【感想・ネタバレ】マグダラのマリア エロスとアガペーの聖女のレビュー

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Posted by ブクログ

非常に面白い。
これ程ダイナミックで多面的なアイドルがかつていただろうか。
まるで合わせ鏡の奥の奥を覗くようなスリルと
痛みや苦痛の内側にある真の無垢さと人間らしさ
そしてキリストが人間の罪を受け止めるように
彼女は人々の感情を全て生身で受け止めるかのようで
無原罪の御宿りの聖母マリアにはない優しさ
厳しさがマグダラのマリアにはある。

これ程に様々なレッテルを貼られながらも
マグダラのマリアはマリアと言う名に恥じず
不動の地位を守り続けている

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2024年05月07日

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前半のスリリングさは後半にはないんだけども、面白かった

インターネット以降の時代には、こういう情報の流転はどうなってくんでしょうね
出版印刷より前の時代、一次資料ってものにあたれない時代に起こる情報の編集というのは面白い

ポストトゥルースというけども、トゥルースな時代なんてあったのかな、それっぽいのがあったとしてもめっちゃ短い一瞬だったんだろうな、インターネットが一瞬描いた夢なんだろうな

新約とか読んでもマグダラのマリアとかほとんど出てこないのに、どっからあんなイメージ出て来てんのかな、と思ってたのが納得できる

これで外典とかあたり始めたらまた大変なことになるからそこは避ける

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2018年11月19日

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大変な力作である。エヴァでも、マリアでもない、マグダラのマリア。絵画、彫刻、文学を題材に、時代を経ながら、豊かなイメージの源泉であり続ける彼女を浮かび上がらせた著者の該博さと構想力は見事。

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2016年05月21日

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現在読んでいる本です。これ凄いね。わかりやすい。もうちょっとボリュームが欲しかったところですが、丁寧で良いです。でも図がちょっとわかりにくい。レイアウトをなんとかしたほうがよい気がせんでもない。

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2009年10月04日

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これは最高に良かった。
面白かったし、分かりやすかったし、美術史や宗教史と挟んで、文学論や文学史があるので、飽きなかった。(切っても切れないという理由もあるのだけれど…)
論理的で文学的。
私にとっての教科書。

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2009年10月07日

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マグダラのマリアの聖性と娼婦性がどのようにして形成されてきたかを、絵画を中心にして明らかにしたもの。読みやすい。

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2009年10月04日

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ネタバレ

福音書に記述がないにも関わらず、
娼婦・宮廷婦人・修道女etcとして
イヴと聖母マリアの橋渡しとなってきた
マグダラのマリア。

模範でも警鐘でもあった彼女の図像は振り幅が大きい。
悔悛というテーマを内包した結果、
メランコリーやウァニタスとイメージが重なったり、
修隠生活を描いたものが異教的な画面になったりと、
あらゆる思想の受け皿になっていたのが印象的。

絵画を通じてなんとなく知っていた
マグダラのマリアのイメージと
違うものを知ることができて良かった。
モノクロではあるものの図版多数で嬉しい。

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2022年02月18日

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女性史やキリスト教についての内容以上に、芸術についての記述が多数を占めている。
それにがっかりしたわけではなく、むしろそこから女性史やキリスト教が見えてくる。

古代キリスト教から世界宗教となった現在に至るまで、淫売、娼婦であったマグダラのマリアが尼僧の象徴のようになり聖女として崇拝され、現在ではイコンとなっている。

大変面白く読むことができました。

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2017年02月03日

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マグダラのマリア,聖書に出てくるのは知っていたが,ヨーロッパの世界でこれまで注目を集めている存在であったとは驚きだ.確かに元娼婦で悔い改めたことは事実だが,女性の象徴的な存在となり,数多くの絵画や詩に出現している.なぜここまでこのマリアに囚われるのかよく理解できない.カラヴァッジョとレーニの絵画での扱いを考察した第3章「娼婦たちのアイドル」が楽しく読めた.著者の考えの推移が文章の流れで把握できる,のめり込むような書き方が良い.

