大島かおりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
名作として題名だけは知っていたが、人々が良いとため息混じりに言うので、ファンタジーが苦手なら無理じゃないかと言う声も聞きつつ、チャレンジ。
とっても良いおはなし!
序盤、大丈夫かこれ〜?と思いながら読み、海賊船になったところで、あかん、無理か、と挫折しそうになった。
ところがところが、はなしはどんどん盛り上がり、これはどうなる?だってページあと、これしかない、と思うが、それまでゆっくりと進んできた、おとぎ話らしいファンタジー古典とは思えぬ怒涛のスピードで決着したのでおもしろい。
読んでる途中で、これは本当に大昔の作品?たった今の現代の話ではないかと、夢中になった。
海賊になりきれなかった私は、すっかり泥棒に預金していたのだと、気づく。
読み終わってわかることがたくさんあり、この子はどこから来た誰なのだ、と気になっていたが、それはもういいのだと、読み始めたわたしに言ってやりたくなった。
はてしない物語は映画から入ったが、モモはその前にできた物語、こっちの方がすきだなあ。本当によくできている。はてしない物語も、読むべきなのだろう。
モモは映画化したらどうなる?と考えながら読んでいたけど、なんだか、字を読んで想像する、本が一番いいのではないか、と感じる物語だった。
わたしもため息まじりに、「…いいよ」と人に勧めるしかないわ。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「時間を節約する」とは何を失うことなのか? 怒涛のクライマックスと深い寓話性に圧倒された名作
感想・あらすじ
みなしごの少女モモが円形劇場に住み着き、街の人々の話をただじっと「聞く」ことで、彼ら自身の心を開かせていく穏やかな日常から物語は始まります。親友のベッポじいさんやジジたちとの温かい日々に忍び寄る「灰色の男たち(時間泥棒)」。彼らが人々の時間を奪い、街が余裕や笑顔を失っていく不気味さ、そしてモモがカメのカシオペイアに導かれて時間の秘密に触れていく展開は、中盤以降息もつかせぬ面白さでした。ラストの時間の花をめぐる逃走劇と解放の瞬間は圧巻の迫力です。
あらすじ:
みなしごの浮浪児モモは円形劇場にたどり着き、そこでよい人たちに囲まれて暮らしていました。モモには、人の話を聞いてその人自身にいろいろなことを気づかせる、という特技があり、多くの人に愛されて、友達もたくさんいました。
特に、旅行ガイドのジジと掃除人のベッポじいさんが特になかよしでした。
そんな中、時間泥棒が街に表れ、人々の時間を奪うようになっていきました。
時間泥棒(灰色の紳士)はモモのところにもやってきて、言葉巧みに時間を奪う契約をしようとしたのですが、モモに本当のことを話してしまいました。本当のことを話すのは時間泥棒には認められていないことでした。
モモはジジとベッポにこのことを話して、友達の子供たちと、大人に本当のことを話す集会を開くことにしましたが、集会には大人たちは表れず、かえってモモは時間泥棒に追われることになりました。
モモのもとにはカメのカシオペイアがやってきて、マイスターホラのもとに連れて行ってもらい時間泥棒から逃げることができました。そこでモモは時間の花など、時間の真実を知ることになりました。
眠りについて目が覚めると円形劇場に戻っていました。その世界では、時間泥棒の活動で人々は時間に追われて余裕のない生活をしていました。
そこでは、時間泥棒がマイスターホラのところに連れて行くように、モモに話しをしました。
その後、カシオペイアと共にマイスターホラのところに再び戻り、時間泥棒から時間を取り戻すことに成功しました。
読後に残る謎と考察
マイスター・ホラとは何者か?
名前の「ホラ(Hora)」はラテン語で「時間」を意味します。彼は神そのものではなく、「人間一人ひとりに配分される純粋な時間」を管理・中継する守護者のような存在です。彼自身が時間を作るのではなく、人間が生きるための時間を手渡す役割を担っています。
カシオペイアはなぜカメなのか?
「ゆっくり進むことこそが、最も早く目的地に着く方法である」という逆説を体現しています。効率やスピードばかりを追い求める灰色の男たちに対抗する象徴として、最も歩みの遅いカメが選ばれています。甲羅に文字を浮かび上がらせて意思疎通するのも、言葉を発する時間の重みを感じさせます。
モモの両親は誰で、なぜ親を求めないのか?
モモは「過去」や「生まれ」に縛られない、人間本来の無垢な魂そのもののメタファーです。誰かの子どもとしてではなく、「ただ今ここに生きている存在」として描かれているため、血縁の親を思い悩む描写がありません。だからこそ先入観なく他者の声に耳を傾けることができます。
時間泥棒(灰色の男たち)の正体とは?
人間が「時間を節約しよう」「無駄を省こう」とした瞬間に生まれる妄想・強迫観念が具現化した幽霊のような存在です。彼ら自身に実体はなく、人間が削り落とした「生きた時間(時間の花)」を葉巻として吸い続けることでしか存在を維持できません。
本作は現代社会を批判しているのか?
