ」なのか

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    2025年12月21日
  • モモ

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    ネタバレ

    灰色の男たちに時間を奪われた世界は現在や未来のことかもしれないと、きっと誰しもが自分事に感じるからこの作品は時代を超えて愛されるのだろう。
    私も時間に追われて毎日を過ごしているが、時間をどう使うか、それを自分で選ぶ自由を持っているのだと再確認した。

    「とっても長い道路を受け持つことがあるんだ」掃除夫ベッポは言った。「せかせかと働き出す。いつ見ても残りの道路はちっとも減っていない。だからもっとすごい勢いで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息が切れて動けなくなってしまう。道路はまだ残っているのにな。こういうやり方はいかんのだ」「一度に道路ぜんぶのことを考えてはいかん。次の一歩のこ

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    2025年12月21日
  • モモ

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    灰色の男たちは、この時代の人間たち(つまり私たち)の気がする。
    いつの時代も、以前に比べたら「灰色の男」指数は上がるのだとは思う。しかし、最近の「灰色の男」化はスピードが速すぎる。

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    2025年12月19日
  • モモ

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    「自分らしく、人間らしく、心豊かに生きる」といった行為や思いに付随する「時間」、この「時間」が段々と消失し「自分らしく、人間らしく、心豊かに生きていない」人々が増えているといった現代社会への皮肉を児童文学に込めた一作品。児童文学こそ万人に伝わる表現で、万人が読後に考えをもてるような素晴らしさがある作品が多い中でクリティカルに「時間」とはを考えさせられた。
    私たち大人は生きるために働き、生きるために食べ、生きるために学んでいる。その中で自分らしさといったものが少しずつ減っていき、人間としての象徴性を失っているのではと問われると、グサリと心に刺さる。その通りですと、自分の人生、自分の思い通りになる

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    2025年12月09日
  • モモ

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    対象年齢が小学校5、6年生以上とある児童書だけれど、大人が読んでて大きく問われる本だし、働いて働いて働いて働いて働く方に向かうかもしれない今だからこそ、時間と自分の在り方を見つめ直すために示唆の多い本。豊かさについて考えさせられた

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    2025年12月06日
  • モモ

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    時間に追われたことのある私にとっては、おもしろくも怖い話だった。たくさんお金があって忙しくても、幸せとは限らない。作中には『致死的退屈症』とあったが、うつ病のようなものかなと思った。

    大人になってから読んだ方がわかるというか、おもしろい。

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    2025年12月05日
  • モモ

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    私も灰色のやつに支配されてしまった親みたいになっていないかな?
    学校の準備できてるの?習い事の準備できてるの?勉強終わった?早くご飯食べなさい!
    ずっとせかせかしてるかも…
    灰色のやつに時間を奪われているのかな。
    取り戻せるかな…
    この現代で。
    大切な人を失わないように。

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    2025年12月04日
  • モモ

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    たとえば、みんながひらめくこと、そのひらめきはすぐに忘れてしまうと思う。
    そのひらめきを一つ一つ丁寧に文章にした本。
    だから、痒いところに手が届くと言うか、この表現がしたかったんだって、表現豊かになれる
    子供心がまだ自分に残っていると再確認する。

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    2025年12月04日
  • モモ

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    わたしたちは現代社会を生きていく上で遭遇する「時間泥棒」とどう対峙していくべきなのか。

    現代はいたるところに灰色の男たちがいて、隙あらば私たちの時間を狙っている。一寸先は致死的退屈症である…と、資本主義への恨みつらみを述べた後に「とかくに人の世は住みにくい。」などと結ぶニヒルな感想が浮かんだがこれではあんまりだ。

    別のアプローチを取ろう。それはそれとして、現代社会を生きるために大切なのは生活に彩りを加える姿勢やそれを見逃さない視線といったものなのではないか。

    すなわち、どうしようもない現代を嘆き悲しんだり、時間の開放に思考を巡らすよりも、むしろ人生における「時間の花」と言える瞬間を見落と

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    2025年11月28日
  • モモ

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    ネタバレ

    灰色の男たちは現実にいて、知らぬ間に時間を奪われているとか、そんなことを想像した。時間、効率……技術発展の恩恵を受けて有り難く生活しているわけだが、技術の速さと人間の時間は比例せず、人間を機械は走り去っていく。
    忙しさは日に増して、ニノのレストランのような人たちで溢れかえる。
    そんな社会、都会の歯車の中に入れられている私たちに本当に必要なのは、モモのような存在。
    「モモのところに行ってごらん!」

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    2025年11月17日
  • モモ

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    時間は平等。
    なのに大人は時間が無いと言う。
    子供目線で今で言う学校や習い事が皮肉混じりで書かれている気がして、とても面白かった。
    時間は有限であり、Time is moneyを第1優先にした先に、家族の時間や人と人との繋がりを失ってしまうこともある。
    大切なものの為に今どう動くべきか1度立ち止まって考える大切さを教えてもらった気がします。

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    2025年11月14日
  • モモ

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    35歳にして初めて読み、衝撃を受けてしまった。面白すぎる。
    この世界観どうやって思いついたんだろ。

