岡田温司のレビュー一覧

  • 天使とは何か キューピッド、キリスト、悪魔

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    " さらに、「天使は、あたかも全身これ心臓であり、/頭脳であり、眼であり、耳であり、知性であり、感覚である/かの如くに生きており、自由自在、その思うとおりの体軀を/自ら具え、また好むがままに、密であれ疎であれ、いかなる色であれ、いかなる形、大きさあであれ、具えることができるのだ」(VI:349-353)" p..157 ミルトン『失楽園』からの引用

    "近未来や近過去のことは人間の占い師の水晶球のなかにも映るかもしれないが、蒼穹の過去の時間の記憶をまざまざとよみがえらせることができるのは、ただ天使の水晶球だけなのだ。" p.185


    ギュスターヴ・モロ

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    2025年11月19日
  • 最後の審判 終末思想で読み解くキリスト教

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    「最後の審判」に付随するさまざまなテーマ(裁き・正義・復活など)について,複数の絵画と解説を組み合わせて論じた本。

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    2025年11月02日
  • マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女

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    非常に面白い。
    これ程ダイナミックで多面的なアイドルがかつていただろうか。
    まるで合わせ鏡の奥の奥を覗くようなスリルと
    痛みや苦痛の内側にある真の無垢さと人間らしさ
    そしてキリストが人間の罪を受け止めるように
    彼女は人々の感情を全て生身で受け止めるかのようで
    無原罪の御宿りの聖母マリアにはない優しさと
    厳しさがマグダラのマリアにはある。

    これ程に様々なレッテルを貼られながらも
    マグダラのマリアはマリアと言う名に恥じず
    不動の地位を守り続けている

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    2024年05月07日
  • 天使とは何か キューピッド、キリスト、悪魔

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    キリスト教の四苦八苦 他の宗教を異端として排除したかった歴史までもが天使経由で知ることになるとは。キリスト教初期は排除するでなく、受け入れ利用してた。そのうち異宗教との線引きをハッキリさせようとした結果。天使が悪魔(堕天)して人の世界に悪がはびこったって話に。
    絵画を見て不思議に思ってたことがはっきりしたと共に、他宗教との関わり方も学べた。

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    2025年12月02日
  • 西洋美術とレイシズム

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    東方三博士等、黒人の姿で描かれているものについて
    「そういうもの(伝統)なんだろうな」で済ませていたものが、
    実は聖書にも記述の無いことだったり、
    奴隷や植民地への眼差しが含まれていたことを知った。

    女性・非嫡出子・難民…逆境に置かれない人を探すのが難しいくらい。
    赤く平たい帽子・「悪魔の縞」模様・聖母子との距離感等、
    意味を知らないと底意が分からないものも多く学べた。

    私にとっては違いが少なすぎて人種の違いが分からない絵も多数。
    そのあたりも感覚が違うんだろな。

    スコマスとダミアヌスのエピソード衝撃的なのに
    再読時には忘れていた。
    馴染みがなくて記憶に定着しなかったのだと思う。
    今まで

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    2022年02月18日
  • 天使とは何か キューピッド、キリスト、悪魔

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    キューピッドと天使が習合するのは容易に想像できるが、
    キリストと天使の境界も曖昧だったとは驚き。
    そういえばロビンソン・クルーソーにも
    キリストは天使か否かの話がチラッと出てきた。

    俗なものと見なされていたものが
    聖なることとみなされるようになっていく様子が
    天使の描かれ方・解釈のされ方で見えてくるのは興味深い。

    時代が下るにつれ、絵画・写真・文学に神やキリストが不在であっても
    天使が必要とされ続けてきたというくだりが印象的。

    また、快楽として遠ざけられていた地上の音楽が
    14世紀の発展を経て、
    まず天使に託されたことで蔑視から免れていく過程(第3章)は自分にとって身近なテーマでもあり興

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    2022年02月18日
  • アダムとイヴ 語り継がれる「中心の神話」

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    馴染みのあるテーマにも関わらず
    違和感のある図像が多くあった印象。
    自分は「その時代で異端でない」ものを
    多く見てきただけなんだな。

    『創世記』に人間の創造の場面が二度あるのが面白い。
    イヴが生まれる前のアダムは両性具有なのかという問いは盲点だった。

    「キリスト教は、イヴはアダムを唆したとして女性蔑視の傾向がある」だとか
    「楽園を追放されたことは今に続く辛い現世の始まり」といった印象は、
    確かにそう主張する勢力もある一方、
    時代が下る中で有力な解釈になったり、
    反対の主張の方がむしろ主流の時代があったり、
    折衷案や全く別の解釈があったりと、
    思想の多様さ奥深さを知ることができた。

    表題を

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    2022年02月18日
  • キリストの身体 血と肉と愛の傷

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    この本好き。何度でも読んでしまう。
    手に取るたび、初読時の
    「そういえばイエスは磔にされたんじゃん!
    身体って大事なテーマじゃん!」と
    興奮気味に読んだのを懐かしく思い出す。

    偶像崇拝を禁ずるユダヤ教、
    それがベースにあるキリスト教について
    「キリスト教=精神重視」という
    聞きかじっただけの知識を改めさせられた。

    人の手によらず出来上がったもの、
    人の手によらず複写されたものという考え方や、
    同質と類似の混同等、
    興味深いテーマが盛りだくさん。

    この本をきっかけに岡田温司著の
    新書を集めることになった。

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    2022年02月18日
  • 処女懐胎 描かれた「奇跡」と「聖家族」