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2016年12月08日

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古書店にて108円で。主にイタリアを中心とした美術・文学・宗教のテキスト解読を通じて、西洋の想像力にとってこの聖女がどのような役回りを演じたかを詳らかにしている。四福音書には〈回心した娼婦〉という現在の一般的な見方を特徴づけるいかなる記載も見当たらず、ルカ福音書の〈罪深い女〉や〈ベタニアのマリア〉をマグダラのマリアに結びつけたのは、典礼や聖歌の完成者でもある教皇大グレゴリウスによるものなのだという。娼婦にして聖女という二律背反的性質は、実は後世に作られた作為的なものなのだ。

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2016年02月14日

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聖書においてマリアと呼ばれる女性は複数存在する。その中で筆頭に来るのは当然に聖母マリアなわけだが、その次はといえばキリストと行動を共にし磔刑と復活とに立ち会ったマグダラのマリアということになる。娼婦から悔悛しキリストの死に相対したマグダラのマリアは、聖処女としてキリストの生誕を担ったマリアとは好対照の存在であり、古今数多くの美術作品のモチーフとされてきた。
しかし、マグダラのマリアが娼婦でありやがて悔悛したということは、新約聖書の四福音書のどこにも書かれていない。それどころか、グノーシス主義の影響を受けた外典の福音書には、預言者・幻視者として卓越した能力を持つ彼女の姿が描かれている。
現在僕たちが知ることのできるマグダラのマリアの姿は、決して初めから固定化されたものではなく、時代ごとの趨勢や要請に応じてその意味づけを変えてきたものであるといえる。聖と俗、敬虔と官能、精神性と肉体性、あるいは人を原罪へと至らしめたエヴァと聖母マリアとの間の存在、そうした両義性を必然的に内包するからこそさまざまな解釈が存在する。そうした変化のなかで「罪深き女」というイメージも付与されてきた。
そんな、時代によって変転するマグダラのマリアを、多くの美術作品を参照しつつ丹念に追っていく。そこには多様な性格を与えられたさまざまなマグダラのマリアがいる。時代ごとにマグダラのマリアの意味づけ・解釈は変わり、そのたびに作品に描かれるマグダラのマリアはその姿を変える。その意味で、作品に表現されたマグダラのマリアの多様なバリエーションを紐解く作業とは、彼女を軸とした西洋美術の歴史を俯瞰することであると同時に、キリスト教信仰の歴史を振り返る作業でもある。

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2014年10月26日

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キリスト教に馴染みの薄い日本人だと"マグダラのマリア"という言葉と娼婦から聖女になったというイメージだけがひとり歩きしてしまっている感もありますが、本書では、そんな彼女について、聖書内での記述の検証から始め、バロック期からルネサンス期の絵画を中心に、彼女がいったい何者なのかを探っていきます。あまり宗教論にならず、あくまで美術史から検証されているので、キリスト教に馴染みが薄くても読みやすいと思います。参考として挙げられている絵画が口絵以外、全てモノクロなのがちょっともったいないと感じました。

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2014年09月09日

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絵画や彫刻の面からみた、マグダラのマリア論。男性優位のキリスト教会において、マグダラが不当に貶められてきたことは疑いもないことですが、聖女として扱われたり娼婦として扱われたりしてきたなかにおいても、マグダラは美しい女性として繰り返し描かれてきたのですね。
「改悛のマグダラ」はあちこちで見て知っていたのですが、マグダラがサント・ボームの洞窟に引きこもって瞑想と苦行に余生を捧げたことは知りませんでした。

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2011年05月17日

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ネタバレ

[ 内容 ]
聖母マリアやエヴァと並んで、マグダラのマリアは、西洋世界で最もポピュラーな女性である。
娼婦であった彼女は、悔悛して、キリストの磔刑、埋葬、復活に立ち会い、「使徒のなかの使徒」と呼ばれた。
両極端ともいえる体験をもつため、その後の芸術表現において、多様な解釈や表象を与えられてきた。
節にして淫ら、美しくてしかも神聖な、“娼婦=聖女”が辿った数奇な運命を芸術作品から読み解く。
図像資料多数収載。

[ 目次 ]
第1章 揺らぐアイデンティティ(福音書のなかのマグダラのマリア;外典のなかのマグダラのマリア;「罪深い女」=マルタの姉妹ベタニアのマリア=マグダラのマリア;隠修士としてのマグダラ;『黄金伝説』のなかのマグダラ)
第2章 マグダラに倣って(イミタティオ・マグダレナエ)(フランチェスコ修道会;ドミニコ修道会;信者会(コンフラッテルニタ)とマグダラ 聖女たちの規範としてのマグダラ サヴォナローナとマグダラ)
第3章 娼婦たちのアイドル(一四世紀のナポリ;一五世紀のフィレンツェ;16世紀のローマ;17世紀のローマ)
第4章 襤褸をまとったヴィーナス(「この上なく美しいが、またできるだけ涙にくれている」;「何と美しいことか、見なければよかったほどだ」;「たとえ深く傷ついた人でも、なおも美しいということはありうるだろう」;エヴァと聖母マリアのあいだ;ジョヴァンニ・バッティスタ・マリーノの詩)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年04月04日

