ホフマンのレビュー一覧

  • 砂男/クレスペル顧問官

    Posted by ブクログ

    表題の二作に加えて『大晦日の夜の冒険』が収録されています。全てに共通するのは、魅力的な女性に男性が夢中になり、その結果……という構造です。しかし説教くささは無く、文体も古めかしすぎず読みやすいと感じました。巻末に解説と著者の年譜も載っていて、著者が影響を受けた作品や親交のあった作家なども知ることができます。

    0
    2025年02月12日
  • 黄金の壺

    Posted by ブクログ

    初めてホフマンの『黄金の壺』を読んだとき、その不思議な魅力に取り付かれてしまいました。現実と幻想が溶け合う世界、そこに描かれる若き書生アンゼルムスの冒険は、200年以上の時を経た今でも、私たちの心を強く揺さぶります。
    物語は、ドレスデンの街で始まります。聖昇天祭の日、不器用な書生アンゼルムスは林檎売りの老婆の籠を倒してしまい、その不幸な出来事から彼の奇妙な冒険が始まるのです。黒い門の前で見た三匹の金色の小蛇、特に青い瞳を持つ一匹への恋。そして、古文書の写字生として雇われた不思議な文書保管官リンドホルストの家での体験。これらの出来事は、現実なのか、それとも主人公の妄想なのか、読者にはその判断が委

    0
    2024年12月04日
  • ネコのムル君の人生観(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ネコのムルくんの下巻
    上巻に比べて慣れたせいかスラスラ読めた
    ムルくんも成長して、さまざまな経験をして
    さらに可愛らしい!
    同時進行のムルくんの小説は、さてこれからと言うところで終了!えっ?なんだか中途半端なと思ったが解説では、またはじめに戻るとか‥読み直してみたら、なるほどそうも思える。もう少し生きていて欲しかった!ホフマンもムルくんも
    でも予想通りおもしろかったです!

    小説全体が狂詩曲、二重奏、無限の憧れをのせたムルの魂!

    0
    2024年10月31日
  • ネコのムル君の人生観(上)

    Posted by ブクログ

    前から読みたいと思っていた本
    なんと新訳が出ていて嬉しくなりました
    1819年に書き始めたとのこと
    なんてことでしょう日本は江戸時代
    登場人物の背景は確かに時代を感じさせますが
    ムルくんの可愛い猫たる姿はまったく時代を感じさせない
    あげようと思ってくわえたニシンを運んでいるうちに食べてしまったり、先生の机の上をグジャグジャにしてしまったり、恋敵に叩きのめされたり
    もう目に浮かぶ!
    そしてムルくんの書く小説の愛くるしい登場人物たち
    まだ半分ですが、読んでよかった!早く続きを!
    が、腰を据えて読まないと内容が入ってこないので何日かかかるだろうな

    0
    2024年10月31日
  • 砂男/クレスペル顧問官

    Posted by ブクログ

    『砂男』を再読。
    近代文学におけるジャンル小説の先駆けでありながら、まごうことなき傑作怪奇小説。
    好きな小説10個挙げろって言われたら絶対挙げる。
    恐怖の積み上げ方が上品。
    ナターナエルと作者ホフマンの距離感が絶妙。
    主観的な物語を描きながらも、客観的にロマン派を脱構築する。
    ホフマンにとっての至上への希求は、狂気への道筋。
    ヒッチコックの『めまい』は絶対これを元にしてる。

    0
    2023年09月19日
  • 砂男/クレスペル顧問官

    Posted by ブクログ

    すごい面白かった。ホフマンはドイツ人の法律家だから、難しい言葉が並んだ長々とした小説なのかと思っていたら、とんでもない。
    怪奇で、幻想的で、狂気的で、少しの哀しみがある小説。
    小さい頃読んだ不思議で恐ろしい御伽の世界に迷い込んだよう。

    3遍の小説で、1番好きなのはクレスペル顧問官。
    気が狂っているようだけど実は中の芯がしっかりした人で、好きになるキャラ。
    〝ふつう自分に奇矯なところがあっても、人に気づかれないように包み隠しておきますがね。その覆いを引き剥がされてしまっている人がいる。”
    まさにそんな感じのキャラ。