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    処女懐胎というタイトルが冠された絵画
    (マリアのもとに大天使ガブリエルが訪れてるアレ)の、
    あの1場面についての本かと思っていたら違った。
    もっと広範囲、そして当時の社会の様子まで言及されていた。
    副題の「描かれた「奇跡」と「聖家族」」こそ重要。

    マリアの母アンナの章が刺激的。
    アンナの三度婚(トリヌビウム)による
    三世代の親戚が集まった絵が
    15世紀の北方でもイタリアでも
    ノスタルジックだったのが印象的。

    私自身も幼い頃は休みに祖父母の家で
    叔父叔母や従兄弟たちと食卓を囲んだなぁ。

    アンナについて、彼女の祝日に追放事件があったことから
    フィレンツェにおいて政治的シンボルになったという話

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    2022年02月18日
  • ビジネス教養としてのアート

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    めちゃくちゃ面白かった!とにかくメモが多い。うまく転用して活かしてみたい。

    ・起こる事象にどのような反応するかは、個々人の内面が決める
    つまり、対象は鏡であり、起こる反応はその人の内面の心象風景そのものである
    例えば、奈良美知の作品を見て怖い、狂気を感じるのならば、その人の内面に子どものようの鋭さや狂気が宿っているのかもしれない

    ・エディション、価格をコントロールする

    ・日本社会におけるアート
    きれいなもの、美しいもの、技術高いもの、すなわち、わかりやすいもの、が評価されやすい。バブル期のラッセン等(キラキラでペラペラで中身がなかったとしても、わかりやすい美しさがあるので受け入れられやす

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    2021年11月07日
  • 処女懐胎 描かれた「奇跡」と「聖家族」

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     ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」に描かれた天使がユリエルだとは知らなかった。受胎告知でマリアの前に顕現したのはガブリエルだから「岩窟〜」もそうだとばかり。

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    2020年06月16日
  • 天使とは何か キューピッド、キリスト、悪魔

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     岡田先生の著書をひもとくのも3冊目。宗教学・図像学、二本の軸足を学際的に広げてゆく筆勢が心地よい。
     14世紀、音楽がモノフォニーからポリフォニーへ発展するにつれ、絵の中の天使たちが楽器を手にするようになったという指摘に感心する。また、初期の音楽は器楽より声楽が高く位置づけられていたのも知らなかった。それで「天使の歌声」なのか。
     160ページの引用図版、ブレイクによるサタンの絵が素晴らしい。私が悪魔なら「どこまでもついてゆきます!」と言いたくなるところ。

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    2020年02月04日
  • マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女

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    前半のスリリングさは後半にはないんだけども、面白かった

    インターネット以降の時代には、こういう情報の流転はどうなってくんでしょうね
    出版印刷より前の時代、一次資料ってものにあたれない時代に起こる情報の編集というのは面白い

    ポストトゥルースというけども、トゥルースな時代なんてあったのかな、それっぽいのがあったとしてもめっちゃ短い一瞬だったんだろうな、インターネットが一瞬描いた夢なんだろうな

    新約とか読んでもマグダラのマリアとかほとんど出てこないのに、どっからあんなイメージ出て来てんのかな、と思ってたのが納得できる

    これで外典とかあたり始めたらまた大変なことになるからそこは避ける

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    2018年11月19日
  • マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女

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    大変な力作である。エヴァでも、マリアでもない、マグダラのマリア。絵画、彫刻、文学を題材に、時代を経ながら、豊かなイメージの源泉であり続ける彼女を浮かび上がらせた著者の該博さと構想力は見事。

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    2016年05月21日
  • アダムとイヴ 語り継がれる「中心の神話」

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    アダムとイヴについての4つの物語を豊富な美術作品で解説。人間の創造、エデンの園、原罪と追放、エデンの東。

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    2013年03月24日
  • 開かれ

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    二十世紀の人間を語りながら人間が差別し絶滅させた戦争と収容所体験をもった人類が到達すべき思想の欠片だと思う名著。

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    2012年05月17日
  • 処女懐胎 描かれた「奇跡」と「聖家族」

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    美術の勉強に読みました。授業で習ったことの復習にもなったし、きちんとまとめられている本として読んだことで、頭の中にあった雑多な情報がきちんと整理された気がします。

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    2011年09月16日
  • キリストの身体 血と肉と愛の傷

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    [ 内容 ]
    キリスト教にとって大切なのは、身体ではなく精神、肉体ではなく霊魂ではなかったか。
    しかし、キリストの身体をめぐるイメージこそが、この宗教の根幹にあるのだ。
    それは、西洋の人々の、宗教観、アイデンティティの形成、共同体や社会の意識、さらに美意識や愛と性をめぐる考え方さえも、根底で規定してきた。
    図像の創造・享受をめぐる感受性と思考法を鮮烈に読み解く、「キリスト教図像学三部作」完結篇。
    図版資料満載。

    [ 目次 ]
    第1章 美しいキリスト、醜いキリスト
    第2章 パンとワイン、あるいはキリストの血と肉
    第3章 肖像と形見
    第4章 キリストに倣って(イミタティオ・クリスティ)
    第5章 

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    2011年04月03日
  • マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女

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    現在読んでいる本です。これ凄いね。わかりやすい。もうちょっとボリュームが欲しかったところですが、丁寧で良いです。でも図がちょっとわかりにくい。レイアウトをなんとかしたほうがよい気がせんでもない。

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    2009年10月04日
  • マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女

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    これは最高に良かった。
    面白かったし、分かりやすかったし、美術史や宗教史と挟んで、文学論や文学史があるので、飽きなかった。(切っても切れないという理由もあるのだけれど…)
    論理的で文学的。
    私にとっての教科書。

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    2009年10月07日