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いつものように豊富な文献・図像をもちいた、わかりやすい「マグダラのマリア」論。この一冊で、西洋社会においてマグダラのマリアという存在がどのようにして生まれ、どのように消費されていったのかが説明されている。とくに面白かったのはバロックにおける多様性・多義性の議論。過去の著作物の中でも何度か言及されていたような気がするけれど、あらためて著者のバロック論というものをまとめてくれたらいいのに、などと勝手なことを思った。

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2010年12月02日

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『マグダラのマリア―エロスとアガペーの聖女』(岡田温司、2005年、中公新書)

新約聖書の福音書に登場する、娼婦でもあり聖女でもある「マグダラのマリア」。本書は、この女性は一体どのような人物なのかということ、この女性が中世においてどのように人々に―あるいは芸術作品として―とらえられてきたのかについて解説している。

僕はキリスト教が専門ではないので、非専門外の人がこれを一回の通読で理解するのは不可能だったのですが、イエスの使徒の使徒とも称されるマグダラのマリアについての若干の、表面上の知識にはなったかなとは思います。

(2010年10月28日 大学院生)

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2010年10月28日

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その身から悪魔を追い出して貰ったことからイエスに付き従い、磔刑を見届け、復活の場面にも居合わせた、マグダラのマリア。その後はマルセイユ郊外の洞窟で、瞑想と苦行に余生を捧げた、という伝承が残っている。キリスト教史には改悛のシンボルとして大きな影響を与え、数多くの芸術作品のイマジネーションの源泉となってきた聖女の姿を、様々な視点から描き出す。

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2012年09月28日

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原罪を持つエヴァと穢れ無き処女マリアの間の女性、マグダラのマリア。

多くの絵版と分かりやすい文章で読みやすかった。

そもそもマグダラのマリアはキリストの復活という重要なモチーフの証言者でありながら聖書では曖昧な存在である。
4つの主たる聖書の中で存在を否定的に書くものもあれば、好意的に記録しているものもある。
彼女に好意的ではなかったであろうペテロが教皇の座につく事で、彼女の偶像は娼婦、悪徳からの回心のイメージがついてまわるようになる。

欲望にその身を委ねながらも、イエスの教えに回心し、天上へ昇る事を許された女使徒。
そのモチーフは芸術家達の創造性を刺激し、貞淑にして淫ら、美しくかつ敬虔という相反する要素の表現に苦心させた。

何はともあれ豊富な図版がいい。

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2010年08月15日

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父親の本棚から拝借。マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの福音書それぞれにマグダラのマリアへの位置づけが違う。キリストをもっとも愛し、キリストにもっとも多く愛された悔悛の聖女。

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2009年10月04日

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映画「ダヴィンチコード」が流行っているらしく、ネット上どこへ言ってもそんな言葉やダヴィンチの絵などがあるので、この本を本棚から取り出してきた。

この本は上野の美術館で買った。キリスト教文化になじみのない日本人でもマグダラのマリアは、それでも有名なほうだと思う。ヨーロッパの絵などによく書かれているし。確かこの本を買った日も、何枚かのマグダラのマリアが描かれた絵を見たように思う。

マグダラのマリアはイエスと結婚していて子どもまで身ごもっていた。そのときの様子を描いたのが「モナリザ」だという説もある。
絵の中のモナリザは、黒い髪を結わえずに垂らし、黒い服を着ている。これは当時の身分の低い女性なのだそう。(娼婦だったマグダラを連想させる)腹部に手をあてて、さらにおなかがふっくらしていることから、この女性は妊婦であるとも言われていて、イエスの子を身ごもったマグダラだという説、私はありえないことではないと思う。
ダヴィンチは有能な神学者でもあったわけで、研究の末、マグダラとイエスが結婚していた、と分かったのかもしれないし。