    砂男は怖い。ぞくっとする。若い青年(お金持ちで許嫁もいて、幸せそのものにみえ

    0
    2022年01月12日
  • 砂男/クレスペル顧問官

    Posted by ブクログ

    何度読んでも素晴らしい。長いと言われても私は言いたい!200年前ホフマンが怖さのあまり妻の手を握りながら書いたと言われるこの小説がどれだけ後世に影響を与えたか。美しいほどの不気味さはこれまで幾度と映像化されたが表現しきれなかった。畳み掛ける不条理は狂気なのか現実なのか。夜更かしする子供のところにやって来て目玉をえぐり取る砂男の話を聞いた幼少のナターナエルは夜になると父の書斎に来る砂男の足音に怯えていた。ある夜書斎を覗き見して砂男に襲われ父に助けられる。砂男の正体は弁護士のコッペリウスだった。父は惨殺されコッペリウスは姿を消し行方不明となる。十数年後、結婚し大学に通うナターナエルの前に再び砂男は

    0
    2022年03月21日
  • 黄金の壺

    Posted by ブクログ

    これまた名作でした!
    とても詩的で情緒的、メルヘンなんだが、かなりグロテスクでもある。
    そういう生々しくも詩的な世界、そこにある奇跡にあふれる自然というものを「信じる」者とそれを狂人とみる者。これは魯迅の狂人日記を思い出したんだが、自分の生活にも当て嵌めて考えられるだろうな。
    うん。面白かった。

    0
    2013年02月18日
  • 黄金の壺

    Posted by ブクログ

    ポー、カフカ、そして日本の作家への系譜
    ドイツの作家ホフマンの1814年の作品。

    とにかく不思議なお話で、とても詩的である。だいたい、ドレスデンの大学生アンゼルムスの恋の相手は緑の小蛇。でもおどろおどろしいような感じはなく、あくまでもおとぎ話風に幻想的である。人間が突然はげたかになって飛び去ったり、ドアのノブがおばあさんの顔になったりするような不思議なことが数多く起こる。また、パーティでかつらが飛び交うようなコミカルな場面や、火の精と悪魔の死闘の場面など、おもしろいエピソード満載である。

    それでいて、作者がいつごろを想定して書いたかはわからないが、少なくとも1814年よりは前の、ドレスデン

    0
    2015年04月17日
  • 黄金の壺

    Posted by ブクログ

    魔法での戦闘、蛇に恋した青年、そしてアトランティスへ…なんでもありの世界。ホフマン大好きです。ホフマン短編集復刻希望。

    0
    2011年04月30日
  • 黄金の壺

    Posted by ブクログ

    神品芳夫訳。ドイツロマン派の幻想と「匂うような叙情性とはるかなあこがれ」に満ちたこの作品、主人公アンゼルムス、あるいはこれを書いていた時期のホフマンに、わが身を重ねて読む人は、少なくないかもしれませんね。そう、ここに見られる叙情性と、そして俗世界と自分自身とを嗤うことのできる視点、それは一人の人の中に同時に必要なものではないでしょうか。訳者解説も見事です。

    0
    2011年07月19日
  • ネコのムル君の人生観(下)

    Posted by ブクログ

    昨年上巻を読んで、気づけば半年が経っていた。

    ネコのムル君が筆を取るときに音楽家クライスラーの伝記を下書きとして使い、出版社にそのまま送ってしまったため、ムル君の話とクライスラーの話が交互になって出版されたという設定の本。

    下巻は若者から成熟期に至るまでのムル君の人生が綴られている。
    学生連合に参加するようになって以前の品格がなくなったと人間様から言われたり、犬族が集まるパーティに参加したりと、世界を広げていくムル君。
    そしてその間に挟まるクライスラーの伝記。正直最初は読みにくかったけど、ムル君の話とリンクするところもあってだんだん慣れてくる。
    あとは所々に編集者のツッコミがあり、「ネコ君

    0
    2025年03月27日
  • 黄金の壺

    Posted by ブクログ

    ストップモーション映画"ホフマニアダ"を観てからホフマンに興味を持ち、原作も拝読。
    幻想的な物語がホフマンの文章によりまばゆさがより増し、輝かしいものとなる。恋の悩ましささえまばゆい。

