棚橋志行のレビュー一覧
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ピレネー山脈のテュク・ドドゥベール洞窟。ここは、ショーヴェ、ラスコー、アルタミラに並ぶ先史時代の洞窟芸術の宝庫。現在は未公開。ところが、著者ウィル・ハントは幸運にも、この洞窟の所有者、78歳のベグエン侯爵や研究者たちと一緒に入ることができた。この体験記が圧巻。洞窟芸術について簡と要を得た説明もすばらしい。
別の章には、ミシェル・シフレも登場。1962年、23歳の彼(地質学専攻の大学院生だった)は、アルプス山脈のスカラッソン洞窟に入って2カ月間生活する。彼がそこで発見するのはヒトのバイオリズム、そして意識の変性状態も体験する。同じ頃、心理学者のドナルド・ヘッブらは、洞窟のような刺激のない環境に人 -
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深海をどう定義するのかはいろいろな意見があるようですが、本書では太陽光が届かなくなる200mよりも深い海域を深海と扱っています。その定義に従えば、地球表面の65%が深海域となるとのこと。本書は、深海へ挑んだいくつかのプロジェクトを通じて、深海域がいかに生物種に富んだ世界であるか、また将来に向けての問題点などを扱っています。
本書にもある通り、宇宙へ到達した人間は数百人レベルなのに対し、最も深いマリアナ海溝チャレンジャー海淵(水深は10900m程度)に到達したのはわずか数人です。そのハードルは1平方センチあたり1トンを超える水圧はもちろんですが、何より深海底には地図がないのでGPSが使えません。 -
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スティーヴン・ハンター『フロント・サイト 3 ファヴ・ドールズ』扶桑社ミステリー。
スワガー・サーガ中篇三部作の第三部最終巻。
第一部『フロント・サイト 1 シティ・オブ・ミート』がチャールズ・F・スワガーの物語で、第二部『フロント・サイト 2 ジョニー・チューズデイ』はアール・スワガーの物語だったが、この第三部はボブ・リー・スワガーの物語になっている。三部作を読めば、スワガー家3代の物語が一望出来るという面白い趣向になっている。
本作は『極大射程』を始めとする数々の作品で、そのヒーローぶりを演じてきたボブ・リー・スワガーの32歳とまだ若い頃の活躍が描かれ、読みどころがたっぷりの面白い中 -
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スティーヴン・ハンター『フロント・サイト 2 ジョニー・チューズデイ』扶桑社ミステリー。
2024年12月末、行き付けの書店に行くとネットの新刊案内には一切情報が無かったのに、新刊コーナーにいきなりスティーヴン・ハンターの新刊が2冊並んでいたので驚いた。
本作は『フロント・サイト 1 シティ・オブ・ミート』に続くスワガー・サーガ中篇三部作の第二部である。
ボブ・リー・スワガーの父親であるアール・スワガーの物語ということなのだが、何故か登場人物の一覧にはその名は無い。賢明な読者であれば、謎の男ジョニー・チューズデイこそがアール・スワガーの偽名であることに早々に気付くだろう。
本作では『フ -
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16世紀の海図から最新の研究成果まで、深海についての知見を物語のように面白くっ綴ったサイエンスノンフィクションである。何よりもわくわくするのは、著者自身が足を運んで、時には深海へもぐり、その驚異と感動を伝えてくれることである。要するに、体を張っているのだ。だからこそ、書かれていることが単なる知識でなく、血肉のような喜びや恐れとして感じられる。深海は孤独で静かである一方、生き物に満ちにぎやかである。そんな深海に、人間は容赦なく開発の手を伸ばそうとしている。私たちは、深海についてほとんど何も知らない。そのことをあらためて教えてくれるとともに、深海を知りたくてたまらなくさせる本である。
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自分の深海探査情報はジェイムズ・キャメロンの個人的探査艇建造時点から更新されていないかった!宇宙開発関係のニュースはどこかの社長がロケットに乗ります含めてどんどん発信されてくるのに海中の探査のニュースは全然出ない。この本も本屋さんをぶらぶらしていて偶然見つけたもの。ネットでもリコメンドで上がってこないしどういう情報を分析してるんだろうね?こうして自分の関心領域も、意識しないと変なバイアスがかかったものだけが流れてきて影響を受けていることがよくわかった。
深海探査すごい進化してるぞ。本は付箋だらけ。深海探査は国家プロジェクトとしてやっているのかと思いきや、金持ち企業家が各分野のプロを集めた個人 -
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ネタバレ元ボクシングヘビー級絶対王者マイク・タイソンの自伝。結構なページ数がある大著であるが、彼の人生には、それだけいろいろなことがあったということだ。『真相』というタイトルの通り、タイソン自身がかなり赤裸々に自身の人生で起こったことについて語っている。衝撃的である意味では喜劇的でもあったレイプ事件などについて、彼から見た「真相」が書かれている。もちろん、「真相」のいくつかについては割り引いて読む必要はありそうではあるが。
無敗のタイソンが、東京ドームでジェームス・ダグラスに敗れた大番狂わせの試合のことは覚えている。この本を読むと、その裏で、傲慢さと心の弱さによって、それまでに蓄積した自らの貯金をタ