あらすじ
処女にしてキリストを宿したとされるマリア。処女懐胎はキリスト教の中心に横たわる奇跡であり、夥しい図像を生み出してきた。「無原罪」の「~がない」という否定形の図像化一つとってみても、西洋絵画に与えたインスピレーションは巨大である。また、「養父」ヨセフや、「マリアの母」アンナはどのように描かれてきたのか。キリスト教が培ってきた柔軟な発想と表象を、キリストの「家族」の運命の変転を辿りつつ描き出す。
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Posted by ブクログ
処女懐胎というタイトルが冠された絵画
(マリアのもとに大天使ガブリエルが訪れてるアレ)の、
あの1場面についての本かと思っていたら違った。
もっと広範囲、そして当時の社会の様子まで言及されていた。
副題の「描かれた「奇跡」と「聖家族」」こそ重要。
マリアの母アンナの章が刺激的。
アンナの三度婚(トリヌビウム)による
三世代の親戚が集まった絵が
15世紀の北方でもイタリアでも
ノスタルジックだったのが印象的。
私自身も幼い頃は休みに祖父母の家で
叔父叔母や従兄弟たちと食卓を囲んだなぁ。
アンナについて、彼女の祝日に追放事件があったことから
フィレンツェにおいて政治的シンボルになったという話はもっと読みたい。
Posted by ブクログ
ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」に描かれた天使がユリエルだとは知らなかった。受胎告知でマリアの前に顕現したのはガブリエルだから「岩窟〜」もそうだとばかり。
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美術の勉強に読みました。授業で習ったことの復習にもなったし、きちんとまとめられている本として読んだことで、頭の中にあった雑多な情報がきちんと整理された気がします。
Posted by ブクログ
#2025年に読んだ本 9冊目
#2月に読んだ本 3冊目
聖母マリアやヨセフなどの
キリスト教美術における変遷が追えて
大変興味深い内容でした
異教徒で邪教徒な私のものの見方からすると
キリスト教の世界って
誰かの嘘とか妄想に
また誰かの願望や妄想が
次々に重なり合って
もはや原型が見失われた
壮大なファンタジー世界のように
思えてしまう…
人間の原罪ってゆうのは
もはや人間の想像力のことなんでねーの?
って気もするし
イエスって偶像の中のトップ偶像で
受難とか犠牲ってのは
人の妄想によって個人としての人間性が
なかったことにされて
人々の願望で神様に祭り上げられて
しまったことを指すのでは?
なんて気もしてしまう…
罪深いわね…
Posted by ブクログ
19
エペソス公会議「神の母」
正確には「神の母」というよりも、「受肉した御言葉の母」というべき
24
近代医学以前の「胎児」観
・ヒポクラテス
・アリストテレス
・折衷案としてのガレノス
72
ロレンツォ・ロット
奇跡の誕生よりも普通の人間と同じように生まれたと暗に示す
80
何かを描くこと、つまり何かが「ある」ことを見せることによってしか、何かが「ない」ことを表現できない
81
キリストの「両親」であるマリアとヨセフの関係は、ある意味で、その祖父母であるアンナとヨアキムによって先取りされていた
87
予防的贖罪
コンドーム
97
235
聖家族の歴史社会学的考察
Posted by ブクログ
イエス・キリストの母マリアを中心に、"養父"ヨセフや"マリアの母"アンナが中世では、どのように考えられていたか、旧約聖書、新約聖書、聖書外典からスタートし、絵画や彫刻を通して考察しています。タイトルだけだと、もっと宗教色の強い内容を想像しましたが、どちらかというと美術史としての色合いの濃い内容です。今まで、イエスの誕生というのは、キリスト教として一番重要な部分ではないかと思っていましたが、時代や政治的要求によって、だいぶ解釈が変わっているのだなと分かりました。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
処女にしてキリストを宿したとされるマリア。
処女懐胎はキリスト教の中心に横たわる奇跡であり、夥しい図像を生み出してきた。「無原罪」の「~がない」という否定形の図像化一つとってみても、西洋絵画に与えたインスピレーションは巨大である。
また、「養父」ヨセフや、「マリアの母」アンナはどのように描かれてきたのか。
キリスト教が培ってきた柔軟な発想と表象を、キリストの「家族」の運命の変転を辿りつつ描き出す。
[ 目次 ]
第1章 マリアの処女懐胎
第2章 無原罪の御宿り
第3章 「養父」ヨセフの数奇な運命
第4章 マリアの母アンナ
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