    文体は読み聞かせしてもらってるような不思議な感覚
    それでいて内容はハッとさせられるようなもので心に深く刺さる部分が多かった。

    自分は大人側になってしまっているのだろうかと怖くなった。
    この本の発行から50年くらい経ち、灰色の男たちによる世界はますます進んでいそうです。

    丁度最近読んだ『暇と退屈の倫理学』にも通じると思った。
    「暇な」時間を大切に生きたい。

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    2025年11月12日
  • モモ

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    当時まだ私が小学生の頃、分厚い単行本をこの本を初めて手に取った。初めは「こんなの読み切れるわけない」と思ったが、気づけば夢中になり、あっという間に読み終えていた。

    内容も当時の私が何を感じたかもすっかり忘れてしまったが、友人の勧めでまた読んでみようと思った。

    物語の大きなテーマは「時間の使い方」
    "時間泥棒"は、人々に時間の節約を迫り、余白をどんどん奪っていく。効率性や意義性に必要以上に囚われると、人は感情を失い、大切にしたかったものすら手放ていく。

    情報にあふれる現代は特に「正しそうなこと」が多く、またSNSの普及により「比較する相手」も増えたことにより、不安を駆り

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    2025年11月10日
  • 砂男/クレスペル顧問官

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    表題の二作に加えて『大晦日の夜の冒険』が収録されています。全てに共通するのは、魅力的な女性に男性が夢中になり、その結果……という構造です。しかし説教くささは無く、文体も古めかしすぎず読みやすいと感じました。巻末に解説と著者の年譜も載っていて、著者が影響を受けた作品や親交のあった作家なども知ることができます。

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    2025年02月12日
  • モモ

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    ちいさなモモが時間どろぼうと戦う話。マイスターホラの家で食べる朝ごはん、ベッポの道路掃除の話、ごっこ遊びでモモザンになるところ。

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    2025年11月29日
  • モモ

    n

    購入済み

    何回か読んでいます

    自身が小学生時代に初めて読み、こどもにも読み聞かせしております。
    今回読書感想文を書くにあたり手元に本がなく図書館でも貸出中だったため、初めて電子書籍で読ませて頂きました。電子書籍には苦手意識がありましたが、嵩張らず、文字も見やすく、途中から読み始めるのも手軽に出来、電子書籍の良さを感じました。また繰り返し読みたいと思います。

    #タメになる #共感する

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    2024年08月16日
  • モモ

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    時間って何だろう 恥ずかしいことに、この年齢になって初めてこの本を手にしてみた。愛読書にしている人も多い位に有名で、良書だということは聞いていたので、期待はしていたのだが、いい意味で期待を裏切られた。
    もっと児童書っぽい、童話的な内容かと思っていたが、現代社会への風刺を含んだ社会性のある、だけど一方でワクワクさせてくれる、でも心温まる本当に素晴しい本だと思う。
    昨今、働き方革命との掛け声の下、効率追求の風潮がもてはやされる社会だが、一歩間違えると決して人々の幸福につながっていかない状況に陥ってしまわないか、ふと考えさせられた。
    自分の時間にもっと真剣に向き合いたいとも思わせてくれた。

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    2025年12月16日
  • 砂男/クレスペル顧問官

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    『砂男』を再読。
    近代文学におけるジャンル小説の先駆けでありながら、まごうことなき傑作怪奇小説。
    好きな小説10個挙げろって言われたら絶対挙げる。
    恐怖の積み上げ方が上品。
    ナターナエルと作者ホフマンの距離感が絶妙。
    主観的な物語を描きながらも、客観的にロマン派を脱構築する。
    ホフマンにとっての至上への希求は、狂気への道筋。
    ヒッチコックの『めまい』は絶対これを元にしてる。

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    2023年09月19日
  • 全体主義の起原2 新版――帝国主義

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    第三部、第一部と読み進めてきて第二部が最後となるけれども、とんでもなく面白かった。帝国主義がもともと経済的な事情に由来すること、その特徴が膨張の運動それ自体にあること、それが国民国家の在り方とはそぐわないこと、人種思想の経緯、海外帝国主義と大陸帝国主義の違い、法を軽視する官僚制、人権という概念のもつ問題など、どの議論をとってもほんとうに面白く、それぞれが全体主義への架け橋として描き出されるので、たしかにこれは第三部から読んでおいてよかったなあと思った。自然とか人工世界とか循環あたりの話は『人間の条件』を彷彿とさせる。カフカの官僚制の話もうれしい。あいだに寄り道していたせいもあって全部を読むのに

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    2022年12月16日
  • 全体主義の起原3 新版――全体主義

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    ヤスパースの助言通り第三部から読んだ、全体主義の特徴として挙げられる首尾一貫した偽りの現実とかテロルの意義とかもすごく面白いのだけれど、そもそもそういったものに溺れてしまう大衆の弱さとか収容所に入れられたひとびとが存在しなかったことになってしまう残酷さとか、人間の孤独や存在の脆さが浮かびあがってくるあたりで泣きそうになってしまう、アーレントの冷徹さの奥には限りない愛の眼差しがあると思う、あと大事なことは何度も言ってくれるのでわかりやすい。

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    2022年10月20日