名和高司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2023年58冊目。満足度★★★★☆
著者は東大法学部卒、三菱商事に入社後、ハーバードMBAを取得、あの大前研一氏がまだ在籍していた頃含めてマッキンゼーで約20年間コンサル業務に従事した経歴を持つ
出版時の肩書きは一橋大学ビジネススクール客員教授
本書はコロナ禍、半年間のリモートワークの生活の中で、古今東西の名著も参照しながら書き上げたもの
一言で言えば、依然としてパッとしない日本企業が本来の力を取り戻して、もっと世界で活躍するための課題提起をした大著(約500ページ)
一部箇所では正直表現がやや冗長な部分もあるが、現在も含めて日本の100社を超える先にコンサル活動をしてきた経験も踏 -
Posted by ブクログ
世界の経済界を代表する4人のうちの一人と言う。(あとはアダム・スミス、カール・マルクス、ジョン・メナード・ケインズ)これは知らなかった。
29歳の時に「イノベーション」と言う概念を初めて世に問い、「イノベーションの父」と呼ばれる。
彼は、アイデアはただのゴミで、それより既にあるものを組み合わせることこそ大切で、イノベーションこそが資本主義の本質だと言う。
0→1ではなく、1→10そして100へとスケールすることが重要だと。
彼は異端の学者だったが、彼の価値を再発見したのは、かのピーター・ドラッカー。
シュンペーターの思想の最大の特徴は、時間軸を10~50年スパンでとることで経済を波動とし -
Posted by ブクログ
パーパス経営によって志本主義の実現を提唱しようとしていると捉えた。「志」は行動の原動力となるため重要というのは痛感している。ただ、経営本の読み方が下手なのはありそうだが、パーパス経営を伝えるために本当に500ページも必要なのか、名和氏の言いたいことを全部詰め込んでしまっていて、論点がぼけてしまっているような気がした。実際、意図的か不明だが、ほぼ同一の表現の文章が2,3回、ページを跨いで登場してきたりして、冗長に感じる。様々な書籍の引用や事例紹介をしながら、著者の論理の補強をしており、日本語文章の書き方の上手さもあると思うが納得性は高い。ただ、両利きの経営について、要は~みたいな説明をするところ
-
Posted by ブクログ
前半〜中盤のコンサルテクニック、フレームワーク、マトリクスの使い方については、類書のようにただテクニックを当てはめるだけでなく、そこから独自のインサイトにどう結びつけるかというところまで踏み込んでおり、大変勉強になった。ただ、本書が売りにしている後半のコンサル凄技、超える部分は5分のマインドフルネスや真善美など寄せ集めの知識で使い方がよく分からないのですっ飛ばした。
2018年時点の企業の浮沈(ex.SONYのゲーム事業)だけで戦略的な成功失敗を論じていたり、不必要に哲学や心理学などの知識をひけらかして、薄っぺらい教養を散りばめている感じがいかにもMBAで鼻につくが、こういう部分に目を瞑ればと -
Posted by ブクログ
新旧様々なコンサル技法や経営学で議論される考え方を紹介しつつ、著者のより現代な観点でそれらの手法・考え方を再考した本。BCG流とマッキンゼー流の構図が興味深く、文章の納得感は高かった。最後の方で語られたAI台頭時代におけるコンサルの在り方について、AIを超えるには全く関連の無さそうなところを結び付けてみる...みたいな表現があったが、そこにロジックや納得感を持たせて経営陣を動かすことって相当難しそう…そしてその辺りも本当に現代のAIで不可能なのだろうか、と思った。データ分析者あるいはAIそのものに対するコンサルの立ち位置の厳しさを感じた。
-
Posted by ブクログ
MckとBCGというトップファームでキャリアを積まれた一橋ビジネススクール名和氏のコンサル論。両ファームの比較から始まり、フレームワークの重要性と限界、問題解決手法、これからの時代のコンサルに求められる価値創造まで、忌憚ない切れ味鋭い論法で面白い。IQのMckとEQのBCG比較(でもJQが大事)、MECE思考とそれを突破した先にこそ本質的価値があるといった実践経験が豊富な方だけが語れる凄みを感じる。本書を読むとMckにやや批判的でBCGにやや好意的かと思わせながら、Mckは好きなゆえに厳しい提言をしているのが読み取れる。特に大前氏との思い出を語る著者の文体は温かみがある。
本題とは逸れるが大前 -
Posted by ブクログ
ネタバレアイデアなんてただのゴミ!それより、既にあるものを組み合わせることの方が、桁違いに大きなものを生み出せる!iPhoneがその好例。
両利きの経営なんて時代遅れ!足元を見て、イノベーションを起こせ!
0→1が開発、1→10がマネタイズ、10→100がスケール化。0→1のアイデアは、奇抜な発明家や星屑ほどあるスタートアップに任せておけば良い!マネタイズ、スケール化が、本当のアントレプレナーの腕の見せ所!
最後の「もしシュンペーターが現代日本に現れたら」が、秀逸。
新しい資本主義?新しい社会主義を検討したら?志本主義なら、機能するかも?
ウェルビーイングなんて見果てぬ夢だ!
パーパス経営なんて -
Posted by ブクログ
著者の名和氏がスーパーハイキャリアで超博識過ぎて第Ⅰ部が空転しまくっている。あっちこっちに話題が飛び過ぎて説明を端折りまくり「これからはパーパスだ!」と結論ありきになっている。なので第Ⅱ部からが本番だ。ネスレやユニリーバ、ノボ・ノルディスク、堀場製作所などの具体的事例、禅など日本古来の風習や文化、マッキンゼーの回顧と一刀両断などなかなか面白い。コンセプトワードになるが「資本主義」ならぬ「志本主義」や新SDGsといった軸は明確。しかしそれが何なのかが情報量が多すぎるあまりはっきりしない。PurposeやMassive Transformtive Purposeは今の30代以下にすれば当たり前の話
-
Posted by ブクログ
【稲盛和夫と永守重信】
言わずと知れた京都発の世界的企業の経営者の二人の本質に迫った著書です。
二人に共通するのは、一意専心の心構え、そこにはニーチェの『汝の足下を掘れ、そこに泉あり』、専門分野をさらに深く掘り進めることによって新たな鉱脈を掘り出し、業容を拡大していく、このような基本を大切にしていることが理解できます。
また二人は中村天風の思想的影響を受けていることも共通しており、経営者としてブレのない力となっていることは、私たちビジネスパーソンにも見習うべきものだと思いました。
稲盛和夫さん90歳、永守重信さん77歳。
これからの日本、まだまだ牽引してもらいたいです。
-
Posted by ブクログ
ネタバレSDGs/ESGの波が来ている中、「そんな客観正義を示したところでステークホルダーの共感は得られないので、各企業が主観正義を打ち立てることが重要」という指摘には、納得させられた。確かに、SDGsと企業活動の紐付けやら、コーポレードガバナンスコードの全コンプライに勤しむ企業は多いが、義務感からやっているだけに見える。本来は、これを機会に、企業の志に立ち返ることが求められているのかも知れない。
一方、「ガバナンスは株主のためにやっていることで、株主資本主義から決別した今、そんなのは無用だ」という筆者の主張は極論な気がした。ガバナンスは株主のためだけにやっているわけではないし、会社は株主のものではな