名和高司のレビュー一覧
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日本の再発見。日本の強みや経験知の言語化と今日的な再定義。
表現に自信を感じるのは、作者の経験と実績からくる確信からか。日本の弱点とされる抽象化・理論体系化に、日本語ベースでやってやったぜ、という感じ。
コンサル出身だけあって、素材を大量に集めて分析し、日本をコンサル対象として編集加工して提供。顧客用に誂えているので独創性を感じてしまうが、発明的なものではなく、インプットとアウトプットの達人の技を見せられているといった方が適切か。
表現も作家というよりビジネスパーソンで、それも相まって、ちょっと無粋というか、野暮というか、要は直言。テーマによっては、興醒めというかペラい感もある。実用重視と言った方が良いのかも。
あと、自画自賛感というか、壮大なマウント、見下し、高いプライド、が通底しており、総じてセルフプロデュース臭がすごい。清々しいほどに謙虚さを微塵も感じない。
しかし、簡潔に響く鋭いフレーズが頻出することは事実で、参考になる。特に後半がすごい。前半の文化や学術の世界の中途半端で素人感のあるお披露目は、後半のための伏線で、本全体の体系感を演出するものだとわかり、まあ、よしとする。ここは謙虚に勉強させていただきます。なんか悔しいがw
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Posted by ブクログ
ネタバレしかし実際には、既存事業で成功しながら、自ら次々にイノベーションを仕掛けていく企業が少なからずいます。たとえば、任天堂、セブン-イレブン・ジャパン、ユニク口といった企業が代表例です。それぞれのケースの成功の本質はこの後すぐに検証しますが、これらの日本企業には重要な共通点があります。
それは、いずれの企業も、顧客が本質的に求めている価値を常に追い求め、コスト構造を徹底的に絞り込み続けるという点です。価値(スマート)軸とコスト(リーン)軸を同時に追求することから、「スマート・リーン」型と呼ぶべき事業モデルです(図2)。
このモデルは、価値とコストの積である価値双曲線を一挙に上方に押し上げる点において、いったんコストに基軸をおき、時間をかけて価値軸を上げていくクリステンセン・モデルよりも、はるかに破壊的な効果があるのです。
図の真ん中の「協創」は、自社の資産と他社の資産を組み合わせて新しい価値を生み出していく領域です。異質な知の新結合によって「スコープ(範囲)の経済」を追求することが、拡業型のイノベーションを起こすためのカギとなります。そのためには、異質なプレーヤーの多様な有形・無形資産が必要となるのです。
半導体産業では、自動車制御用のマイコンを開発するために、半導体メーカーが中心となって、自動車メーカーに加えて、家電メーカー、部品メーカー、組み込みソフト会社、半導体設備メーカーなど、多様なプレーヤーと協業を行っています。最近はクラウド・コンピューティングやスマート・グリッドなど、自動車周辺の情報のやりとりが必須となる中で、協業のパートナーも、通サービス事業者、ITサービス事業者、電気サービス事業者など、多様なインフラ事業者にまで協創の生態系は広がっています。
リクルートの場合、むしろ①の人材の獲得・育成や、②の権限・責任の与え方に、独特の工夫が凝らされています。
リクルートでは、このような強固なバック・ミドルの基盤の上に、フロント・ミドル
とコア・ミドルの仕組みが組み込まれているのです。
フロント・ミドルにおけるリクルートの最大の特徴は、このようにしてすり込まれた同社のDNAを色濃く持った社員が、顧客接点を持っている点です。「わからないことは客に聞く」がリクルートのマーケティング上のDNAです。特に未顧客・非顧客の不平・不満を深く理解し、これら将来の顧客に伝わりやすい媒体に落とし込んでいくセンスは卓越しています。
リクルートでは、バックやフロントがイノベーションの「現場」であるとすれば、コア・ミドルは常に黒子的な存在です。コアがつかさどっている機能は主に二つあります。
一つは、「ニューリング」と呼ばれるビジネスプランコンテストの事務局機能です。
ここでは、役員と新規事業開発室が中心となって、現場から上げられた事業プランと社内資産との整合性を検証します。そして、新規事業と既存事業の間での資産の「ねじれ」がある場合には、資産の流動化を働きかけます。
もう一つは、事業を実践する際の機能間の「つなぎ」を可視化し、メビウス運動がきちんと回っていることを定期的にチェックすること。「ナビゲーター」と呼ばれる支援機能です。フロントやバックが極めてパワーを持った組織であるだけに、コアは、このような調整・支援機能を果たすことで、全体のバランスを保つ働きに徹しているのです。
oー異質性の取り込み
リクルートのように、動的DNAが脈動しているような企業は残念ながら多くありません。一般の企業は、いったん学習したメビウス運動を何回も繰り返してしまいがちです。このような同質なサイクルから抜け出して、新たなメビウス運動を始動させるためには、社内外の異質なものをあえて取り込む仕掛けづくりが有効です。
リクルートはこれを人材レベルで行っているため、DNAそのものに異質な血が入り込んできます。しかし、一般の会社が少数の異質な人材を中途採用しても、DNAそのものが変質するほどのインパクトは期待できません。むしろ、事業を営む中で、異質な取り組みを仕掛けたほうが、効果的です。そのためには、大きく三つの手法が考えられます。
一つ目は、社内辺境型。社内に、これまでとはまったく異なったやり方を実験的に試みる組織を立ち上げます。自社に閉じたまま、突然変異を起こすことは極めて難しいものですが、できるだけ本体のDNAの影響を受けない「辺境」で、あえてこれまでの常識を打ち破る取り組みを仕掛けてみるのです。
