牧野洋のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ガラパゴス化の道をたどり続ける日本の大メディア。権力と一体化し、既得権益をともに享受し、財務省の増税路線を援護射撃しながら、「プレスリリース原稿」のみを垂れ流す…。元日経記者が赤裸々に現実を晒します。
本書は元日経新聞の記者による、報道機関と『お上』が以下に結びついているかと言うことを詳細に語った一冊で、その内容と量は本当に読み応えがございました。
政・官・業そして「報道」で形成する裏支配者たちの全貌が全編に描かれており、日頃我々が重要な情報源にしていると思われる新聞が実は権力側とべったりと言う『現実』ここに書かれていることがもし本当のことだとするのならば、一体なにを信じればいいのかと読み終えたあと途方にくれてしまいました。
筆者は日経で記者をやり名からコロンビア大学のJ(ジャーナリズム)スクールで学んだそうで、日本の新聞と欧米各国の新聞の記事の書き方や取材の進め方に最初は面食らったそうです。
その一つは情報元や取材対象は日本の新聞の場合は捜査する側が匿名である一方で、される側は実名なのが日本の新聞だったりするのですが、欧米では取材する側もされる側も双方ともに実名だからこそ、詳細な記事が書けたり、権力におもねることのない骨太の調査報道があるのだろうかとおっしゃっていたのが印象的でした。
日本におけるジャーナリズムのあり方はここに書かれていることを鵜呑みにすることはできませんが、
『プレスリリースをそのまま記事にしたような』
文章は問答無用で却下されると言うことが述懐されているとのことでした。
まだまだ、 ジャーナリズムの本当の姿と言うのはあっちの方にあるのかも知れませんし、本書が言うように日本の場合、『情報』の独占と言うことがもし、権力側によって行われているのであり、『権力をチェックする』側であるはずのマスコミが権力に対してベッタリであるのならば、われわれは一体なにを信じればいいのかと、そう思わずにはいられませんでした。
※追記
本書は内容を大幅に改訂した上で2021年10月5日、『官報複合体 権力と一体化するメディアの正体(河出文庫)』と改題し、文庫化され河出書房新社から出版されました。 -
Posted by ブクログ
ネットフリックスの設立から今の地位に至るまでを競合の動きを含めて描かれていた。ブロックバスターのceoとなったキーズの動きは印象的で,自分の経験と今の売り上げのバランス,ブロックバスターがこれまで築いてきた成果、それらを総合して店舗型に投資をすることを選択し,結果として大きな業績後退を招き,ブロックバスターは倒産した。自分がそれまで見てきた文化への愛着や関係性があればあるほど正しい判断ができなくなるのは,このレベルの経営者でも起こり得ることで、時代の変化が複雑化してる現代では,とても勉強になった。また最後に書かれていたアメリカの現状に驚かされた。アメリカでは,店舗型DVD店,CDショップ、大手書店屋などが10年前ほどに潰れ,オンライン化が進んでおり,日本の遅れを感じた。日本のイノベーションの浸透度が低い点には,多少の怒りを感じながら,本気の経営者の動きを読み,これからの学習意欲が高まった書籍であった。
映画ストリーミングを通じた顧客分析についても面白かった。映画を見る人はどこでスキップし,どこまで止めずに見ているのか、顧客の年齢だけでなく細部のデータから分析をし,コンテンツを作っているのだと感じた。 -
Posted by ブクログ
運も含めて考察している部分が出色。3まで読んでいたので、ほぼ義務的に読んだが、引き続き面白かった。
いかにも学者本然としていなく、コンサルタントのエッセイ本っぽいが、よく指摘される通り巻末で示されるデータを見せられると、やはり立派な論文と思えてしまう。
10x型リーダーや二十マイル行進のようなフレーズも健在。造語・キャッチフレーズ化によって自分のペースで論旨を繰り広げるところは、もはや芸人の域だが、それらは的を得ていてイメージしやすいため、確実に本書の理解の助けになっている。ただし読んでいない人にこれらフレーズを説明しにくいのは難点か。 -
Posted by ブクログ
20年も前からABテストってやはり本物はすごい。
それだけに採用方針も徹底している。ネットフリックスに入る人材はトップクラスに限られる。いったん入社すれば「完璧な大人」として振舞わなければならない。スケジュールや有給休暇取得、経費請求いついて百パーセント自分で判断するのはもちろん、上司・同僚の辛辣な評価も甘んじて受け入れる度量を求められる。ウォールストリート・ジャーナル紙はネットフリックスについて「ここには直言と透明性が何にも増して美徳とされる文化がある。問題社員を解雇すべきかどうかをめぐって公の場で活発に議論が交わされる。それは一種の儀式であり、ありふれた光景でもある」と伝えている。
結局、赤字を垂れ流してきた小さなシリコンバレー企業が生き残れた決め手は、経営チームの規律と集中だ。
オンラインストアは単なる「ネット上のカタログ」ではない。顧客の想像力をかき立て、愛着を刺激することで、実店舗でのショッピングと比べて遜色ない魅力を出す必要がある。
エバンジェリストが期限厳守を求め過ぎた面も否めなかった。例えばアクセンチュアのチームだ。期限を守るためにスピードを上げなければならず、ウェブサイトの主要機能―ユーザーインターフェイス、DVD仕分け、物流システム―をそれぞれ別のプラットフォーム上に構築した。これによって予定通りにウェブサイトをローンチできたものの、ローンチ後のシステム増強を難しくしてしまった。結果としてシステムの容量は恒常的に足りなくなり、そのあおりを受けてエンジニアチームはいつも仕事に追われる羽目になった。
プロファイルとフレンズの停止で浮き彫りとなったのは、マーケティングチームとエンジニアチームの連携不足だ。エンジニアチーム内では技術革新が自己目的化し、本来の目的である顧客ニーズが忘れ去られたようだった。カルトシュネーの見立てでは、ヘイスティングスは傲慢で頑固になり、顧客の声にまったく耳を傾けなくなってしまった。ネットフリックスのビジョンに向けて全力で走っているというのに、ゆっくりのペースでしか前へ進まない顧客にいら立ちを覚えているのだった。
契約者500万人がエバンジェリストの目標だった。そこに到達できれば、出費が先行する立ち上げ局面を終えて、投資回収局面に入れる。ブロックバスターが現在1人の契約者を獲得するために50ドルも投じているのに対し、ネットフリックスは38ドルしか使っていなかった。 -
Posted by ブクログ
Good
・スタートアップ経営のダイナミズム(ウォール街とのコミュニケーション、敵対企業とのやりとり、第三者企業との提携模索など)がよく伝わる
・ネットフリックスとブロックバスターとの熾烈なライバル関係がとてもエキサイティング
・マーケティング(顧客とのつながり、データ分析、モデルを使った敵対企業の損益分岐の予測など)における先進性
・トップの人間により組織がかくも変わるものかと驚かされる
・見栄えのいい事業計画ではなく、議論から次に試すべきことを抽出し、失敗から学びながら成功を手繰り寄せることの重要性
Bad
・主役と言っていいヘイスティング氏に人間的な魅力が感じられない
・人間ドラマとしての面白さはあまりない
・アクティビストってその程度なのか・・
・2012年ごろに書かれたものなので、最近のさらに破竹といえる動きについては言及がない