明確に現代社会(効率至上主義・合理主義・資本主義の加速)への警告となっています。成果やタイパ(タイムパフォーマンス)を追い求めるあまり、無駄話や遊び、寄り道といった「人生の豊かさそのもの」を削り落としてしまう現代人の姿が、灰色の男たちに魂を売った大人たちにそのまま重なります。
本作の何が面白かったのか?
哲学的なテーマを扱っていながら、謎解き・サスペンス・異世界への冒険・タイムリミットアクションとしての一級のエンターテインメントに仕上がっている点です。
「時間とは、生きるということ、そのもの。そしてそれは、人間の心の中にある」というメッセージが、説教くさくならず、クライマックスのカタルシスを通じて真っ直ぐ心に刺さる傑作でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近知った本。
名作と言われる理由のひとつは、時代を感じさせないところかなと感じた。
かなり前に書かれているのに、時間を越えて、現代社会の冷たい部分を風刺的に表していると思う。
私は、冷凍宅配弁当を定期購入していた時期がある。
便利だったし、ご飯を作る手間が省けたのでしばらくは「楽になった!料理しなくていいから他のことに時間を使える!」と嬉しく思っていた。
でも、料理に時間をかけないこと・簡単な手料理しか食べないことで、徐々に幸福感が無くなっていき、人生がつまらなく感じるようになった。
『人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。』
この本に書かれていた一文、まさにそのもの。
久しぶりの自分のための料理は、最高に満たされた。
「タイパ」と言って効率ばかり必死に求めずに、大きく時間に囚われることなく生きていきたい。
原始的に生きたいという意味ではない。
私は、ありがたーく文明にあやかりながら、その時々で心豊かに過ごす時間の使い方を考えたいのだ。
モモに話を聞いてもらい、自然とアイディアが広がっていった子どもたちの、航海の話が好きだった。
ジジが、モモのために紡いだお話を世間に向けて話してしまったことが悲しかった。 -
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ついに読めた
読み始めたら
先が気になり
止まらなくなった
ほんとに50年前の作品なのかな
きっといつの時代読んでも
灰色の男たちはいるんだろう
時間やお金
スマホやAI
大人が楽できると信じて疑わず
作り上げてきたものが
大人自身からも
豊かさや心のゆとりを
奪ってきたのかもしれない
そして一番の被害者は
いつの時代も子供だと感じた
私もいつからだろう
貯金をしても安心感はふえないどころか
資産運用だと煽られ不安感が毎日募る生活に
笑えなくなってきて
これまでの自分の歩みを否定するようになっていた
そんなときモモを読んだ
今目の前がどんな景色だろうと
ここまでは歩んできたんだ
そのことを認めてあげようと思えた
オソイホド ハヤイ -
Posted by ブクログ
児童文学といえども社会人でも突き刺さるメッセージが大変。多い時間を1つのテーマとして描いてはいますが、想像力を豊かに、そして自分の人生をしっかり生きるというメッセージが込められてると感じました。特に時間の使い方をホラーストーリーと共に描いてはいますが、実際社会でも時間の使い方を誤った方向で考えてる時が私自身も多いのではないかと感じています。いわゆるアクティブな時間とアンアクティブな時間をしっかり使い分け、自分を豊かにする。時間の使い方は改めて考えなければいけない。ファンタジーの部分が多いかもしれないが、これはこれで色々な普段使わない。脳の部分を活性化させるので、たまにはいいかもしれない。
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Posted by ブクログ
二巻目も骨太な内容。
20世紀における西洋の難民は生存圏を奪取された以降、法的保護の適用が希薄になるためより経済的、政治的、民族的なアイデンティティの喪失が過大となる。
国外へと追放された人種の足場のない不安定な状態をルソーの言葉で持って「自然状態」として再定義する。
強固な官僚制を保持していたドイツ、ロシアの両国において全体主義的傾向を帯びたシステムが基盤となって、現代のファシズムに繋がる。
帝国主義の分析は非常に面白い。イギリスが特に。
もはや法では囲い込むのできない難民たちの台頭は民族主義的排外主義的な思想のナチ=ドイツの組織によっても先鋭化される運びとなる。 -
Posted by ブクログ
梟書茶房という池袋にあるカフェで、生まれて初めてタイトルやあらすじを伏せた状態で購入した本。本の紹介が数行程度書いてあり、確か誕生日の番号に振られたものだった気がする。購入記録を振り返るとゆうに6年前、、よくもまぁここまであたためたなと。笑
十数年勤めた会社にほとほと嫌気が差してしまい、退職を決意し長め休暇をとっている現在ですが、このタイミングで読む気になったのもご縁を感じる。ベッポのように、自分の中のこだわりを大事に仕事をしていたのだけど、会社の方針や求められるスピードに自分がついていけなくなってしまった。自分を嫌いになっていく感覚、まさに灰色に景色が見えるかんじ。
幼い頃、死んだ顔をして満員電車に揺られる大人を見ていた違和感。就活時代、今が人生の最大だから楽しんでと寂しそうな顔をして話してくれた部活でお世話になった憧れのOBの先輩。趣味や余白を削った毎日なんてなんの楽しみもないよなぁと立ち止まるとわかるけど、必死に走ってたこの間までは、ここまでしっかり思いを巡らせられなかったろうな。
大人になった今、手にとり読むことができてよかった。ありがとうミヒャエルエンデ!