棚橋志行のレビュー一覧
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今や全米4大スポーツを超える人気とも言われる総合格闘技団体UFCの30年に渡る舞台裏を追った一冊。もちろん(?)PRIDEの話題は不可避なので日本人読者でも(日本の格闘技ファンこそ?)楽しめる内容。ヒョードルのUFC参戦をめぐる物語は当時リアルタイムでニュースを追っていたので懐かしい。そして何より榊原社長が現在もRIZINを率いて日本格闘技界の中心にいるという数奇な事実が歴史の面白さ。ただし、あくまで会社・ビジネスの話が中心なのでMMA進化史や技術論はほとんど書かれていない。それは終章がマクレガーvs.メイウェザーであることからも察せられるだろう。とはいえそれで面白さが削がれることはなく、むし
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ラジオで紹介されていたため手に取る。
地下世界が世界の中にこんなにあったなんて!
本書を読むまで地下世界を想像したことすらなかった。
一切の太陽の光が入らず、方向感覚もなくなり、代謝が遅くなり、視覚と聴覚が鈍くなり、、
時間生物学の実験の中で2ヶ月間とかに潜り生活する実験の話が出ていた。その中で被験者の研修者は錯乱状況になる。「今になって理解した」「神話で地獄の場所が必ず地下に定められていた理由を」と記している。一定の境界を越えると、その先に必ず現れるのが幻覚。全ての感覚を遮断されると逆に感覚が鋭利になり覚醒したような状態になる。その後、意識が内側へ内側へ向いてくる状態となり、一種のトランス状 -
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ネタバレこんなにも男前でかっこよく、ただ時折りみえる弱さに人間味を感じて、
主人公のゲーブリエル・プレストに出会えたことが、心からうれしい。
彼は私立探偵、副業でブルース・ミュージックのギタリストをしている。
ユーモアのセンスがあり、とんでもなくお洒落(度々のファッションの描写を、読むたび心待ちにしていた)。
家具も相当のこだわりがあり、自宅の改修に10年ほど取り組んでいて、いまなお進行中(十八世紀フランスの年代物の浴槽、スペイン製の白と黒のアンティークセラミックタイルなどなど)。
そして、めっぽうもてる(鮮烈に描かれる女性たちがなんとまあ美しい)。
ただ、独身であり、相当折り合いがつかなかった元妻と -
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Twitterで発売知り、是非とも読みたいと思い購入。
ジョブズ亡き後、2021年までのアップルの動きをクックとアイブを交代させながら進める流れ。断片的な話は勿論知っていたが、Apple Watch誕生の件は全然知らず新鮮だったし、他の部分もこれを読むことでより解像度が上がった。 この本を読んでいて、トランプ政権時の振舞いはクックだからなんとかなったのかなと感じるとともに、ビジネス戦略の変遷という意味でも興味深く読んだ。
一般的な本よりちょっと大きめ、かつ後書きまで460ページ程と大ボリュームだが、面白さを失わずに読み進めることができた。 -
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本書を手にしたのは他でもない、冒頭の「挨拶―日本語版に寄せて」が秋庭俊への言及から始まっていたから。東京の地下に秘密の基幹施設網があったと信じた彼が著した『帝都東京・隠された地下網の秘密」を、発行された当時貪るように読んだことを思い出す。
本書もそれと同類のノンフィクションかと思って手にしたのだけれど、「○曜スペシャル」的な匂いのする秋庭本とはまったく違う、若干の偏執が入り混じった、より深みのある思索の本だった。光が届かず、方向感覚を完全に失った、理性や論理を超えた世界。著者が指摘するところの「心の洞窟」に入る決心はワタシにはまだつかない。 -
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NYの地下鉄のトンネルを皮切りに、世界各地の地下へ潜り、地球と人の心の奥をのぞいた地下愛好家[カタフィル]の地下世界旅行記。
地下愛好家(言うまでもなく大半が不法侵入である)としての体験談と歴史的な記述が混ざりあい、著者の皮膚感覚とかつて地下に潜った人びとのそれが一体化していくような語り口が魅力だ。パリのカタコンベの章が特に面白かった。カタコンベの地下室は北斎の神奈川沖浪裏の壁画や岩盤を削って作られた城とガーゴイル、スプレーアートのトーテムポールなどなどに彩られ、夜な夜なレイヴパーティーが開かれるという。写真を見ると退廃的な雰囲気がたまらない。
都市の地下は野良アーティストたちの縄張りでも -
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「地下世界」をテーマにした異色のルポ。
著者は、雑誌記者を経てノンフィクション作家となった。本書は初の著作である。
少年の頃、洞窟を探検したことがある著者は、ある時、まさにその洞窟を撮った写真に惹きつけられる。
写真を撮影したのは都市探検家グループの一員だった。著者は彼らに誘われ、ニューヨークの下水管を巡った。
それを皮切りに、地下への旅が始まる。
パリの地下納骨堂。アボリジニの聖地。カッパドキアの地下都市。ピレネー山脈の洞窟。マヤ人の雨乞いの地。
それは下方へと向かうだけでなく、奥へと、そして闇へと向かう類まれな経験だった。
地獄(Hell)の語源は、インド=ヨーロッパ祖語の「隠す」(k -