三つ目は、第2章でもご紹介した「協創」です。社内辺境型もM&Aも、自社の中で学握するモデルであるのに対して、協創は他社と異質な知恵を出し合うことによって新しい価値を創造していくモデルです。そのためには双方に頼関係があり、お互いが持っている資産の補完性が高く、かつ、目指す方向を共有できることが大前提となります。そのうえで、パートナー間のウィン-ウィン関係を設計し、実現していくためには、極めて高度な関係構築能力が要求されます。
トヨタに代表されるように、日本企業は生態系の中で協創することを従来より得意としてきました。第2章でご紹介したユニクロと東レのバーチャルカンパニーは、最近の成功例です。同心円上の運動から大きく抜け出すためには、クラウドの「こちら側」の任天堂と「あちら側」の「はてな」が手を組んでいるように、より異質なプレーヤーとの協創を通じて、「脱学習」のサイクルを回すことが求められます。そのような脱学習をうまく仕掛けることができれば、ローリスクでハイリターンが期待できます。 -
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ー「構造と力」1
このように、一見トレードオフに見える二つの軸をあえて直交させるマトリクスを描いてみることは、「トレードオン」の可能性を考えるうえで、きわめて効果的な方法だ。
たとえば、品質とコストの関係、スピードと完成度の関係、自前主義と他力活用の関係などをマトリクスに示してみよう。常識的な二律背反を超えるアイディアが生まれてくるはずだ。
だから私はよく「北東(North East)に向かえ」と言う。北東、つまり右上である。
右上に向かえば、新しい解が見えてくる、というのが、このマトリクスの使い方だ。
これについては、第二部の第一一章で詳しく述べるが、ポスト構造主義の知恵でもある。ポーター流でデジタル思考に染まったコンサルは、「構造化」に走る。二軸をとって、ポジション(立ち位置)を明確にしようとする。マッキンゼーのあるシニアディレクターは、自らを「構造主義者」と自称して-らなかったくらいだ(そういえば、かれは、いつもマトリクスを書いていた)。
しかし、構造化するのは、出発点でしかない。構造の中に押し込んでしまうと、その構造から出られなくなる。スタテイックな戦略しか生まれてこないのである。
イノベーションは、ダイナミックな戦略を必要とする。イノベーションのチャンピオンともいえるスティーブ・ジョブズは、「Get out of box!」と唱え続けていた。私が大好きなジョブズの言葉を、紹介しよう。
The only way to come up with something new-something world-changing-is to think outside of the constraints everyone else has. You have to think outside of the artificial limits
everyone else has already set.(世の中を変えてしまうほどの新しいものを生み出すためには、みんなが駆だと思い込んでいるものを取り払ってしまうことだ。なぜなら、その壁はみんなの思い込みにすぎないから
だ)」
言い換えれば、構造の中に行儀よく納まる(ポジショニング)のではなく、構造を壊すことこそが、ダイナミックな戦略の醍醐味なのだ。箱(構造)の中に納まるのではなく、いかに箱から飛び出すか!
ただし、Out of Boxを目指すためには、まず Box(制約)がどこにあるかを見極める必要がある。だから構造化は、戦略を考える出発点としては意味があるのだ。柳井さんではないが、制約(パラドクス)が何かがわかれば、そここそイノベーションの仕掛けどころだ。 -
Posted by ブクログ
マッキンゼーとボスコンを両方経験している。名和さんだからこそ書ける本であり、さまざまな指標で比較される2社の違いが面白かった。
個人的には、ボスコンのような相手に気づかせるようなコンサルティングができるコンサルタントが、戦略だけではなく実行も推進していくことが魅力となるこれからにおいて、求められるようになると思う。
特に印象に残ったのは、人間力を豊かにする3つのPである。
perspective 自分らしい軸があるか
personality EQ JQが感じられるか
passion 本気度が感じられるか
また、複数の専門性を持つπ型人材となり、社会課題の解決のために自分の能力を発揮すると言う生き方をしていきたいと思うようになった
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Posted by ブクログ
均衡・脱成長主義は現実から目を背けた快楽主義でリスクでしかない。今こそ立ち上がり、行動する人になろう。
以下メモ
・資本主義の本質はイノベーションであり、イノベーションによって生産性・創造性を飛躍的に高め、利潤の再投資を促す。
・イノベーションとは内発的な活動であり、アントレプレナーは既存のものを組み合わせて筋の良い事業を創ることで創造的破壊を起こす。ただし0→1には価値がなく、真に重要なのはスケールと社内実装である。
・創造的破壊とは既存の秩序を破壊し、自社が保有する資産を取り出して組み換えること。(=新結合)
新結合は、異と異の融合でしか生まれない。
・目指すべきはマーケットアウト。需要・市場を創り出す力。 -
Posted by ブクログ
ー CSV経営を実現するためには、次の七つの点をクリアする必要がある。
①社会課題をどう捉えるか?
②大義はあるか?
③ 「ならでは」のひねりがあるか?
④儲けの仕組みにどう変換するか?
⑤誰をどう巻き込むか?
⑥ いかにスケールするか?
⑦いかに持続的成長を実現するか? ー
何を問えば良いのか分かれば、あとは考えるだけなので参考になった。
そこに志はあるか。
そこに徳はあるか。
これは、大企業になればなるほど大事な問いですね。
「あなたは本気でそれをやりたいのか」
という点も問い詰めたいですね。
最後に、サルトルのアンガージュマンについて触れているのが良い。
カントの定言命法とサルトルのアンガージュマンが私の行動原理ですので。なかなかうまくいきませんが…。