ということは、この本には書かれていないのですが(笑)。

マグダラという女性は、私が思っていたよりは、実は鮮明な記録が残っていないよう。
つまり、聖書や福音書の記述を深読み(ときには別の女性と複合させて)して、できた女性像が、マグダラのマリア。
時代の流れの中、教義の中、説教の中で、マグダラのマリアは少しずつ存在を変えてきた。


エロスとアガペー、二面性を持つこの女性は、とっても刺激的で魅力的だ。

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2009年10月07日

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回心した娼婦、聖女にして娼婦というイメージを持つ彼女であるが、聖書を紐解くとキリストの磔刑、埋葬、復活といった場面に登場するものの、罪や悔い改めといったテーマには直接関係していないことを指摘する。
では、いつ、どのようにしてこのようなマグダラ像が形成されてきたのか。時代、宗派、地域などの視点から豊富な絵画・彫刻などの紹介も交えて解説。

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2022年12月10日

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〈「復活」の最初の証人〉であり、〈最初の「使徒」〉にもなる
=「使徒たちの女使徒アポストロールム・アポストラ」

ヨハネ解釈とマタイ解釈
美術ではマタイのほうが多い

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アダムのような両性具有的存在への回帰や、あるいは、苦行者たちの禁欲主義的なジェンダー放棄の精神

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Renaissanceがヴィーナスにしょうち象徴されるなら、baroqueはマグダラのマリアによって象徴される

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2022年10月29日

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ネタバレ

キリスト教には二人のマリアが存在する。聖母マリアと罪深きマグラダのマリアである。西洋世界におけるマリア信仰の歴史についての本を読み、マグラダのマリアに興味を持った。原田マハの小説に「まぐらだ屋のマリア」と言う題名のものがある。原田さんの作品の代表作の一つと思っているが、何故この題名なのかと思っていたが、マグラダのマリアの話を題材としている意味が今回改めて理解でき再読しようと思った。
マグラダのマリアは聖女でもあり、娼婦でもある。正しく言えば自らの罪を回心し、聖女になったということである。聖女マリアは言うまでもなく聖なる存在、人々を疫病、災い等から救済する、あたかもキリストのように。一方で、罪深きマリアは罪を悔い、キリストに仕え、聖なるマリアよりもキリストにキリストに近い存在として聖書等に伝えられている。西洋絵画でマグラダのマリアは多くの作品の題材とされているがとても矛盾した要素を含んでいる。貞節と淫ら、美しさと官能。聖女マリアがより神に近い存在であるに比して、マグラダのマリアは人間に近く、人の罪深さを象徴していると感じた。多くの宗教が人間は本来罪深い存在とするところから始まるが、人はいつまでも罪深いものであり、罪から逃れられないのではないだろうか。

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2020年12月20日

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授業でやった時は何が何だかさっぱり分からなくなりましたが、この本できれいさっぱり解決しました。でも、処女懐胎の方が面白かったかな?個人的には。

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2011年09月16日

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聖母マリアの純潔とエヴァの原罪の間に配置されたマグダラのマリアは、解釈によって都合よく利用/消費された。
15世紀までの教会によって規制・教化された図像に為政者である教会・修道会の権力性を、16世紀以降のバロック・ルネサンス期の図像に受容者の欲望を考えさせられる。

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2010年10月26日

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苦手な新書を読もうキャンペーン!

主に絵画を通してマグダラのマリアが時代によってどのように認識されてきたか、
その変貌を辿る、というような本。

ふつうにおもしろかったですよ。

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2010年08月18日

Posted by ブクログ

ダヴィンチコード以来興味をもったので。ベタなミーハーですが。でも、ダヴィンチコードで言われるマグダラのマリアがキリストの子供を産んだというのはどうも信じられない話な気がした。髑髏をまとった聖女っていうその矛盾したような美しさに私は魅力を感じる。マリアがキリストを愛した気持ちっていうのが、宗教的な神への愛というより普通の人間的な、人を愛する愛情なのではないかと思えて聖女なのに他の聖人よりも親近感を抱いてしまう。それから絵画に描かれる彼女が美しすぎて挿絵をみるだけでも楽しめた。

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2009年10月07日

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ふとしたことから新約聖書に興味を持ったときにその存在をはじめて知りました。女信者として後世に娼婦あがりとかいろんな汚名を着せられる運命にあるとは夢にも思わなかったでしょうね・・・。

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2009年10月04日

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