ホフマンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昨年上巻を読んで、気づけば半年が経っていた。
ネコのムル君が筆を取るときに音楽家クライスラーの伝記を下書きとして使い、出版社にそのまま送ってしまったため、ムル君の話とクライスラーの話が交互になって出版されたという設定の本。
下巻は若者から成熟期に至るまでのムル君の人生が綴られている。
学生連合に参加するようになって以前の品格がなくなったと人間様から言われたり、犬族が集まるパーティに参加したりと、世界を広げていくムル君。
そしてその間に挟まるクライスラーの伝記。正直最初は読みにくかったけど、ムル君の話とリンクするところもあってだんだん慣れてくる。
あとは所々に編集者のツッコミがあり、「ネコ君、それは盗作だ」とか「ネコ君がまたもや反故紙二、三枚をひきちぎってしまったために欠損箇所が生じました」というところでインテリネコムル君の愛くるしさが爆発している。
ムル君へ
「ストイックに真剣に節制しようとしたが、ネコは本質的に誘惑に弱い。ミルク粥の快い匂いや、思わず座りたくなるような、ふっくらしたクッションを前にすると、このうえなくりっぱな固い決意もたちまちくじけた。」(p.14)
というのは人間も同じだよ。 -
Posted by ブクログ
黄金の壺は、完全にファンタジー。こういう昔の小説って小難しいやらな問答というか語りというかで私生活がメインな気もするけど、でもはるか昔は聖書とかファンタジーだしな、珍しいってほどでもないかもだけど、ちょっと意外だー。
なもんだから、表現が仰々しいとかを除けば今風に読めるんではないか。
スキュデリさんの方も、いちいち表現が鬱陶しいというか、しょっちゅう感極まって大変だー、なんだけど、展開は面白いし、なにより結末への持っていき方もなかなか。人治主義がうまくまわることを示しているのか、にしても今どきの小説ではなかなか見られないぞな。
最後の方の小品はちと難易度高めかな。 -
Posted by ブクログ
バレエで有名な原作とは知らず購入。あらすじもまったく知らなかったので、まっさらな気持ちで読めた。
お菓子の国の描写など、可愛くてきらびやかな子どもの夢が詰まった物語だった。本書も幼少期に読んでいたら、ワクワクして夢がふくらんだだろうな。レモネードの川、コンポートの里、氷砂糖の牧場など名前を聞いただけでも楽しくなる。
ドロッセルマイヤーさんは子ども心に理解のあるおじさまかと思っていたら、最後は両親たちと同じような厳しめの大人だったことに少し興ざめ。カエルの王子さまや美女と野獣の系譜的作品か。
余談だが、フリッツという名前からは『終戦のローレライ』をどうしてもイメージしてしまい、本書のフリッツとのギャップに戸惑う。 -
Posted by ブクログ
『くるみ割り人形とねずみの王さま』
言わずと知れたクリスマスのメルヘン。
こんな空想をしていたなあ、とか、こんなお菓子の町は憧れだったよね、とか、とにかく楽しい作品。
深読みをすると、マリーは現実の世界からいなくなり、くるみ割り人形(若いドロセルマイヤーさん)と一緒にお菓子の国へ行って、二度と戻って来なかった、つまり、現実世界でマリーは死んでしまった、とも取れる。実際、マリーのモデルとなった女の子は、出版の数年後に幼くして亡くなったようだけど。
『ブランビラ王女』
一言で言うなら、自我の物語。
誰と誰が同一人物で……、時間軸的には……、と考え始めるとドツボにはまる。物語が入れ子構造で(物語内物語内物語、みたいな)、でも実は話は繋がっていて、登場人物自身も自分が誰なのか分かっていなくて。奇想天外、摩訶不思議、でもそれが楽しい。たゆたう物語の流れに身を任せれば、しかるべき場所まで連れて行ってくれる。 -
Posted by ブクログ
さて、満を持して(?)、E.T.A.ホフマン、いきます!というわけで、この新訳を買ってみました。手持ちの岩波文庫の「黄金の壷」と「スキュデリー嬢」と、頁ごとにつきあわせて読みました(また、なんと酔狂なことを……)。常体と敬体の文を、同じ地の文で混在させるのはどうでしょう、けれどもそのあたりは、「訳者あとがき」に詳しく述べられています。そこにあるとおり、「ほんとうに、古いか新しいかという問題は一筋縄ではいかないもの」なのですね。私には、昔なじみのホフマンのほうが、ホフマンらしい、とも思われますけれど。もちろん、この新訳を殊更に批判したいわけじゃないんです。そしてまたこのシリーズ全体の意図に関して、「いま、息をしている言葉で。」という栞の文言どおりそれが成功しているなら、それには大賛成なのです。だから、これからホフマンを読もうかな、と思う方は、どうぞこれを手に取ってください。珠玉の4篇、表題2作の他に「ドン・ファン」と「クライスレリアーナ(小品を抜粋)」とが収められています。カヴァーの感じもいいし、誰かの愛読書になることを願います。もちろん、それに見合うだけの作品です。