岡田温司のレビュー一覧

  • アダムとイヴ 語り継がれる「中心の神話」
    馴染みのあるテーマにも関わらず
    違和感のある図像が多くあった印象。
    自分は「その時代で異端でない」ものを
    多く見てきただけなんだな。

    『創世記』に人間の創造の場面が二度あるのが面白い。
    イヴが生まれる前のアダムは両性具有なのかという問いは盲点だった。

    「キリスト教は、イヴはアダムを唆したとして女...続きを読む
  • 西洋美術とレイシズム
    東方三博士等、黒人の姿で描かれているものについて
    「そういうもの(伝統)なんだろうな」で済ませていたものが、
    実は聖書にも記述の無いことだったり、
    奴隷や植民地への眼差しが含まれていたことを知った。

    女性・非嫡出子・難民…逆境に置かれない人を探すのが難しいくらい。
    赤く平たい帽子・「悪魔の縞」模様...続きを読む
  • 天使とは何か キューピッド、キリスト、悪魔
    キューピッドと天使が習合するのは容易に想像できるが、
    キリストと天使の境界も曖昧だったとは驚き。
    そういえばロビンソン・クルーソーにも
    キリストは天使か否かの話がチラッと出てきた。

    俗なものと見なされていたものが
    聖なることとみなされるようになっていく様子が
    天使の描かれ方・解釈のされ方で見えてく...続きを読む
  • 処女懐胎 描かれた「奇跡」と「聖家族」
    処女懐胎というタイトルが冠された絵画
    (マリアのもとに大天使ガブリエルが訪れてるアレ)の、
    あの1場面についての本かと思っていたら違った。
    もっと広範囲、そして当時の社会の様子まで言及されていた。
    副題の「描かれた「奇跡」と「聖家族」」こそ重要。

    マリアの母アンナの章が刺激的。
    アンナの三度婚(ト...続きを読む
  • キリストの身体 血と肉と愛の傷
    この本好き。何度でも読んでしまう。
    手に取るたび、初読時の
    「そういえばイエスは磔にされたんじゃん!
    身体って大事なテーマじゃん!」と
    興奮気味に読んだのを懐かしく思い出す。

    偶像崇拝を禁ずるユダヤ教、
    それがベースにあるキリスト教について
    「キリスト教=精神重視」という
    聞きかじっただけの知識を...続きを読む
  • ビジネス教養としてのアート
    めちゃくちゃ面白かった!とにかくメモが多い。うまく転用して活かしてみたい。

    ・起こる事象にどのような反応するかは、個々人の内面が決める
    つまり、対象は鏡であり、起こる反応はその人の内面の心象風景そのものである
    例えば、奈良美知の作品を見て怖い、狂気を感じるのならば、その人の内面に子どものようの鋭さ...続きを読む
  • 処女懐胎 描かれた「奇跡」と「聖家族」
     ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」に描かれた天使がユリエルだとは知らなかった。受胎告知でマリアの前に顕現したのはガブリエルだから「岩窟〜」もそうだとばかり。
  • 天使とは何か キューピッド、キリスト、悪魔
     岡田先生の著書をひもとくのも3冊目。宗教学・図像学、二本の軸足を学際的に広げてゆく筆勢が心地よい。
     14世紀、音楽がモノフォニーからポリフォニーへ発展するにつれ、絵の中の天使たちが楽器を手にするようになったという指摘に感心する。また、初期の音楽は器楽より声楽が高く位置づけられていたのも知らなかっ...続きを読む
  • マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女
    前半のスリリングさは後半にはないんだけども、面白かった

    インターネット以降の時代には、こういう情報の流転はどうなってくんでしょうね
    出版印刷より前の時代、一次資料ってものにあたれない時代に起こる情報の編集というのは面白い

    ポストトゥルースというけども、トゥルースな時代なんてあったのかな、それっぽ...続きを読む
  • マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女
    大変な力作である。エヴァでも、マリアでもない、マグダラのマリア。絵画、彫刻、文学を題材に、時代を経ながら、豊かなイメージの源泉であり続ける彼女を浮かび上がらせた著者の該博さと構想力は見事。
  • アダムとイヴ 語り継がれる「中心の神話」
    アダムとイヴについての4つの物語を豊富な美術作品で解説。人間の創造、エデンの園、原罪と追放、エデンの東。
  • 開かれ
    二十世紀の人間を語りながら人間が差別し絶滅させた戦争と収容所体験をもった人類が到達すべき思想の欠片だと思う名著。
  • 処女懐胎 描かれた「奇跡」と「聖家族」
    美術の勉強に読みました。授業で習ったことの復習にもなったし、きちんとまとめられている本として読んだことで、頭の中にあった雑多な情報がきちんと整理された気がします。
  • キリストの身体 血と肉と愛の傷
    [ 内容 ]
    キリスト教にとって大切なのは、身体ではなく精神、肉体ではなく霊魂ではなかったか。
    しかし、キリストの身体をめぐるイメージこそが、この宗教の根幹にあるのだ。
    それは、西洋の人々の、宗教観、アイデンティティの形成、共同体や社会の意識、さらに美意識や愛と性をめぐる考え方さえも、根底で規定して...続きを読む
  • マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女
    現在読んでいる本です。これ凄いね。わかりやすい。もうちょっとボリュームが欲しかったところですが、丁寧で良いです。でも図がちょっとわかりにくい。レイアウトをなんとかしたほうがよい気がせんでもない。
  • マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女
    これは最高に良かった。
    面白かったし、分かりやすかったし、美術史や宗教史と挟んで、文学論や文学史があるので、飽きなかった。(切っても切れないという理由もあるのだけれど…)
    論理的で文学的。
    私にとっての教科書。
  • マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女
    マグダラのマリアの聖性と娼婦性がどのようにして形成されてきたかを、絵画を中心にして明らかにしたもの。読みやすい。
  • キリストと性 西洋美術の想像力と多様性
    キリスト教に関する人物や有名な場面をベースに、イエス、ヨハネ、ユダ、マグダラのマリアなどの絵画からジェンダーを超えた論考が楽しめるユニークな本だ.ユダは本当に裏切り者なのかとの設問で展開する部分が楽しめた.キリストを女性として扱った絵画がこんなに沢山あるのに驚いた.父、子、聖霊をまとめて三位一体と称...続きを読む
  • キリストと性 西洋美術の想像力と多様性
    キリスト教の深層を見た思いだ。
    何と豊かな土壌から産まれ、育まれたことだろう。
    今は痩せ細っているにしても、元はこれほど旺盛なエネルギーに満ちていたのだ。それは宗教だけに限らず、性を消費してしまっている現代人の貧しさを見るようでもある。

    性と土俗性を忘れてはいけない。
  • 反戦と西洋美術
    著者の強い思いを感じます。
    知らなかった画家、スルーしていた絵、
    今、こうやって解説していただくと
    こちらにも迫ってくるものがあります。
    勉強になりました。
    もうちょい絵がカラーで大きかったら、
    と思いましたが。