    0
    2024年07月14日
  • 黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ

    Posted by ブクログ

    津村記久子さんの「やりなおし世界文学」の中で1番気になってた作品をやっと読んだ。黄金の壺はドタバタロマコメ。日常の中に入り込んだ魔術に人間が翻弄される感じは巨匠とマルガリータにも似た面白さ。2作めは推理小説的な面白さでこちらも完成度高い。

    0
    2023年06月27日
  • 黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ

    Posted by ブクログ

    黄金の壺は、完全にファンタジー。こういう昔の小説って小難しいやらな問答というか語りというかで私生活がメインな気もするけど、でもはるか昔は聖書とかファンタジーだしな、珍しいってほどでもないかもだけど、ちょっと意外だー。
    なもんだから、表現が仰々しいとかを除けば今風に読めるんではないか。
    スキュデリさんの方も、いちいち表現が鬱陶しいというか、しょっちゅう感極まって大変だー、なんだけど、展開は面白いし、なにより結末への持っていき方もなかなか。人治主義がうまくまわることを示しているのか、にしても今どきの小説ではなかなか見られないぞな。
    最後の方の小品はちと難易度高めかな。

    0
    2022年10月12日
  • 黄金の壺

    Posted by ブクログ

    華麗で幻想的な出来事が、複写を生業にする学生や、俗物的な教頭といった俗世一般の人間たちの生活の上に織りなされ、物語のまとまりと、美しい描写によって楽しい小品を作りあげている

    ヴェロニカが可愛らしい
    俗物的な欲求の虜になってしまう人間の弱さを見ると微笑ましなる。邪な手段に頼っても下心を成就させようとする姿を見ると愛らしいと思う
    不思議なものだ。

    しかし、この作品にあるような純朴な美しさというようなものは現代では書けないよな、と思う。書くとしたらたちまち詭弁くさくなってしまう気がする

    0
    2022年03月15日
  • 黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ

    Posted by ブクログ

    どうせドイツ人なんて粗挽きウインナーに粒マスタードで黒ビールなんでしょう?→→!ウォ、ウォモシローイ!→→大学生が蛇に恋をします。夢うつつで何もやる気が起きません。学校の職員「そんでねー、ここに手伝いに行ってもらいたいわけー。お金も貰えるし皆が助かるの」依頼主「そんでねー、」学生「いやちょっと自分はこういう訳で、仕事をする気分では」主「あっごめえん。その蛇、私の娘ね!っていうっか、自分サラマンダーやし!」なんなのよドイツ。明るいじゃない。黒だけじゃなくて、白ビールも隠してるんじゃないのよ!出しなさいよ!

    0
    2020年12月26日
  • くるみ割り人形とねずみの王さま/ブランビラ王女

    Posted by ブクログ

    『くるみ割り人形とねずみの王さま』
    言わずと知れたクリスマスのメルヘン。
    こんな空想をしていたなあ、とか、こんなお菓子の町は憧れだったよね、とか、とにかく楽しい作品。
    深読みをすると、マリーは現実の世界からいなくなり、くるみ割り人形(若いドロセルマイヤーさん)と一緒にお菓子の国へ行って、二度と戻って来なかった、つまり、現実世界でマリーは死んでしまった、とも取れる。実際、マリーのモデルとなった女の子は、出版の数年後に幼くして亡くなったようだけど。

    『ブランビラ王女』
    一言で言うなら、自我の物語。
    誰と誰が同一人物で……、時間軸的には……、と考え始めるとドツボにはまる。物語が入れ子構造で(物語内

    0
    2018年12月09日
  • くるみ割り人形とねずみの王さま/ブランビラ王女

    Posted by ブクログ

    「くるみ割り人形」は言うまでもなく、有名なバレエ曲にもなったクリスマスの定番。「ブランビラ王女」は、恥ずかしながら題名も初めて聞いた。どちらも視点があちこちにさまよう凝った構成になっていて、とても楽しく読めた。物語を読む楽しさを改めて教えてもらえたような気がする。

    0
    2018年01月22日
  • 砂男/クレスペル顧問官

    Posted by ブクログ

    ホフマンの中編?が三編。どれも少し不可解な話なのだけれどその怪奇な中身がなかなかよい。幻想的欧州を感じさせる。どれもなかなかで、また読み返したい。

    0
    2017年12月18日