あらすじ
日本の新聞はなぜ政府の〝広報紙〟にすぎないのか? 権力との癒着を示すさまざまな事件をひもとき、「権力の応援団」となっている日本メディアの大罪を暴いていく。
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Posted by ブクログ
ガラパゴス化の道をたどり続ける日本の大メディア。権力と一体化し、既得権益をともに享受し、財務省の増税路線を援護射撃しながら、「プレスリリース原稿」のみを垂れ流す…。元日経記者が赤裸々に現実を晒します。
本書は元日経新聞の記者による、報道機関と『お上』が以下に結びついているかと言うことを詳細に語った一冊で、その内容と量は本当に読み応えがございました。
政・官・業そして「報道」で形成する裏支配者たちの全貌が全編に描かれており、日頃我々が重要な情報源にしていると思われる新聞が実は権力側とべったりと言う『現実』ここに書かれていることがもし本当のことだとするのならば、一体なにを信じればいいのかと読み終えたあと途方にくれてしまいました。
筆者は日経で記者をやり名からコロンビア大学のJ(ジャーナリズム)スクールで学んだそうで、日本の新聞と欧米各国の新聞の記事の書き方や取材の進め方に最初は面食らったそうです。
その一つは情報元や取材対象は日本の新聞の場合は捜査する側が匿名である一方で、される側は実名なのが日本の新聞だったりするのですが、欧米では取材する側もされる側も双方ともに実名だからこそ、詳細な記事が書けたり、権力におもねることのない骨太の調査報道があるのだろうかとおっしゃっていたのが印象的でした。
日本におけるジャーナリズムのあり方はここに書かれていることを鵜呑みにすることはできませんが、
『プレスリリースをそのまま記事にしたような』
文章は問答無用で却下されると言うことが述懐されているとのことでした。
まだまだ、 ジャーナリズムの本当の姿と言うのはあっちの方にあるのかも知れませんし、本書が言うように日本の場合、『情報』の独占と言うことがもし、権力側によって行われているのであり、『権力をチェックする』側であるはずのマスコミが権力に対してベッタリであるのならば、われわれは一体なにを信じればいいのかと、そう思わずにはいられませんでした。
※追記
本書は内容を大幅に改訂した上で2021年10月5日、『官報複合体 権力と一体化するメディアの正体(河出文庫)』と改題し、文庫化され河出書房新社から出版されました。